女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
オレたちと少女は、一緒にレスランドの漁港へ向かい続けた。夕暮れ時で、空は紫とオレンジが混ざった美しいグラデーションになっていた。長い道のりだったが、ついに漁港にたどり着いた。その漁港は賑わいに溢れていて、魚のにおいと潮風が漂っていた。オレたちが目にした景色は、漁師たちが働く姿や、波に揺れる漁船が並んでいる様子だった。
「おお、なんという活気だ。ここがレスランドの漁港か」
オレは感嘆の声を上げた。
少女はにっこり笑い、誇らしげに言った。
「そうなんです。実はこの漁港、私のお父さんが漁師組合の組長をやっていて…」
オレたちは驚いた。漁師組合の組長の娘だったなんて、まったく予想外だった。
「そんなこと言ってくれれば、もっとちゃんと守ってあげたのに」
らんまが半ば冗談半ば本気で言った。オレもうなずいて同意した。
「ホント、そんな大事な娘さんがひとりでなんて危ないですよ」
「えぇ……でも、あの草原であんなに危険なモンスターに襲われたのははじめてなんです」
漁港内にある最も立派な屋敷へと向かった。少女は組長に先程の出来事を詳細に伝えた。頑固そうな顔立ちの組長も、その話を聞くと表情が和らぎ、オレたちに感謝の言葉を述べた。
「本当に助かりました。どうやってお礼をしていいのか…何かお望みのものはありませんか?ワシらができることならなんでも」
オレとらんまは顔を見合わせ、小声で打ち合わせた。
「らんま、ラッキーだったな、これで船を借りれる」
「あぁ、そうだな、今回の旅はツいてるぜ」
オレたちは組長に向き合い直して、船を貸してほしいと伝えた。組長は快くそれを受け入れてくれた。
「それなら問題ありません。どんな船がお望みですか?」
「二人だけしか乗らないので、それほど大きくなくてかまわないんです」
夜も遅くなったので、出発は翌朝にすることにした。組長はオレたちを夕食に招待し、魚料理がメインのご馳走を振る舞ってくれた。オレもらんまもおいしそうに食べた。らんまの食いっぷりに組長が笑った。
「なんだか、らんまさんは、そんなに可愛いのに、食べている姿は男の子みたいだね。はははは!」
「そうですね、そんなに急いで食べないでも、まだまだありますよ」
天真爛漫といえば、聞こえは良いが、まぁ、食事中のマナーの悪さは天下一ならんまだ。
オレたちは楽しげな雰囲気の中、夕食を進めた。組長は自己紹介を始めた。
「そういえば、名前もまだ言ってなかったね。俺はマグナス、この漁港の組長をしているんだ。そしてこれが、俺の娘のユーリ」
「こんにちは、ユーリです。どうぞよろしくお願いします」
少女、ユーリは微笑んで挨拶をした。
オレもらんまも自己紹介をし、会話が弾んでいった。
「俺は達也、こっちはらんま。いや、ホント、助けただけなのに、こんなにご馳走までいただいちゃって……」
らんまもうなずいていた。
「そうだね、ユリちゃんに会わなければ、こんなに美味しい魚料理も食べられなかったしな」
組長マグナスはにっこり笑って、ユーリに視線を向けた。
「そうそう、ユーリ、お客さんに喜んでもらえて、料理の腕もだいぶ上がったんじゃないか」
ユーリは顔を赤らめて言った。
「そんなことないですよ。ただ、お父さんに教わったことを大切にしているだけです」
組長マグナスは、漁港での仕事や漁師たちとの交流について熱心に話してくれた。オレたちも興味津々で聞き入っていた。
「この漁港では、漁師たちが互いに助け合い、連携して仕事をしているんだ。それに、ここで獲れる魚は他のどこよりも新鮮で美味しいと評判なんだ」
オレは感心して言った。
「本当ですか?それはすごいですね。今夜いただいた魚料理も本当に絶品でした!」
組長マグナスは、オレたちに興味津々で尋ねた。
「そういえば、お二人はどちらからお越しですか?」
「ウェスティリアから来ました」
組長マグナスの目が輝いた。
「ほぉー、ウェスティリアのシーフードレストランには、ワシの弟子がシェフを務めているんだ」
オレは驚いて尋ねた。
「え?!もしかして、ウェスティリアのグルメストリートにあるあの大きなシーフードレストランのシェフですか?」
組長マグナスはにっこり笑ってうなずいた。
「そうだ、それが正解だ。お二人、あのレストランで食事を楽しんだことがあるかな?」
らんまが目を輝かせて答えた。
「えぇ、もちろん!あのレストランのシーフード料理もすごうまかった!」
夕食が終わる頃には、オレたちも組長マグナスやユーリと打ち解け、友達のような雰囲気になっていた。そんな中で、翌朝の出発についての話も出てきた。
「明日は朝早くから船を出しますね。気をつけて、無事に目的地に着くことを祈っています」
組長は真剣な表情で言った。オレたちも決意を新たにし、礼を言った。
「ありがとうございます。絶対、無事に行ってきますね」
その夜、オレたちは組長の提供する家で一夜を過ごした。ユーリも心配そうにオレたちに言った。
「どんな目的で旅をしているんですか? もし、何か手伝えることがあれば、何でも言ってくださいね」
オレは苦笑いして答えた。
「実はね、オレたちは、とある人からの任務でサラトバの中央の島の様子を見に行くんだ」
ユーリを信用していないわけではないが、不要な心配はさせまいと、オレはぼやかした。
ユリは驚いた顔をして言った。
「中央の島へですか! それはすごいですね。でも、危険な目にも遭いそうで心配です」
オレはにっこり笑って答えた。
「大丈夫ですよ。オレたち、今までいろんな場所を旅してきたから、なんとかなると思います。それに、ユーリのお父さんが貸してくれる船があれば、もっと安心して行けます」