女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
どこにでもいる普通の男子高生だった達也は、憧れの早乙女らんまと、ある日、異世界ファンタジーの世界へと転移する。らんまは、呪溺泉という呪いの泉に落ちた結果、水で女性に、お湯で元の男性に戻るという呪いを受けた。転移してきたときに女の姿だったため、この世界で男に戻ることはないが、元来の男らしい性格は抜け切れていない。
異世界での冒険を経て結婚した達也とらんまは、ウェスティリア王からの任務を受けてサラトバへと移住した。しかし、彼らは魔皇軍の手先を名乗る覆面の男に襲撃される。覆面の男はらんまが男性であった時の自我が魔皇によって具現化された存在であった。
達也とらんまは、覆面の男を倒すものの、再び具現化される可能性に直面する。彼らはらんまの男性としての自我を封印し、再発を防ぐために試練の塔へと挑のであった。
そして、二人は最上階へと到達する。
■登場人物
達也
この物語の主人公。サラトバの戦乱を収めた勇者だが、現在はその過去を隠し、らんまとウェスティリアの街で穏な暮らしを送っている。時折スケベな一面を見せるが、らんまへの一途な愛情が真の力を引き出し、困難な状況でもらんまを守ってきた。達也の持つ多彩な能力や作戦面は、物語の中で様々な冒険や困難に対処する力となってきた。
らんま
この物語のヒロイン。
この異世界へ来る前は、お湯をかぶると男に、水をかぶると女になる体質だったが、異世界へ来たときは、女の姿だったので、お湯をかぶっても男に戻らなっている。達也と一緒に冒険をするうちに、達也のことが大好きになり、今は女として暮らしてる。
美しく魅力的で、ナルシストな一面も持ち合わせている。しかし、表面上では達也のスケベさを馬鹿にする事もあるが、らんまも心の中では時折秘かな欲望が芽生えることがある。街の人気者でもあり、気さくな性格が特徴で、元男な口調や仕草はまだ抜け切れていない。達也とは深い信頼関係を築いており、支え合い、助け合っている。
槍や鞭といった武器を巧みに操り、蹴りなどの近接攻撃にも長けている。無差別格闘早乙女流の拳法での近接攻撃にも長けている他、軽い身を活かした空中戦も得意。
7-15.最終試練
オレとらんまは、試練の塔での様々な戦いを乗り越え、息を切らしながら膝から力が抜けそうなほど疲れ果てた。それでもオレたちは、汗と疲労にまみれながらも階段を辛うじて登り切り、新しい部屋へと辿り着いた。部屋に足を踏み入れると、オレたちの視界に飛び込んできたのは、壁一面に並べられた大小さまざまな時計たちだった。古びた砂時計から、木製の時計など、時代を超越したさまざまな時計が一堂に会しているかのようだった。
オレはその圧倒的な光景に目を奪われると同時に、緊張感がこみ上げてきた。時間を関係する試練が待ち受けているのだろうかと、オレの胸は高鳴り始めた。らんまもまた、オレの隣で困惑した表情を浮かべていた。オレたちはこれまでの試練で、力と知恵を駆使して勝利を手にしてきたが、時間という未知の要素に対してはどうすればいいのか分からなかった。
部屋の奥に進むと、時計たちが示す音とともに、時の流れがまるで具現化されているかのような不思議な空気感に包まれていた。オレたちの足音が響く中で、不安と期待が入り混じる複雑な感情が胸をよぎった。そして、オレはふと気づいた。この部屋は、最後の試練が待ち受けている場所だったのだ。
この時計だらけの部屋で、果たしてオレたちはどのような試練に挑むことになるのだろうか。そして、その試練を乗り越えることができるのだろうか。オレとらんまは、互いに目を見つめ合い、沈黙のうちに互いに励まし合い、この最後の試練に挑む決意を固めた。
その部屋を緊張しながら調べていると、入り口のときと同じように試練の番人の声が聞こえてきた。
「勇者たちよ、よくぞここまで辿り着いた。これより、最後の試練が始まる。」
ついに最終階までたどり着いたことに、オレとらんまは互いに目を合わせ、緊張感と期待に満ちた笑顔で頷いた。らんまはさらに勇気を振り絞って訊ねた。
「おい、番人。この最終試練って、一体何なんだ?」
試練の番人は神秘的な口調で答えた。
「最後の試練は、らんまよ、過去へと身を投じ、運命の糸を結び直すこと。初めてのキスを達也と共に行い、男としての自我を封じる力を得るがごとし。」
らんまはその言葉に思い出したかのように、初めてのキスの相手に対する憤りと懐かしさが入り混じった表情で語り始めた。
「初めてのキスの相手は三千院帝という男で、スケート場で滑れなかったオレが、抱きかかえられて、そのままキスされてちまったんだ。」
らんまの拳が震えている。オレもあのとき、スケート場のリンクサイドから、一連の状況を見ていたから知っている。たしか、三千院帝と白鳥あずさが突然、スケートリンクで百人組手を行いはじめ多くの相手らを格闘スケートで蹴り飛ばしたんだっただよな。その直後にらんまが三千院帝に抱きかかえられ、強引にキスをされてしまったんだっけ。
オレもその光景を思い出せば、なんだか、怒りがこみ上げてきた。らんまのファーストキスが奪われたことはもちろんだが、そのとき、傍観者でいた自分に対しても怒りがこみあげてきた。
「わかったぜ、試練の番人。あのときのことは、今思い返しても腹立たしいことだ。もし過去を変えられるなら、喜んで変えてみたい。」
オレはその話を聞いて興味深く思い、謎の番人に問いただした。
「でも、過去に戻り、初めてのキスの相手を変更することと、らんまの男としての自我を封印することにどんな因果関係があるんだ?」
試練の番人は謎めいた口調で説明し始めた。
「初めてのキスの相手を変更することで、らんまの心の奥底に新たな絆が生まれ、男としての自我が弱まるのだ。そして、その絆がらんまと達也の愛を深く結びつけ、らんまの男としての自我を封じる力となる。二つの心がひとつになる時、この扉は開かれる。愛の誓いを交わし、真実のキスを捧げよ。」
その言葉に触れることで、オレとらんまの心は一層緊張と期待で高ぶり始めた。らんまは自分の過去を変える決意を固め、目を輝かせながら言った。
「過去に戻るなら、達也も一緒に来てくれ。二人で力を合わせて、あの時の自分たちに戻ることができれば、三千院帝のキスを防いで、二人でキスをすることくらい簡単だろう。」
そうだ。たしかに事情を知っているオレも一緒に過去へと戻れれば、容易いだろう。オレはらんまの提案に同意し、番人に確認した。
「達也も一緒に過去へ戻ることはできるのか?」
試練の番人は神秘的な微笑みを浮かべて答えた。
「時の流れを遡り、過去へと身を投じることは可能である。だが、未来を変える力は、二人の絆と愛の力にかかっている。心を一つにし、力を合わせることが、成功への鍵となるであろう。」
そして、こういった過去改変の試練には定番のものがある。それは過去の自分が存在するかどうか、あるいはそれらがどのように関わっているかだ。これもまた、番人に質問した。
「今から、オレとらんまが過去へ戻ったとき、過去のオレたちはどうなる?入れ替わるだけなのか?それとも、過去には過去のオレたちもいるのか?」
試練の番人は謎めいた声色で答えた。
「過去のらんまと達也の中に、今のらんまと達也が戻ることができる。だから、その場所に過去の自分たちはいない。しかし、過去を変えることは、未来に影響を与える。だからこそ、慎重に行動せよ。」
オレたちは、最終試練として、らんまのファーストキスの相手を改変するために過去へと戻る決意を固めた。
「それでは、これが過去へと戻る『時間の渦』だ。飛び込み、二人がキスをすれば、こちらの時間へと戻ってくることができる」
試練の番人の言葉の後に、部屋の中央に『時間の渦』を作り出され、その渦の中に過去への道が開かれた。渦は幾重にも重なる光と闇が交差し、深みへと誘うかのような不思議な輝きを放っていた。まるで星空が渦巻いているかのような美しさで、それは恐ろしいほど魅力的だった。そして、渦巻く中に過去のオレたちが見えた。スケートリンクサイドから、らんまたちを見る傍観者だったオレ。スケートリンク場で滑れずに慌てているらんま。
オレたちは、その渦に身を投じることで過去へ戻ることができると知り、互いに励まし合いながら、この時間を超越する冒険に身を委ねる準備を整えた。
「よし……行こう、達也。二人で戻れば簡単さ」
「おう、らんま……!」
オレたちは手を繋ぎ、『時間の渦』へと飛び込んでいった。