女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
魔皇軍の襲撃をなんとか撃退したその夜。
オレは魔法による遠隔会議に参加していた。各地の王たちとともに、魔皇軍に対する対策を話し合うための会議だ。妻のらんまも、この会議に参加している。
魔法を用いた遠隔会議は、現代のZOOMのようなものだ。画面に映し出された顔ぶれは、各国の王や軍の将軍、そして僧侶や魔法使いといった者たちである。この世界では、魔法が活用されて通信の手段として利用されていた。
オレとらんまはウェスティリアの兵士代表として、この会議に呼ばれたのだった。
会議が始まると、まず話題となったのは、魔皇軍に襲撃されたグランゼンの王とレスランドの王の話だった。
グランゼンの王は怒りに震えた声で、「我が国は多くの民を失い、壊滅的な被害を受けました。魔皇軍の侵略はこれ以上進めさせるわけにはいかない!」と訴えた。
レスランドの王もうなずき、深刻な表情で付け加えた。
「同じく、我が国も大きな被害を受けました。何としても魔皇軍を倒さねばなりません。」
オレは、その話に憤りと悲しみを感じた。隣にいるらんまも拳を握りしめていた。同様の気持ちなのだろう。
魔皇軍の特徴について、説明もされた。
それは、曇り空でなおかつ、雨が降り出すと共に魔皇軍のモンスターが襲撃をはじめること。そして、グランゼン、レスランド 、ウェスティリアの三ヶ国では、各国の姫やメイドなど、若い娘も誘拐されてしまうことだった。
しかし、魔皇軍の本拠地は、どこにあるのか、今のところ、情報がまったく掴めないとのことだった。
グランゼンの王は、皆に視線を向けて言った
「皆さん、魔皇軍の拠点を突き止める手がかりは何もないのでしょうか?」
「情報屋のローゼンです。私や情報屋の仲間らも様々な手段を使って情報収集を試みていますが、魔皇軍の拠点の位置は未だつかめていません。」
レスランドの参謀が、深くうなずいて言った。
「魔皇軍は非常に狡猾で、その行動を予測することが難しい。しかし、何か特定のパターンや手掛かりを見つけられれば、彼らの拠点を特定できるかもしれません。」
その時、ウェスティリアの王が提案を口にした。
「魔皇軍が若い娘たちを誘拐しているという事実を利用する作戦はどうでしょうか? 戦闘力のある女性戦士をわざと誘拐されるように仕向け、魔皇軍の拠点を突き止めるのです。」
レスランドの参謀が考え込んだ後、うなずいた。
「それは一つの手かもしれませんね。ただ、その戦士は単独で行動することになりますので、非常に危険な任務となります。」
エルフェアルの王が顔を上げ、言葉を続けた。
「それに、もし作戦が失敗した場合、魔皇軍に捕らわれてしまうことも考慮しなければなりません。」
ウェスティリアの王は深く息を吸い込み、言った。
「それでも、我々は何かを試みねばならない。このままでは、魔皇軍の侵略は止まらないでしょう。」
皆が重々しく頷き合った。そして、その作戦を実行する戦士を選ぶべく、再び議論が始まった。会議が進む中、グランゼンの王が提案を続けた。
「では、この作戦を遂行する女性戦士の候補を挙げていくべきですね。」
「うーん、我が国ではエルフの弓使いアリシアが適任かもしれません。彼女は狙撃の名手であり、敵陣に潜入する際も役立つでしょう。」
「我が国レスランドからは、魔法剣士のリリカを推薦します。彼女は剣術と魔法を使いこなす才能ある戦士です。」
「我がウェスティリア国の代表として、賢者ウォルキアを提案します。彼女は状況に応じて適切な判断を下すことができる賢いです。呪文を使える者のほうが良いでしょう」
会議の参加者たちは、それぞれの候補を評価し、意見を述べ合っていった。
一瞬の沈黙の後、声をあげたのはらんまだった。
その中で、らんまが自ら名乗り出た。
「もう一人、ここに若くて強い女戦士がいることを忘れないでちょーだい。その任務、このあたしが受けてあげるぜ」
立ち上がったらんまに続いて、オレも続けた。
「ちょっと、らんま。この任務は危険だぞ!」
いくら、らんまとはいえ、この作戦は危険すぎる。さらわれた後に魔皇軍の拠点の中で行動を起こさなければならない。そもそも、娘たちが拠点に連れていかれる保証もないのだ。とにかく危険すぎる。これはやめさせなければならない。
エルフェアルの王が顔をしかめた。「らんまさん、あなたの勇気は評価しますが、一人でこの任務に向かうのは非常に危険です。本当に大丈夫ですか?」
らんまは堂々と答えた。
「オレは過去にも様々な困難な状況に立ち向かってた。魔皇軍の拠点を突き止めるため、どんな危険も受け入れてみせる。だから、任せておけって!」
「ダメです! オレは反対です。行かせるなら、らんまじゃなくて、各国の代表を……」
止めようとするらんまが、オレに近づいてきた。
「大丈夫だって、無理はしないから……。それに誰かが行かなきゃいけないだろう」
「らんま。そうだけどさ、でも……」
その時、ウェスティリアの王が言葉を挟んだ。「そういえば、エルフェアルの妖精たちが1日だけ指先サイズくらいの小人化するアイテム『妖精の粉』を持っていると聞いたことがありますが…」
エルフェアルの王が目を見開いた。「ああ、その通りです。その粉を使えば、らんま様の衣服の中に誰かを隠すことができるでしょう。」
たしかに、オレも同行できるなら、この作戦の成功確率は高まる。
「ぜひ、オレも、この任務に同行させてください!!」
「うむ……。勇者の力を持つ達也様が一緒に行けば、二人で協力して魔皇軍に立ち向かうことができるでしょう。グランゼンは賛成です。」
「なるほど、達也様が同行すれば、成功確率は格段に上がるでしょう。レスランドも賛成です。」
「エルフェアルも賛成です。達也様とらんまさんが協力すれば、この作戦は成功することでしょう。」
参加者たちからも同意の声が上がり、この作戦が決定された。オレは笑顔でらんまに目を向け、励ましの言葉をかけた。
「大丈夫、らんま。俺たちならこの作戦を成功させられるさ。」
「ありがとう、達也。すまねえな。」
「なに言ってるんだよ、いかなるときも、オレたちは一緒だろ」
会議が終わると、オレとらんまはエルフェアルの国を目指すことになった。そこで『妖精の粉』を手に入れ、魔皇軍の拠点を突き止めるための準備を進めることになるのだった。