女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「おふたりさん!!イチャつこうとしたって無駄だぜ!」
粗野な男の声に、オレとらんまは振り向いた。牢の扉の前に兵士が数人立って、こちらを見てニヤニヤと笑っていた。
「なんだ?お前ら、誰だ?」
「どういうことだ!?説明しろ!!」
食ってかかるオレ達に、彼らは馬鹿にしたように肩をすくめた。
「おお、怖い怖い。弱体化させても気の強さは変わらないみたいだな」
「弱体化!?」
「お前ら、オレとらんまに何をした!?」
確かにやたらと体が重くて、戦闘には支障が出そうだ。なんだってこんなことになってるっていうんだ。腕も脚も鉛みたいに重い・・・。例えここに剣があったとしても、振り回すのも一苦労だろう。
「その手錠は通称『重力の手枷』。これを嵌められた人間にだけ3倍の重力が働くんだ。この重力の手枷を嵌められて逃げだせた奴隷はいないって話だぜ。どんな仕組みなのかは知らねぇが、魔法ってのは便利なもんだぜ」
魔法アイテムというよりも呪いに近そうだ。そんなものを嵌められたオレたちはたまったもんじゃない。
「テメーらっ、何のつもりだっ!?」
キレたらんまが力任せに床に手錠を叩きつける。頑丈な手錠は激しい金属音を奏でるだけでびくともしない。
「ふざけんなよな!これ、外せよっ!卑怯者っ!」
「卑怯で結構!正々堂々じゃ名うての勇者と武闘家になんて勝てるわけがないもんな」
「お前ら、オレらのこと知ってるのか!?」
「おまえら、魔王を倒したり難関ダンジョン攻略したりしてるらんまと達也のパーティだろ?噂には聞いてるぜ。このゾレム市に来たのが運の尽きだったな」
「なんだ?ゾレム市がなんだってんだ?さっさと話せ!」
短気ならんまは兵士のまどろっこしい話に我慢ならないようだ。
「このゾレム市の王は血を見るのが何よりも好きでね、古の祭典コロッセオ武闘会を復活させたんだ。丸腰の奴隷とハイレベルモンスターを戦わせる。興奮するぜ?最初はやる気マンマンだった奴隷も、最後は泣きながら命乞いして八つ裂きにされていく・・・」
オレは聞いているうちに吐き気を催してきた。
「うえぇ・・・悪趣味な・・・」
「それとオレ達に何の関係があんだよっ!?」
「おうおう、素っ裸で捕まってるってのに威勢のいいお嬢ちゃんだねぇ」
「お嬢ちゃんだとぉ~!?」
らんまの顔が真っ赤になっていく。
「オレは男だぁぁ!!」
「ハハッ、そんなでっかいおっぱいぶら下げて何言ってんだか。女奴隷VSモンスターの対戦カードはレアだからな。きっと試合も盛り上がるぜ」
「オイ、そのモンスターと戦う奴隷達ってまさか・・・」
猛烈に嫌な予感がする。
「そう、お前らだよ!」
オレ達は料理屋でまんまと睡眠薬を盛られたらしかった。らんまと一緒にとっ捕まって、武具と防具を奪われるどころか衣服まで脱がされてこのザマだ。オレのみならずらんままで重力の手枷を嵌められて弱体化されてしまって、今度こそもう終わりかもしれない。どうやってこの状況を脱出すればいいやら見当もつかない。
「ごめんな、らんま」
オレ達をからかうのにも飽きた兵士達が去った後、オレはらんまに謝った。あの料理屋に入ろうと誘ったのは、確かオレだった。
「知らない街で迂闊だった。オレさえもっと気をつけてりゃこんなことにはならなかったのに・・・」
「バカ!謝ってんじゃねーよ」
らんまがオレの頭を小突こうとする。また磁力を反発させるような力が働き、オレ達は弾かれ合う。
「クッソぉ、これも無理なのかよぉ。妙な手錠掛けやがって」
らんまはギリリと歯を食いしばり、忌々しげに自分の手首を見つめる。
「まー、こうなったもんは仕方ねぇ。こんぐらいのピンチ今までも一緒に乗り越えてきたじゃねーか!」
らんまは胸を張った。
「しょぼくれてんなよ、達也!二人で力を合わせれば今回も切り抜けられる筈さ!」
「そっか、そうだよな」
こういう時は本当にらんまの前向きな明るさに救われる。釣られてオレもなんとかなりそうな気がしてきた。