女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
熱帯雨林にてビックマンティスとウィングサタンを討伐したオレたちは近くの村に『おもてなし』を受けた。ゲスト用のテーブルに案内されると、そこには次々よバナナなどのフルーツや、豪華な芋料理が運ばれてくる。
「うまそー!」
可愛らしい見た目とは真逆に男勝り(まぁ、元男だけど)にガッツいて、行儀悪く食べはじめるらんま。オレは二匹のモンスターを討伐しただけの礼にしては豪華すぎるのではないかと疑っていた。
「ったく、達也は疑ぐり深いなー、このポテトとかめちゃくちゃ美味いぜ?」
「しっかしまぁ、ホント、らんまはよく食うな」
いくら食べても、細くくびれたウエストをキープしているらんまの身体は不思議そのものだ。
「旅の方、この大陸のものではないとおっしゃいましたが、どちらから?」
村の長老らしき老人が代表して、オレたちにコミュニケーションを取ってきた。
「あ、じつはオレたちはこの世界の人間じゃなくて..んぐぐぐー!」
「あー、らんまはこれ、食っておけ、バナナ美味いぞ。僕たちは南東の大陸から来たんです。それで、今、ホログラード地方に用があって」
余計な事を喋りはじめようとしたらんまの口に剥いたバナナを押し込み、オレが代わりに喋りはじめた。
「なんと!南東の大陸から遥々と…。それはそれは長い航海だったでしょう」
「えぇ、まぁ…。それでホログラード地方はここから近いんですか?」
「いえ、ホログラード地方はここから北に進み、大きな河沿いに北西へ進みます。歩くと、そうじゃな…」
「はい、2週間くらいはかかるかと」
長老の話を付け加えるように戦士風の男が口を開いた。この男はどうやら、ホログラード地方へは行った事があるようだ。
—ここから2週間か、かなり遠いな…でも行くしかないよな」
長旅でくたびれたブーツをさすって、空を眺めた。このブーツもそろそろ買い替えどきか。
そのとき、一匹の猫がオレたちの前を横切った。この世界で猫を見るのははじめてだな。すると、横ですすり泣く声が聞こえてくる。
「ひぃ、ねこぉ、オレ、猫苦手なんだ…、達也ぁ、早く、おっぱらってくれ」
そういえば、らんまの弱点は『猫』だったな。オレはらんまに近づけないように猫を捕まえた後に密林のほうへと逃した。
「ほら、らんま、これでもう大丈夫だ」
「それで、なんでまた、辺鄙の地であるホログラード地方へ」
「じつは武器を探しているんです、そこに強い斧があると聞いて」
「ほぉー、そういえば、昔に聞いた事がありますじゃ、ホログラードの岩溶けの洞窟の奥に神斧が祀られていると」
フレイヤ様が嘘をついているとは思ってもいないけども、本当に存在すると聞くと、神斧ラブリュス(オレの斧)が身近に感じてくる。どんな斧なのか、とても気になるぜ
「世界には伝説の武器や防具が散らばっているという噂です。聖剣エクスカリバーやゴッドロッドにロンギヌスの槍」
長く生きている長老なだけに、わんさか強そうな最強武器の名前がたくさん出てくる、出てくる。どれもいかにもって名前だな。今のところ、魔王の存在がわからないのであれば、それらの最強武器はオレたちが集めておいて、装備しないとしても、持ち歩くかどこかに封印するべきだな。
「そうそう、この村の東に行ったところの祠にも武器があったはずじゃ。神獣の爪が『東の古神殿』に祀られておる。」
「爪装備?」
「はい、このように両腕に装備して、打撃専門の格闘家向けの装備です」
長老の脇にいた男が腕にはめた『爪装備』とやらを見せてくれた。長い3本の鉄の爪が付いたナックル型の武器だ。
その夜、長老の家に泊まらせてもらう事になり、二人で並んで寝ているとらんまが起き上がって、オレの布団に入ってきた。
「なぁ?達也〜」
「どうした?らんま眠れないか?」
「ううん、違うよ。あのさ、神獣のツメってオレにぴったりの装備じゃないか?」
「あぁ、たしかにそうだな」
「達也だけ、フレイヤ様にオススメの最強武器を聞いて、ずるいよー。なぁ?明日、神獣のツメががあるっていう東の古神殿にいかないか?東の古神殿に行って、無事に武器を入手できたらさ、オレなんでもするから、な?お願い」
「ふふふ、いいぜ。らんまの頼みだ、聞かないわけないだろ?それじゃ、明日は東の古神殿にいってみよう」
「やった!ありがとぉ、達也、大好き」
薄着のらんまがオレに抱きついてきてくれて嬉しいが、ここは長老の家、セックスはお預けする事にした。
翌朝。
「昨晩は泊めて頂き、ありがとうございました。今日は東の古神殿に行ってみようと思います。」
「そうか、そうか。それじゃ、これを持っていくといい。」
「あ、これ、オレ、知ってる!マタタビだ。小さい頃、親父に巻きつけられて、大量の猫に放り込まれたから忘れもしねーぜ」
そうだった、らんまは猫拳の修行でそんな事を親父の玄馬さんにされたんだっけな。でも、マタタビを渡すって事は…。
オレとらんまは東の古神殿に向かって歩きはじめた。1時間もしないうちに密林の奥に古い神殿が見えてきた。オレの読みは当たっていて。古い神殿の中は猫でいっぱいだった。
「うぎやぁあ!猫ぉ、怖いぃ、ひぃいいい」
オレはマタタビの木を散らせながら、大量の猫を掻き分けて、進んでいく。らんまはオレの後ろに隠れて、もう、猫の姿さえも見たくないというくらいに顔を伏せている。
「らんま、オレが神獣のツメを取ってくるからさ、神殿の外から、さっきの村で待っていていいんだぞ」
「そ、そんなこと言われてもオレの武器なんだから、オレが取りにいかなきゃ…んきゃぁ」
「ほんと、無理しなくていいからさ…」
猫が現れるたびに、マタタビの木をちぎっていたので、どんどん減っていく。猫であってモンスターではないので、攻撃するわけにもいかないし。先を進むと、神殿の一番、奥の部屋に宝箱があった。あの中に神獣のツメがあるに違いない。オレは手を伸ばし、宝箱を開けると中には大きな鈴があるだけで。
「あれ?鈴?」
オレが鈴に触ると、鈴は空中に浮かびあがり、白い煙を上げて声が聞こえる。
「嫁にな〜れ〜」
—この声の主、この世界の者じゃない