女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
無事にオークを倒し、砦の旗を手にいれたオレたち。
らんまが、旗を細長く折りたたみ、たすきのように身体に掛けた。
「これでよし。さあ、帰ろうぜ!」
「ちょっと……待ってくれ」
オレは恐る恐るオークの死体に近づき、脳天に突きささっているナイフを抜こうとした。
貧乏生活のオレたちにとって、このナイフも貴重な財産だ。
「うっ……」
オレにこんな力があったのかと思うほど、ナイフは宝玉に深々とぶっ刺さっている。片手では抜けず、気持ち悪かったけどオークの頭に足をかけて両手で引く。
『ずぽっ』
抜けたけど、何だか嫌な音。恐る恐る横目で見ると、ナイフには宝玉が突きささったまま抜けている。オークの頭に穴が開いて、そこから嫌な色のヌルヌルしたものが流れ出してくる。
「うわわわ……」
オレは思わず後じさって、後ろにいるらんまにぶつかってしまう。
「うえ~。気持ちわりぃー」
オレの背中にくっついたらんまが声を上げる。オークの頭から流れ出す嫌な液体はどんどん増えて、代わりにオークの体が縮んでいく。
「らんまでも、気持ち悪いか?」
「いや、あの……オークじゃなくて」
「何だよ?」
「あの……お前さ。セーシ……出して、ない?」
「あ、え? いや……」
ニオイでばれてしまったのか。セックスの経験なんてないはずのらんまが精液のニオイを知っていたことにショックを受けたけど。元はこいつも男だ。同じ高校生の男なんだから、らんまもオナニーぐらいしたかも知れない。そう考えると何だか複雑な気持ちだった。
何で射精したのかとうるさく訊くらんまを無視して、オレはオークにぶった斬られてしまったこん棒の代わりを探した。さっき背中にらんまの乳が当たって、またまたオレは勃起してしまった。でも、さっきはらんまの生乳が拝めて、ほんとラッキーだったぜ。
宝玉がぶっ刺さったナイフはそのまま持って帰って売ってみるしかない。でもそうなるとオレは丸腰だ、らんまみたいな武術家じゃないから武器無しでは戦闘力がほとんどゼロだ。
と言ってもボスオークのでかい鉈みたいな包丁なんかオレの力では無理だ。らんまだって扱うのは無理だろう。結局。ザコオークが持っていた、オレのと同じようなこん棒を使うしかなかった。
「よっしゃ、こん棒でもないよりはマシだろ」
オレはゲットした宝玉を雑嚢に入れて、こん棒を帯にはさんだ。二回も射精してしまったズボンの中はまだヌルヌルして冷たいが、歩いているうちに乾くだろう。
オレもらんまも疲れ果てて、ゆっくりと見張り塔を降りた。あとは敵と遭遇しないように祈りながらここを出て下山するだけ。
「なんだ、今の音」
塔から降りると、らんまがそう言ってあたりを見回した。
「え? 聞こえないけど」
「なんか、乾いた棒がぶつかって……」
オレにも聞こえた。カラカラって、何かがぶつかり合う小さな音だ。
「まだ……なんか出るのか?」
オレが言うと、らんまが首を傾げた。
「ここの守備隊、魔物に襲われて全滅って……」
「おいやめろ!」
「まさか、守備隊の幽霊なんかじゃ……」
もっと悪いモノだった。屋根が落ちて壁が崩れかけた建物から出てきたのは、剣を持ったガイコツ兵士だった。スケルトンだ。
「うえぇー!」
オレもらんまも悲鳴を上げた。もうほとんどボロ布になっている衣服の切れ端が、ガイコツが動くたびにバラバラに崩れて落ちていく。折れて錆びた剣を提げて、そいつはオレたちに向かってきた。
「おりゃー!」
らんまが跳び蹴りを浴びせると、ガイコツはガチャガチャ音を立てて崩れ落ちた。
「なんだ、弱いじゃん」
「らんま! そいつ、アンデットだから死なないぞ!」
オレが言ったそばから、バラバラになったガイコツは地面でまたひとつになって立ち上がってきた。
「ひえぇ~!」
らんまの空中回転連続回し蹴り。ガイコツがバラバラに飛び散る。でもまた組み上がって、向ってくる。
「無駄だって! 逃げるしかないんだ!」
しつこくオレたちを追いかけてくるスケルトン。さいわいスケルトンの動きは遅い。オレたちは一度出入り口とは反対方向に逃げて、スケルトンが追ってくるのをかわし、砦から逃げ出した。遮る雑魚モンスターを踏み潰して岩山を駆け下り、ようやく夕べ夜明かしした場所まで帰り着いた。
あの
「死なずに無限戦闘って。それじゃ、どーすんだ?」
らんまが息を切らせて水を飲みながら訊いた。
「あれは……聖職者じゃないと、退治できないよ」
二人とも、疲れ切ってへたりこんだ。日が暮れてきたので火を熾して、少なくなった干し肉を炙ってカチカチになったパンを食べる。
「あのガイコツ、追ってこない?」
らんまが口の中で肉をしゃぶりながら言う。
「出現範囲は限定されているはずだけど、出てきたタイミングが気になるな」
「なんで?」
オレの予測を注意深く聞き始めるらんま
「あいつ、オレたちが砦に入ったときは出てこなかった。ボスオーク倒して旗を取ったら出てきた……つまり、オレたちは出現フラグ立てちまったのかもな」
「フラグ?」
「条件だよ。オークか旗かわからないけど……いや。あいつが守備隊のなれの果てなら、その旗を追ってくるかも知れない」
オレは、らんまが枕にしている守備隊の旗を指した。
「ってコトは、ずっと……町までついてくる?」
「そう……なる、ね。 なった……みたい」
岩山の方から、例のカラカラ音が近づいてくる。