女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
朝食でも食べようとメインストリートを歩いていると、そこかしこから声が上がった。
「らんまちゃん!大型公演のジュリエットの活劇、良かったぜ!」
「昨日のレストランでの特別公演もすごく興奮したぜ!」
「二人のラブラブっぷりは最高だったぜ!
オレ達はすっかり有名人になってしまったみたいだ。この街で1番の劇場のトップ俳優になってしまったのだ。芸能人のようなものだろう。
「らんまちゃ~ん!こっち見て~!」
「またセラルディを倒した時みたいな人間離れした動きを見せてくれよー!」
「ヘヘッ、照れるぜ!ったく、オレは猫拳使った時のことなんか覚えてねーっつーの!」
こんなことを言いながらも、らんまは騒ぎ立てるファンどもに元気に手を振りかえしてやっている。目立ちたがりのらんまのことだ。どうやら、キャーキャー言われるのも満更ではないらしい。
「らんま、すっかり有名人だな」
「な~に言ってんだよ、達也もだろ?オレ達ふたりじゃなきゃできない公演なんだからさ」
そうだ。セックスはひとりじゃできない。そして、オレはらんまとじゃないとセックスしない。したくない。らんまだって、オレとじゃないとセックスしない。だから、あのロミオとジュリエットの公演はオレとらんまにしかできないのだ。らんまが他の男を相手にすることはない。
「らんま・・・」
「達也・・・」
見つめ合うオレ達。昨晩散々セックスしたというのに、オレのペニスは衰えを知らない。らんまの情欲も、止まることはないようだ。オレ達の情熱の火が消えることなど有り得ないのだ。人々が見守る中、オレとらんまは唇を重ねた。他人の視線など気にせず、互いの唇を貪る。
「んっ、ちゅっ、ちゅっ、んむっ、らんまっ・・・!」
「あむっ、んっ、ふっ、ちゅっ、達也・・・!」
互いに互いをかき抱き、舌を絡め合う。
「ロ、ロミオとジュリエットの特別公演か!?見逃してたまるかよ!」
「こんなゲリラ演出もあるのか!?こうしちゃいられない、みんなに集まるように言わないと!」
「ま、まさか、こんな真っ昼間の屋外で達也とらんまはヤっちまうって言うのか!?」
興奮した様子のギャラリー達は、成り行きを固唾を飲んで見守る。いったい今日はどんなラブシーンが見られるのか!?らんまのセクシーショットを網膜に焼き付けようと、目を皿のようにしている。オレ達はスケベかもしれないが、この街の男達もとんだ好き者ばかりじゃないか。まぁいい。オレ達に散々稼がせてくれたのはこいつらなのだ。今日も、こいつらが一生かけても抱けないような特上の女、らんまとのセックスを見せつけてやるぜ!らんまを抱き寄せたその時―――――
「待てぇぇっ!!!」
怒声を浴びせられ、思わずオレとらんまは我にかえって声の方向に目を向けた。その先には、ワナワナと怒りに震えたひとりの青年が立っている。傍らにはオロオロと心配そうにしている女性がすくんでいる。
「お前らは・・・」
昨日、レストランで捨て台詞を残して立ち去ったカップルだった。
「なんだ、お前ら?オレ達になんか文句でもあるのか?」
らんまが挑発的な台詞を投げつけた。
「お前ら、演劇をなんだと心得る!芸術の名を借りて、ふしだらな行為で衆目を集めやがって!」
「ね、ねぇ、やめようよ・・・」
女性が青年を嗜めるが、青年の気は治まらないようだ。
「随分、敵対心の高いヤツだな。嫉妬心を拗らせたらんまのファンか?」
「そんなわけあるか!!!」
怒鳴り声を上げる青年。どうなることかと見守っていた観客のひとりが声を上げる。
「あっ!あいつ、らんまちゃんと達也さんの前にあの劇場でロミオの役をやってたアレックスじゃないか!?」
「一緒にいるのはジュリエット役のナディアじゃないか!」
ははーん。オレは合点がいった。オレ達の前に主役を張っていた俳優だ。オレ達がロミオとジュリエット役に抜擢されてからというものお払い箱になってしまい、オレ達のことがまるで面白くないってわけだ。
「アレックスとナディアは、そもそもそんなに売れてなかったよな」
「ああ、芸術重視の劇で、とりわけエロいことをするってわけじゃなかったし」
アレックスに怒りの矛先を向けられないように、こそこそと話し合うギャラリーたち。
アレックスとナディアが、オレたちに怒りをぶつけてきた瞬間、ギャラリーたちはささやき合い始めた。彼らもこの突然の口論がただ事ではないことを感じ取っていたんだろう。
ナディアは怒りのままにらんまを指差して、「こんなちんくしゃが主役を奪うなんて許せない!」と声を荒げた。
らんまはその言葉に顔を曇らせ、明らかにショックを受けていた。
し~ん。
しばしの沈黙が流れる。
らんまの頭の上に『ちんくしゃ』という4文字が重くのしかかる。
「ちょ……っと、らんま……」
オレは心配そうに、ぷつぷつぷつと怒りがたまるらんまに声をかける。
「もしかすると傷ついてんの?」
ふっと前髪をかき上げた後に、らんまは大きく手を広げた。
「達也さまっ……!」
次の瞬間、らんまは急に力強くオレに抱きついてきた。オレは反射的にらんまをお姫様抱っこで抱え上げる。
「ほほほほほ。そのちんくしゃに負けたのは誰かしらっ」