女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
らんまは意地悪く笑った。その言葉にナディアは「きいいいいっ!」とヒステリーを起こし始める。
アレックスはナディアを落ち着かせようと腕を掴んだが、ナディアは抵抗しながらもらんまを睨みつけていた。
「舞台上で、あんなに淫らで変態なことばかりして、恥ずかしくないの!」
「べつにいいじゃな~い。お客様たちが見たいって言ってるんだからぁ」
ぶりっこらんまが甘えた声で、ナディアに反論した。
ナディアはらんまの甘ったるい言葉に顔を真っ赤にして怒りを露にし声を荒げる。
「見たいって、見たいって…それだけ? そんなことで芸術を汚すの!?」
「芸術じゃなくて大衆演芸。観る人が楽しめればそれでいいのよ。あんたみたいに、自分の価値観だけ押し付けるのは違うんじゃない?」
「でも、それじゃあ芸術じゃない!ただの…ただのお色気ショーじゃない!」
ナディアは更に怒りを募らせる。
「ふ~ん、でもさ、お客さんは喜んでるわよ? 達也と私のセックスがもっと見たいって。おーっほほほほ。お色気も芸術のうち、もっと広い心を持ったらどうかしらぁ?」
らんまはナディアを挑発するようににっこりと微笑んだ。
「ちょっとあなた! そんな低俗な…!」
ナディアの声は徐々に高くなり、周りの観客もこのやり取りに興味津々で見守っていた。
「低俗? あんたは何を言ってるの? わたし達は求・め・ら・れ・て・る・の。あんた達にはそれが理解できないのかな?ジュリエットの座は渡さないわ」
らんまはさらにナディアを煽る。
ナディアはしばし言葉を失ったが、すぐに力強く言い返した。
「私たちの演劇は、心を動かすものだった。あなた達のように安く肉体を売ることなく!」
「心を動かす? そうかもしれないけどさ、人の心は色んな形で動かされる。あんたたちの演劇も素晴らしいかもしれない。でも、オレ達の演劇にだって価値はあるの。それを否定する権利はない!」
らんまの言葉には自信と誇りが込められていた。
二人の間に緊張が走り、周りの空気も一層重くなる。しかし、らんまはナディアに一歩も譲らなかった。この口論は、ただの言い争いに留まらず、見物人たちは、この戦いに固唾を飲んで見守っていた。
アレックスが「もういい、帰ろう!」と強く言い、ナディアを引っ張った。
「今に見てなさい!」と叫ぶナディアが、メインストリート広場から裏通りへと消えていった。
オレは心の中でため息をついた。もしもこのままらんまとナディアが演劇で決着をつけることになったら、アレックスとナディアの持つ演技力には正直敵わないかもしれない。オレたちは彼らとまともに演劇で勝負することになれば、間違いなく負けてしまう。
「らんま、今回ばかりは、むやみに挑発に乗っちゃダメだ。彼らとは、演技で対決しても勝ち目がないんだ」
らんまはオレの言葉を静かに聞き入れながら、ゆっくりと地面に降り立った。
「達也、心配させて悪かったな。でもな、オレだって達也と舞台に立っていたいんだ」
メインストリートに戻ると、観客たちがホッとした表情で再びオレたちを取り囲んだ。
「大丈夫か?」「もう大丈夫だよ」とらんまが返すと、彼らも安堵の笑顔を見せた。
そうして、オレたちは、その夜も、ロミオとジュリエットとして公演をこなすのだった。