女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
それから、オレたちは何日も、何度も丹念に調べ始めた。昨日までに見逃していたかもしれない隅々まで手を伸ばし、書類や本を一つ一つ手に取る。
「達也、こっちの棚、昨日はチェックしきれなかったから、もう一度見てみよう」
らんまが指摘した棚には、海水に濡れたような古い地図や書類が散乱していた。その中から、一枚の航海チャートが目についた。チャートはかなり古く、縁が少し破れていたが、島の周りの海域と近隣の島々が記されている。
「これだ! らんま、これがあれば近くの島へ行けるかもしれない」
オレが興奮気味にその地図を広げると、らんまも覗き込んできた。
「本当だ、ここから一番近い島までは、それほど遠くないみたいだね。ただ、船がないと…」
「ないなら、作るしかないな。櫓が作れたんだ。イカダを作るくらい簡単だろ」
「うん、それもそうだね。でも、まずは材料をしっかりと確保しないと。この島には使える木材がたくさん落ちてるし、その他にも必要なものは見つかるはずだ。」
らんまの言葉に頷きながら、オレたちは地図を折りたたみ、必要な物資を集めるために建物から出た。太陽が高く上がり、島の密林はひときわ青々と輝いている。
「じゃあ、まずは木材を集めよう。その後、ロープやその他の道具があればなお良い」
オレたちは手分けして、海岸線沿いと森の中を探索した。木材には直ぐに目を付け、なるべく長くて丈夫そうなものを選んだ。また、島のあちこちに漂着したゴミの中からは、ビニールシートやロープなども見つかった。
「これ、使えそうだな」
らんまが拾ったのは、少し色褪せたがまだしっかりとしたビニールシート。これがあれば、イカダの底部分を強化できる。
一通りの材料を集めた後、オレたちは海辺に場所を移し、イカダ作りを始めた。
「達也、こうやって何かを作るのは楽しいな。特にお前と一緒だとね」
「でも、こんなイカダで本当に近隣の島へ行けるのかな……」
「大丈夫、大丈夫。心配いらねーよ、いざとなれば、泳げばいい」
「泳ぐって、かなり遠いぞ」
「へーき、へーき」
軽口を叩くらんまの表情からは、いつもの自信がにじみ出ていた。その楽観的な態度に、オレの不安は少しずつ和らぎ、何とかなるかもしれないという希望が心に芽生え始めた。
「お前がそう言うなら、なんとかなるかもな」
そう言って、オレも笑顔を作る。らんまと共にいると、どんな困難も乗り越えられるような気がしてくる。それが、オレたちがこれまで数えきれない困難を乗り越えてきた証だった。
作業を続けながら、オレたちは過去の冒険について話をした。それぞれが感じた恐怖や喜び、そしてその都度どう乗り越えてきたか。その話をするうちに、オレの中で不安が小さくなっていく。
「なあ、らんま。こんなに困難なことも乗り越えてきたんだ。これくらい、なんとかなるよな?」
「ああ、もちろんだ。オレたちが一緒ならな」
海のそばでイカダを作る作業は、少しずつ形になっていった。木材を丁寧に組み合わせ、ビニールシートで底を固める。ロープでしっかりと固定して、波にも耐えられる強度を確保する。それぞれの作業には、過去の冒険で培った知識と技術が活かされていた。
「達也、これで海を渡る準備は整ったな。さあ、新たな地を目指そう」
らんまの言葉に、オレは頷いた。最初はただの脱出手段として始めたイカダ作りが、次第に新たな旅立ちへの一歩として感じられるようになっていた。イカダに最後の一つの結び目を固める手が、わずかに震えていた。それは恐怖ではなく、新しい未来への期待によるものだった。
「よしっ、明日の朝に、出発だ」
らんまが笑いながら言うと、オレも自然と笑顔になった。確かに、こんな状況でも、一緒に何かを成し遂げるのは心強く、どこか楽しささえ感じる。
「オッケー!わかった。らんまとなら、どんな困難も乗り越えられる気がするよ、ありがとうな、いつも」
イカダがほぼ完成に近づいたころ、夕日が海をオレンジ色に染め始めた。