女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
八宝斎は魔王を復活させ、その力を手に入れようとしている。そのキーアイテムとして7つの宝玉が必要である事が八宝斎の口から語られた。
今、オレの手元にはオークを倒したときに得た「赤の宝玉」、サハギンから譲り受けた「青の宝玉」の二つがある。
神斧ラブリュスを守っていたミノタウロスの「黄の宝玉」は奇しくも八宝斎に奪われてしまった。
八宝斎が他に、いくつ宝玉を持っているんだろう。でも、残りの宝玉がまだあるなら、八宝斎よりも早く入手する必要がある。宝玉の手掛かりはなにもないと思っていたが、一つだけあった。オレたちがオークを倒したときに得た赤の宝玉は、とある貴族の屋敷から盗まれた物だと勘違いされて、その貴族に仕えている兵隊に捕まえられてしまった事があった。
貴族の名前はたしか『ベリーヌ』
そのベリーヌの屋敷を訪れて、誤解を解き、宝玉の情報を聞き出してみるべきだと思った。きっと、なにかを知っているかもしれない。
兵隊は陸路でオレたちを連れていこうとしていたから、ベリーヌの屋敷はオレとらんまがこの世界に降り立った最初の大陸にあるはずだ。しかし、このノードヴェスト大陸(北西の大陸)ほどではないにせよ、最初の南東の大陸もかなりの広さだ。闇雲にベリーヌの屋敷を突き止める事はできない。どこかで情報を得る事が必要だ。
「情報屋といってもな……」
らんまと炎都カルデアを散歩しながら、ベリーヌの屋敷へ行く方法を考える。
炎都カルデアは活火山地域でもあり、流れるマグマを流用しているのかどうかはわからないが鍛冶屋が多く営まれていた。街のあちこちで鉄を打ち鳴らし、剣や斧、槍が作られている。
宿屋の話では、この炎都カルデアで世界の武器の多くが作られているといっても過言ではないそうだった。
「という事はだ……ベリーヌに仕える兵隊の武器を作っている可能性もあるんじゃないかな?」
「なるほどな、達也の言うとおり、その可能性も少しあるな。そうと決まれば、手分けして鍛冶屋にベリーヌの事を聞いてみようぜ?」
「だな♪ あ…ちょっと待った、らんま。相手は貴族だ、いちおうベリーヌ様とかベリーヌ公爵とか敬称はつけておこう。失礼な事をしてまた、捕まるのは避けたいからな」
「面倒くせえけど、そうだな。そうしておくよ」
オレとらんまは手分けして、数ある鍛冶屋に一軒ずつ、ベリーヌ公爵の兵に武器を卸していないかと聞き回る事にした。
数時間後に炎都カルデアの広場で待ち合わせるオレとらんま。再び合流した。
「どうだ? ベリーヌ公爵と関連する鍛冶屋はいたか?」
「いや、いなかったぜ。そもそも、名前も知らないみたいだった。達也のほうはどうだ? 」
「こっちもだ。 うーーむ、そうか。このカルデアの鍛冶屋からは武器を買っていないのか、もしくは南東の大陸で作られている武器を使っているのかもしれないな」
「だー、こうしてる間にも八宝斎のじじいが残りの宝玉を探しているかと思うと、気が気じゃねえぜ」
らんまの言うとおり、八宝斎はあらゆる手を使って情報を隈なく入手しているはずだ。その証拠に宝玉が魔王を復活させるアイテムであった事もミノタウロスを倒すと手に入る事も知っていた。焦ってばかりはいられないが、のんびりもしていられない。でも、この青と赤が本物なら、いつかは情報を聞きつけた八宝斎が現れるはずだ。そのときは、なんとしてでも、らんまと力を合わせて宝玉を守りぬかなければ……。
「こっちの赤い宝玉のほうはらんまに渡しておくよ」
「えっ? いいのかよ」
「あぁ、お互いに一つずつ持っていれば、八宝斎に奇襲かけられたときでも、どちらかだけでも守りきる事ができるだろ?」
「そういう事ならわかった。それじゃ、達也から受け取った宝玉は大事にしておくぜ。任せとけって」
それから、らんまと宿屋に戻るべく、歩いていると一軒の鍛冶屋が見えてきた。数十セットの剣や斧、防具を運びだしている。
「あそこの鍛冶屋に聞いたか?」
「いや、まだ、聞いていないぜ?」
オレは出来上がった装備品を運んでいる男らに聞いてみる事にした。
「もしかして、その武器たちってどこかの兵隊に送るものだったりするのですか?」
「おー、よくわかったな。この武器はこれから貨物船に乗せてベリーヌ公爵の屋敷に運ぶものだ」
心の中でガッツポーズをした。最後の最後にようやく見つかったな。
らんまと二人で顔を見合わせ、ニヤリと笑った後、男に頼み込んだ。
「ベリーヌ公爵への武器運び、オレたちに手伝わせてください」