女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
「つまりはだ、この旗が骸骨の奴らの目的ってことか…」
らんまが手に持った旗を見つめながら考えた。オレも一緒になって、この後、どうすればいいかの打開策を考える。
このまま、旗を持ったまま街へ帰れば、スケルトンを街へと連れ帰る事になる。街へ戻れば、誰かが退治してくれるだろうけど、それだと報酬が減るだろう。そもそも、街をパニックにした原因の冒険者として疎まれてしまうかもしれない。
スケルトンに大人しく旗を渡して、旗を持ち帰らなければ、当然、報酬もなしで一文なしのままだ。
いずれにしろ、スケルトンを倒さなければいけない。かといって、オレもらんまも天敵の聖職者ではない。
そのとき、一つの考えが浮かんだ。
(ここがゲームの世界ならば、聖水をかければスケルトン系モンスターを成仏させる事ができるのでは?)
「らんま、オレたち、ゲームの世界にいるんだよな。あのスケルトンたちに聖水をかければ、倒せるんじゃないか?」
「あの骸骨野郎に聖水をかける?そうかもしれねぇけどさ、聖水ってどこにあるんだ?そんなもん持ってないぞ」
「たしかに…、くっ、万事休すか」
たしか、街の道具屋には『聖水』が売られていた。それほど高い値段ではなかったから入手も生成もそれほど難しくはないのだろうけど。
近づいてくるカラカラ音が大きくなりながら、オレは腰に着けた雑嚢の中にある赤い宝石のことを思い出した。これはオークを凶暴にさせていたわけで魔石の可能性が高い。もしかすると、水筒の中に入れたりでもしたら、水が魔石の力で浄化されて『聖水』に変わるなんて事があったりしないかと考えを巡らせた。
やってみる価値はある。なによりもオレはらんまとのこの旅をまだまだ続けたい、スケルトンたちの餌になるものか。
カラカラと音を立てながら、スケルトンが岩山の影から現れた。さっきまでのスケルトンに加えて、2体増えている。合計3体のスケルトンがオレとらんまに襲いかかってきた。仲間を呼んだか。案の定、ここは無限戦闘で経験値を稼げるポイントのようだ。でも、それはゲームだったらな。
「危ない! らんま」
「おう!」
オレの忠告よりも、一瞬早く、らんまが反応した。殴りかかってきたスケルトンの攻撃を避けるオレとらんま。びゅんっとオレの耳寸前にスケルトンの剣が風を切った。
らんまが拳と回し蹴りを駆使しながらスケルトン3体の相手をしだした。らんまと言えども、3体の不死身モンスターを相手にはできない。らんまが1体を倒しても、その間に残り2体が襲いかかってくる。その2体のうち、どちらかを倒しても、先ほどの1体が起き上がってくる。
まさに無限戦闘—。
らんまが交戦しだしている間に、一か八か、オレは慌てながら、水筒の中に宝石を押し込んだ。水筒の中の水の色が少しずつ変わっていく。
よし、これなら、もしかするともしかするかもしれない。
「伏せてっ! らんま!」
合図を出すと同時にらんまが身を低くして頭を伏せた。その間にオレが水筒を振り回し、中の水をスケルトンにかける。
予想は的中した。聖水となった水筒の水をかけられたスケルトンはその場で高熱を発したかのように湯気を立てて、骨が溶けていく。
「達也、ナイス!」
「へへ……、咄嗟の思いつきだったけど、効果ありだったな、残ったやつらにもかけてやるぜ」
らんまが蹴りを入れ、倒れたスケルトンにも聖水をかけて、骨を溶かしていった。
骨が解ければ、湯気が空に立ち込めていく。
空に立ち込め、昇ってゆく3つの湯気を眺めるオレたち。
「しつこい骸骨モンスターだったけど、元は人間だったんだろうな……、安らかに成仏してくれ」
らんまが情けの言葉をかけた。普段はおてんばで元気いっぱいならんまだけど、こういう優しいところがあるんだよなと思いながら、オレも手を合わせた。ま、西洋の幽霊だから十字架が相応しいだろうけど、日本人の習慣として合掌で祈った。
そうして、オレたちは『砦の解放の印』としての旗を街へと持ち帰るべく、来た道を歩いて戻った。
意気揚々と前方を歩くらんまのお尻を眺めながら思った。オレは元の世界には戻りたくない、いつまでもらんまとこの世界で旅をして、こうやって冒険の日々を過ごしてみたい。そのためにはモンスターたちに負けたりする事は許されない。
でも、今回の戦いではらんまだけが戦っていて、オレはなんとか、その戦闘についていくのでやっとだ。
「もっと強くなりたい……、らんまのためにも」
心の言葉を口にしてしまえば、聞こえたのか、前を歩くらんまが振り返った。
「ん? 達也、なんか言ったか?」
「あ、いや、そのさ……、オレは足手まといだったんじゃないかって思ってさ」
「はぁ〜? 足手まとい? そんなことねーよ、オマエが機転を利かせてくれたおかげでオークもスケルトンも倒せたじゃないか?」
「そうかなぁ……」
「それにさ、今日の冒険、すごく楽しかったぜ♪ これからもよろしくな、相棒」
らんまがニッコリと微笑みながら右手を差し出してきた。その手をオレもしっかりと握り返した。
「あぁ、これからもよろしく。オレ、らんまのために強くなるから!」
夜になる頃にオレとらんまは見慣れた暖かい灯りを目印に、拠点としている街へと帰ってきた。