女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
57☆.楽太郎
麓の温泉宿でひとときの休暇。というか、セックスしまくっていたオレたちは紫の宝玉をサキュバスから入手したとベリーヌ公爵に報告しようとベリーヌアイランドへと戻ってきていた。
「はぁはぁ、ぜぇぜぇ…達也、らんま!アイツを追いかけてくれ! 」
ベリーヌ騎士団の兵隊たちが息を切らせながら走ってきた。顔は真っ青で小さな影を指差している。
「大変だ、今さっき、宝玉が盗まれたんだ…はぁはぁ、ぜぇぜぇはぁはぁ 」
「なんだって?宝玉が盗まれただと?誰に」
屋敷で宝玉を保管している場所の警備は万全のはずなのに、一体、誰が。
「あそこ、あいつだ」
オレたちは兵隊の一人が指差したほうに目線を向けた。八宝斎と同程度の頭身。あいつは楽太郎だ。
「あれは楽太郎?!」
「追いかけるぞ、らんま」
八宝斎と同程度の大きさの子供を追いかけるらんまとオレ。八宝斎に続いて、あいつまで、この世界に入ってきたのか。しかも、宝玉が盗まれたという事はあいつも魔王の力を?
「待ちやがれー!」
オレたちは来た道を戻るようにベリーヌアイランドの入り口から、また街の外へ出ていく。楽太郎は小さいわりに八宝斎と同じように、跳ねながら駆けていく。まったく追いつけない。距離は離れるばかりだ。
「くっそ、仕方ねえか…! おら、楽太郎、これを見ろ」
らんまがアーマーを外し、乳をぺろんと丸出す。
ぺろん♪
「お姉ちゃん♡」
楽太郎がUターンして、らんまの乳に吸い寄せられるように戻ってきた。らんまがタイミングを合わせ、うまい事カウンターのラリアットを喰らわせ、草原に叩きつけた。
「あいかわらずのドスケベ野郎だぜ…」
「ナイスラリアット♪らんま、さぁ、楽太郎……いや、楽京斎。宝玉を返せ」
喰らったら、絶対に痛そうなラリアットにオレは拍手を送った。
「久しぶりだな、らんま…。相変わらず、卑猥で卑怯な手を使うもんだ。達也、オマエははじめましてか? これが欲しいか?」
楽太郎が宝玉をチラつかせてきた。青の宝玉。ベリーヌに預けてたものだ。こうなったら力づくで奪うしかない。
—バーサク!
狂戦士かしたオレはすべての体重を乗せ、楽太郎に殴りかかる。
「まだまだ動きがあまいな、雷神毛筆拳!」
どこからともなく、身体のサイズよりも大きい毛筆を取り出し、オレの拳をいなした。オレの手にはバツマークが書かれている。一瞬で毛筆で攻撃を避けている間に書いたのか。
「達也!気をつけろ、こいつは八宝斎のじじいと実力が変わらない。それに多彩な筆技の数々を持ってやがるんだ」
噂には聞いた事ある。かつては、八宝斎の旧友だったが、八宝斎に奪われた墨「錦の蝶」を狙うために「童子溺泉」に自ら入り、子供の姿となって八宝斎に近づいてきた本来の姿は爺さんであり、そのときの名前は楽京斎。
オレは神斧ラブリュスを取り出し、らんまも神獣のツメを装備し、筆をかまえる楽太郎と向かいあった。誰ひとりも足を一歩も動かさず睨み合う。
「相変わらずの素晴らしいオッパイだな、らんま……また胡蝶乱舞の餌食にしてくれる」
胡蝶乱舞は楽太郎の雷神猛筆拳の究極奥義。「錦の蝶」という虹色の墨を蝶の形にして飛ばす。その実体は女の乳拓を取るためのエロ奥義。すなわち、七色の乳拓を取るだけな馬鹿げた技だ。しかし、楽太郎の技はそれだけではない、長く生きているだけに様々な技を持っている。でも、それもすべて、あの筆がなければできない。
「らんま! 筆だ、筆を狙うぞ」
「おう、わかった!いくぜぇ」
らんまが踏み出すと同時にオレも飛びかかって、斧で斬りかかっていく。神獣の爪を装備したらんまの拳とオレの斧が、楽太郎の筆に当たる。
「このまま、叩き斬ってやる」
叩き斬るどころか、楽太郎はうまく筆を回転させ、オレの斧とらんまの爪先をカキンカキンとそらしていく。手が痺れるほどに楽太郎の筆の振り回しは強い。なんで八宝斎と同じくらい身体が小さいのにこんなにパワーがあるんだ。物理や筋力の法則、無視してんだろ。
「らんまは元より、達也。オマエもなかなかできるな?すごいエネルギーだ。それに、二人とも、神武器まで持っているとはね。厄介だ。封じさせてもらうぞ、ニカワ緊縛墨!」
楽太郎の多彩な筆技の2つ目が繰り出された。ニカワを混ぜられた墨がオレの斧とらんまの両手に飛ばされる。攻撃手段である斧と爪が完全に封じられた。らんまは早々と見切りをつけ、墨で封じられた神獣の爪を地面に外した。オレも斧はあきらめ、地面に置く。
そこにベリーヌ騎士団の兵たちが合流した。楽太郎を取り巻き、囲んだ輪を小さくしていく。
「これだけの人数だ。観念して、宝玉を返しな」
「この人数を相手にするのはたしかに不利……卑怯なやつらめ、山葵爆煙墨!」
楽太郎がワサビを混ぜた墨を爆発させ煙を起こした。煙に包まれ、兵たちも全員含めて、楽太郎の姿を見失ってしまった。煙は姿をくらますだけではなく、目に染みる催涙ガスの効果も兼ねていた。
「くあ、目に染みる…!くそ、どこだ、楽太郎」
「げほげほっ、完全に逃げられたな」
オレは煙を手で払い視界を取り戻しながら、らんまに近づいた。
◆◇◆◇
オレたちはベリーヌランドの屋敷へと戻り、体制を立て直す事にした。楽太郎に盗まれた宝玉はなんとしてでも取り返さなければならない。それに、八宝斎と合流して宝玉を揃える事もあるかもしれない。あの二人、なにかと協力関係になる場合もあるし。
屋敷に戻るなり、楽太郎の存在についてベリーヌに説明した。
「八宝斎に続いて、今度は楽京斎、いや、楽太郎までが宝玉の奪い合いに参戦か」
ベリーヌ公爵が口元に手をあてて考える。オレとらんまのパーティ。そしてベリーヌ騎士団が協力しあって、楽太郎から取り返さなければならない。
「そもそも、どこへ行ったのかもわからないしな、心当たりもない」
「らんま、なにか、思い当たる場所とかあるか?」
「いやー、なにもないぜ。八宝斎と同じでどこに隠れているのか検討つかねえ」
ベリーヌも含めて、部屋にいる全員が頭を抱え込んでしまった。
「あと、ひとつ、オレが持っている宝玉を絶対に奪いにくるはずですよね」
オレは雑嚢から宝玉を取り出した。この宝玉だけはなんとしてでも、守りきらなければならない。先ほど、奪われなかったのが不幸中の幸いだった。
翌朝、オレたちが泊まっている宿屋の窓にメッセージが毛筆で書いてあった。
『南の洞窟で待つ。宝玉を欲しければ二人とも武器も防具も外した裸で残りの宝玉をすべて持って来い。』
裸でって、オレも?