※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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6.持ち帰った宝玉

「達也……」

 

 街の明かりが近づいて、宿の前にある篝火が見えてきたとき。らんまが小さな声で言った。

 

「さっきから、つけられてる」

「うえ?」

 

 オレは思わず振り返った。

 

「バカ! 振り返るな」

 

 らんまがそう言ったとき、背後の暗闇から走ってくる足音が聞こえた。

 

「また、ガイコツ?」

「ガイコツがあんな足音たてるかよ。左右に分かれて!」

 

 オレは左に、らんまは右に跳んで構えた。

 

「おいガキ共! 命までは取らねえから。お宝をよこしな」

 

 お約束な、追い剥ぎ盗賊のセリフだった。人数は4人、剣を持っているのは二人。あとはこん棒とナイフだ。とは言えこっちもらんまは素手、オレはスケルトンから頂戴した錆び剣だけだ。

 

「お宝ぁ? それ、なんのことかしら~?」

 

 らんまがすっとぼけた声で言う。

 

「しらばっくれるな! お前らは西の岩山にある旗を取りに行ったんだろ!」

 

「やだぁ~。そんな恐いこと、できな~い。命からがら逃げて来たのよぉ~」

 らんまが『ぶりっ子』ポーズで言うが、しらばっくれるにしてもわざとらしすぎる。

 

「おいお前」

 

 リーダーらしい一人が、剣でオレを指した。

 

「女とお宝を置いて、失せろ」

 

 ビキニアーマーだけで武器も持たないらんまを何だと思ったのか、そいつは危険な選択をした。オレもおとなしく従う気はなかったけど、らんまが目顔で合図を送ってきた。オレは剣をベルトに戻す、スケルトンは鞘を持っていなかったので剣だけだ。

 

 らんまと盗賊たちに背を向けた瞬間に、背後で打撃音が起こった。背中越しに振り返るともうナイフを持った男が倒れて、剣を持った一人はのけ反っている。

 

「達也ぁー。ひとり頼むよー」

 

 らんまの声。オレは錆び剣を抜き直して、リーダー格の男に向き合った。竹刀でなく、本物の剣で人と対するのはこれが初めてだ。恐かったけど、勝たなかったら殺される。

 

 オレは覚悟を決めて息を吐き、両手で中段に構えた。

 

「なんだ……その、おかしな構えは」

 

 片手で剣を構えた男が言った。明らかに戸惑っている。たぶんこっちの世界では見たことがない剣の構えなのだろう。気合いをこめて一歩踏み出した。

 

「おらあぁ!」

 

 男が斬りかかってくる。

 

「ええーいっ!」

 

 オレは男の手元めがけて剣を振り下ろす。鋭い金属音、オレンジ色の火花。

後ろに数歩よろめいた男の剣は、鍔のところからなくなっていた。

 

「おお……ああ?」

 

 男が口を開けて折れた剣を見つめ、手に残った柄を放り投げて逃げ出す。

 

「達也、すげーじゃんか」

 

 倒れた男の上に座り込み、らんまが笑いながら手を叩いた。

 

「すごいな、この錆び剣……」

 

 スケルトンの剣をかざすと、それはもう錆びた剣ではなかった。あの一撃で刀身の錆が全部飛んだのだろうか、街の灯を映して光っていた。

 

「へえー、それもお宝だったんだな」

 

 らんまが剣をのぞき込んで言う。

 

◆◇◆◇

 

 街へ戻り、翌朝武器屋の主人に守備隊の旗を渡した。

 

「これは……確かにあの旗だ。よく無事に帰って来れたな……その剣は?」

「砦から出てきたスケルトンのです。サビサビだったけど、盗賊を相手にしたらこうなりました」

「ちょっと……見せてくれ」

 

 武器屋の主人は剣をしげしげ見回して、柄を布で磨いてのぞき込んでいた。

 

「これは……たぶんジーガンフ隊長の剣だ。鞘は?」

「ありませんでした……ジーガンフって?」

 

 オレが訊くと主人は頷いた。

 

「私の上司だった人だ。援軍を呼ぶために、私はあの砦から伝令に出たんだ……だが戻ったときにはもう、砦は奪われた後だった」

 

 オレとらんまは顔を見合わせた。すると、あのスケルトンのどれかがその隊長だったことになる。

 

「旗を降ろしたら、入るときにはいなかったスケルトンが出てきました」

「隊長は、まだ旗を守り続けていたんだな……倒したのか?」

 

 オレはちょっと答えに困った。

 

「こいつが、その場で聖水作って溶かしちまいました」

 

「聖水?」

 

「あ……」

 

 オレは思い出した。オークから引っこ抜いた宝玉だ。

 

「オークのボスの、頭にはまってた石です。これを水に浸して、スケルトンにぶっかけてみました」

 

 ナイフが刺さったままの宝玉を見せると、親父さんは目を剥いた。

 

「これは……凄いモノだな。これは、どうする気だ?」

「いや……売ってみようかって……」

「これほどの物になると、交換所で売るには街の人間の保証がいるよ。私が紹介状を書いてあげるよ」

 

 旗を取り戻したお礼のゴールドも貰い、紹介状を持って交換所へ行き宝玉の鑑定を依頼した。鑑定には数日かかるらしい、その間にオレたちは武器屋から貰ったゴールドで装備を補強する。らんまはマントを新調し、オレは剣の鞘を作ってもらった。剣の鞘には模様を無料で入れてもらえるという事だったので『R&T』と入れてもらった、もちろん、RanmaのRとTatsuyaのTだ。この鞘、めちゃくちゃ気にいったぜ。

 

◆◇◆◇

 

 そして指定された日に交換所へ行くと、何だか雰囲気がおかしかった。普段なら冒険者と旅の商人しかいないのに、場違いな軍人のような人間がいる。

 

「何だろ?」

 

 オレが訊くと、らんまも首をひねった。

 

「さあ?」

 

 交換窓口へ行き、宝玉の預かり証を見せた。窓口の人がちょっと手を上げて誰かに合図した。やっぱり何か様子が変だ。

 

「お前たち、そこを動くな!」

 

 その声に振り返ると、入口から兵隊がどやどやと踏み込んできた。

 

「へ?」

 

「お前たちが持ち込んだ宝玉は、ベリーヌ氏の屋敷から盗まれたものだ。事情を聞かせてもらおう」

 

 俺たちの後ろに立っていた軍人が合図すると、オレもらんまも両腕をつかまれて交換所から引きずり出された。抵抗しても無駄なことは言われなくてもわかった、兵隊は20人以上いるのだ。

 

 町外れの、どうやら軍の基地みたいなところに連れ込まれて。二人とも牢屋に放り込まれた。

 

「おい! あれは西の岩山でオークから取り返した物だぞ! 盗んだんじゃない!」

 

 抗議をしても、誰も聞いてくれない。

 

「しょーがない。取り調べを待つしかないだろ」

 

 らんまが諦めた口調で牢屋の冷たい床に寝転がった。

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