女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
63.最終装備
七つの宝玉が揃ったオレとらんまはベリーヌの屋敷に戻った。この宝玉を使って魔王の復活を阻止するために封印し直す方法を教えてもらうためだ。
ベリーヌの部屋に騎士団の幹部を含めて、十数名が集まっている。参謀役に情報役、そしてオレたち特命係。
「いやー、しっかし、ホントに集めてしまうとはな」
「まぁ、八宝斎のじじぃに集められなくてよかったぜ、ホント」
「苦労した甲斐があったな、ホント、色々あった……」
西の砦でオークを討伐したところから始まったオレとらんまの旅はこの宝玉と一緒といっても過言ではなかった。一言じゃ語りきれない冒険の数々だった。虹色の七つがそれぞれ呼応するように輝きを放っている。
「んで、集めた後はどうすればいいんだ?」
ベリーヌが世界地図を机の上に広げた。まだ、オレたちが行ったことのない大陸や場所も書かれた広大な地図だ。今いる大陸と北西の大陸の間のなにもない海をベリーヌは指差した。
「この地図の中央に魔王の城がある島がある。この宝玉たちは本来、そこに祀られているのだが、私の先祖、すなわち勇者が魔王を討伐し、この宝玉を封印したはずだったのだけど、誰かが封印を解いてしまった結果、各地のモンスターが所持して力を得ていたというわけだ」
「なるほどな!じゃあ、話は簡単だな。ここにもう一度、封印しにいけばいいんだな」
「ま、そういうことなんだけど…城は主人である魔王を失っても強力なモンスターがいる。そこを突破する必要がある。危険な島だからこそ、こうして、地図にはあえて書かないままになっているんだ」
まさにラストダンジョンという感じだな。これは気を引き締めていかなければ。
「危険な旅を任せて申し訳ない。本来なら勇者の末裔である僕も行くべきなのだが、あまり僕は戦闘が得意ではないから、なにからなにまで頼ってしまってすまない」
珍しくベリーヌが頭を下げた。たしかに勇者の末裔として宝玉を封印し直すのは義務なのだろう。
「なに言ってんだよ、水臭え。オレと達也に任せておけば、無問題だぜ?」
「そうそう、オレたちの冒険の総決算でもあるんだ、行かせてほしい」
「まぁ、そう言うとは思っていたから船や兵の準備は進めておいた、それと、あれを出してくれ」
ベリーヌが執事に伝えると執事が鎧を持ってきた。いかにも勇者が身につけてそうな鎧だ。
「これは私のご先祖の勇者様が身につけていた防具・ブレイブアーマーだ。これを達也には着てもらいたい」
ブレイブアーマー、直訳すれば『勇者の鎧』か。
「でも……オレは勇者には相応しくありません、これはやっぱりベリーヌ、いや、公爵が身につけるべきでは?」
「いや……でも」
ベリーヌや屋敷の執事や騎士団の連中はオレに着てもらいたそうだったが断った。オレが勇者だなんて、そんな器じゃない。オレはただただ、らんまと冒険したくて宝玉を集めたり戦ったりしてきたわけだから。
「達也、これはオマエが着るべきだとオレも思う……」
らんまが執事から鎧を受け取って、オレの前に差し出した。
「これから行く場所はベリーヌの言うとおり、かなり危険な場所だ。防具は十分なものを身につけていくべきだ。それに、達也、オマエはオマエが思ってるよりも勇者してるとおもうぜ。最初にオークと戦ったとき、オマエはなにもできなかった。ハッキリいって、オレひとりで戦わなきゃって思ったさ。でも、あの日からオマエは勇気を出して戦ってきて、いつもオレを助けてくれたじゃねーか」
「らんま……」
「らんまちゃんの言うとおりだ、キミの勇気に救われたって焼け跡の村や各地の人からいっぱい話は届いている」
「わかりました……皆さんがそう言うなら」
オレは別室に行って、執事さんに手伝ってもらいながらブレイブアーマーに着替えた。アンダーウェアに袖を通し鎧を着装していく。もう何十年も経っているというのに錆ひとつないメタリックブルーの鎧だ。オレは恥ずかしながら、ブレイブアーマーに着替えた後、らんまやみんなが待つベリーヌの部屋へ戻った。見世物みたいで恥ずかしいが、みんな、笑顔で拍手で迎えてくれた。
「サイズもピッタリでちょうどいいじゃねーか、ほんと、勇者って感じだ。 よ!勇者さま」
らんまがオレをからかう。照れ臭くて顔が熱い。
「ふふふ、僕もよく似合ってるとおもうよ、でも、安心したまえ宝玉の封印が終わったら返してもらうから」
「ほんと、いっつもいっつも、達也ばっかズルイよなー、オレもカッコいい防具が欲しいぜ」
「らんまちゃんの分もちゃんと用意してあるよ♪勇者と共に魔王を倒した仲間の防具がね、それはある意味、そのブレイブアーマーよりもすごい性能なんだ。どんな魔法も無効化する…」
『どんな魔法も無効化する?!』
オレとらんまが声を揃えた。そして、執事が持ってきたのは白い紐だ。
「はい、お持ちしましたよ、『もっとあぶない水着』」
執事が持ってきた紐水着を手にとり、唖然としているらんまにオレは笑いがこみあげてきた。この世のなかにあれよりも、もっとあぶないのがあったとは。
「だぁあー!!馬鹿野郎、オレ、こんなの絶対着ねーぞ、こんな格好でウロウロと魔王の城行ったら、まるっきり馬鹿じゃねーか」
「らんまちゃん、なに言ってるんだよ、これはアンダーウェア。この上に着るんだよ」
「へっ……?」
紐水着を手にしたらんまの時が止まり、運ばれてきたのはチャイナドレスのような道着だった。昇龍の刺繍が縫い込まれている。
「こちらが先代の奥様が身につけていた天龍の道着とヘア・アクセサリです。アクセサリは勇者様から武道家様への贈り物だと伝わっています」
「水着は下着として身につけて、上からはこれを着るんだ。」
残念! 『らんま、もっとあぶない水着でラストダンジョンでいく』クエストは開始されなかった。
オレと同様に天龍の道着に着替えに別室へらんまが行き、戻ってくるのを待っていた。その間にベリーヌから魔王の島の説明を聞いた。
「定期的に様子を見に行っている団員の話では島自体にモンスターがいるそうだ、そのモンスターは同行する団員と僕が相手をするから、その隙に達也とらんまちゃんは城を突破していってくれ。ただ、城の内部の地図はないのでどれだけの広さかはわからないけれど……」
「おまたせ……」
天龍の道着に着替えたらんまが戻ってきた。スリットが大きくはいったチャイナドレス風の武道着だ。めちゃくちゃ良い!らんまが歩くたびにセクシーな太ももが見え隠れする。身体のサイズもピッタリみたいだ。
「おー、よく似合っているね、これも私の先祖様のものなのだけど、身体にピッタリだ」
らんまの身体のサイズにピッタリだなんて勇者様に同行した武道家様も、相当なナイスボディだったんだろうなって、先祖って言ったな、今。
「もしかして、勇者様ってその武道家さんと結婚したんじゃ……」
「そうだよ、その通り」
今、オレは勇者の鎧を着て、らんまは武道家の道着を着ている。ただ、それだけの類似なのに二人して顔が真っ赤になるほど恥ずかしくなった。
いつもどおりに魔王の城への出発は翌朝となった。オレとらんまは屋敷を歩いて、ベリーヌランドの宿屋へと歩いていく。二人きりとなったところでオレから先に会話をはじめた。
「その天龍の道着、よく似合ってるぜ、らんま。ホント、武道家みたいだ」
「これ、軽くてすっごく動きやすいんだ♪ それにこのヘアアクセサリもすごく可愛いし、おさげを結ぶ紐のとこに身につけちゃった♪」
「んでさ、その下にはさ、さっきの紐水着はちゃんと着てるんだろな?もっとあぶない水着。べつに魔王の城はいったらさ、二人きりなんだから、紐水着姿で戦っていいんだからな、どわ!」
らんまからオレの頭にゲンコツが飛んできた。バコン!っと。
「アホ! ドスケベ! ちゃんと着てるよ、言われなくたって、な!」
「痛ててて…! 強く殴りすぎだ、天道あかねの事を言えないくらいらんまだって凶暴じゃないか」
以前なら、あかねのあの字も出していなかったが許嫁を解消したことによって、自然とオレからもその名前を出せるようになっていた。
「着替えているときにメイド長から聞いたんだけど、勇者様も武道家さんと二人旅だったらしいぜ?勇者様らも旅しながら、オレと達也と同じようにセックスしまくってたのかな」
「さぁ?どうかな、でも、武道家さんもそんな紐水着を下着にするくらいだから、スケベだったのかもね」
「それなら、それを着せた勇者様も相当なスケベだぜ」
らんまには言わなかったが、勇者様も相当なスケベだった事をオレは知ってる。だって、この鎧、股間部分だけ空洞が空いている。これは勃起しても収まるようになっているみたいだ。
でも、オレのほうが勇者様よりも大きいかもな。