女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
魔王の力を手にしたサキュバスとの死闘から、数ヶ月後。オレはらんまと港町ソイツエストで一軒の喫茶店を営みはじめていた。この世界で唯一のパフェ専門の喫茶店だ。街の奥に建てた店は『PAND』と名付けた。らんまが大好きだったパフェがある元の世界の喫茶店をモデルとした。ちなみにオレたちは元の世界には戻っていないので店名の許可は取っていない。
喫茶店をこの世界で開業した発端はらんまがあそこのパフェをまた食べたいと言いだしたのがキッカケだった。
オレもPANDのパフェは何度か食べた事があり、まずはチョコバナナパフェを見様見真似で挑戦してみた。すでにケーキやチョコレートの類を売っている店は、こっちの世界にもあったので、そこから材料を分けてもらったり、作り方を聞き、バナナを取り寄せたりして、作ってみた。
らんまと一緒に食べたところ、これがまた、絶品だった。それで多くの人に食べてもらいたくて店を開業する事にしたわけだ。
魔王の力を得たサキュバスを討伐した報酬としてベリーヌ公爵から無理やり、いや、快く、融資してもらい、二階建ての店を建ててもらった。一階は喫茶店で二階はリビングルームと寝室だ。地下には武器や防具を保管する特別な倉庫と運動用のリングも作ってもらった。
港町ソイツエストは人の出入りも多く、材料の取り寄せに船便も使える事から商売を始めるには最適な街だ。他にもこの港町ソイツエストにした理由がある。それは、オレとらんまがはじめて男と女として結ばれた……つまり、はじめてセックスした宿屋があるからだ。店が建ってからは、ここに住んでいるが、たまにその宿屋にも泊まらせてもらっている。魔王サキュバスを討伐した後は材料の取り寄せや商業ギルドへの登録で忙しかったが、相変わらず、らんまとはセックスしまくりの日々を送っていた。
◆◇◆◇
今日も喫茶PANDには行列が並んでいる。メニューはコーヒーとチョコバナナパフェしかないのだが、特別営業ということでバニーガールの格好のらんまがウェイトレスをやってもらっているからだ。
「はい、いらっしゃいませ。 二名様ですね、こちらの席へどうぞー♪」
「らんまちゃん、喫茶PANDのオープン1ヶ月記念おめでとう♪」
「今日も来てくれてありがと♪ ごゆっくりしていってくださ〜い」
以前にもらんまがバイトをしたときに猫飯店が大繁盛した事がある。
あくまでもオレからの提案だが、オープン初日からスタートダッシュをかけるため、らんまにバニーガールの格好で接客してみてはどうかと提案してみた。最初はノリ気でなかったらんまもいざ、はじまると持ち前のサービス精神というか、着てしまえば、そこからは……という具合で、たちまち、ソイツエスト近辺の噂になり、オープン・スタートダッシュは大成功した。
今日はオープンから1ヶ月の記念日ということで、また、久しぶりにバニーガールの姿でウェイトレスをやってもらっている。男性客も女性客も並び、大行列となってしまった。
厨房ではオレがあたふたとパフェを作っている。ホント、世の中、魔王討伐でも、喫茶店営業でも、なんでもやってみるべきだったと思った。こんなオレが作ったパフェを多くの方が美味しいと言ってくれるのだから。
メニューがコーヒーとチョコバナナパフェしかないから、まだ、なんとかなっているが、数種類のパフェや別メニューを出したら従業員を雇わなくてはならなくなる。しかし、従業員がいると面倒な事も多いので、喫茶PANDは二人でやりくりできる店の広さと営業時間にしてある。営業時間は10時から15時の週休3日だ。休みすぎだが、むしろ、そのほうがレア感があるようで客が入らない日はまったくない。人件費はかかっていないから、正直、けっこう儲かっている。
15時を迎え、最後の客を見送った後、片付けをしながら、バニーガール姿のらんまが愚痴をこぼした。
「いっひゃぁ〜、さすがに疲れたぜぇ、まったく。ホント、商売も楽じゃねーな」
「お疲れ♪ ま、ある意味、クエストやモンスターを討伐するよりも、この世界じゃ商売のほうが割りがいいからな」
「こんな事やるために、この世界に残ったんじゃないけどな、はは♪」
そう、魔王討伐後には元の世界に戻るための『ゲート』が開かれたのだが、オレとらんまは元の世界には帰らなかった。天道あかねやシャンプー、響良牙といった元の世界の者の多く、というか、ほとんどの者は元の世界での暮らしが、やはり良いのか、ゲートを通って帰っていった。
オレとらんまはこの世界での居心地も悪くないし、この世界でしなければいけない事もあるからと残ったのだ。
この世界では喫茶店の営業だけではなく、重要な任務にも就いている。それは再び、魔王を復活させない事だ。七つの宝玉を集め、それを世界の中央に位置する島にある魔王城の玉座に持っていくと魔王を復活させる事ができる。正確には魔王の力を得るという事なのだが、それをまた、企てる輩の出現を阻止したり、魔王不在でも老獪なやり口で暗躍しかねない魔導士ゼノリスの動向もチェックする必要があるわけで、ベリーヌ公爵からの直々のお願いでオレたちは、その任務に就いていた。
その他にも、この世界での最強の武器である神器の管理もオレの大事な任務だ。地下の倉庫にはオレの特殊な魔法で施錠した倉庫がある、その中に5種類の神器のうちの4つを重要保管している。
七つの宝玉も同様に保管すれば良いのだが、襲撃を受けて、盗まれる事もあれば、魔王復活の危険性があるからと、世界に散らばったままにした。伝説の神器の1つである『聖剣エクスカリバー』はベリーヌ公爵の屋敷で重要保管してもらっている。
これらの事はベリーヌ公爵や騎士団の参謀とオレたちで相談して決めた。リスク分散の方法というわけだ。
あと、もう一つ、この任務につくにあたって、オレからもベリーヌ公爵にお願いした。それは世界を救ったのはこのオレとらんまではなく、別の勇者だった事にしてくれと。この世界で生活していくには、伝説の勇者扱いされては、なにかと堅苦しくなるので、そうさせてもらった。つまり、一般の人らの間では100年ぶりに復活した魔王を阻止した伝説の勇者はその後、消息は不明となっている。
そういえば、先代の勇者は4人パーティだったとも聞いた。勇者と武闘家の末裔はベリーヌなわけだから、残り二人の末裔も、この世界にどこかにいたりするのだろうか。いるなら、知り合っておいて、非常時にはパーティを結成したりしたいものだ。もしかするとベリーヌなら知っているかもしれないから、今度、会ったときに聞いてみるとしよう。
「今日も店に来た客らがさ、魔王を倒した伝説の勇者の話してたぜ、まさか、ここにいる達也がそうだとは思わないよなー、はっははは♪」
「あまり大きな声で言うなよ、店は閉めたとはいえ、盗み聞きされたら困るぞ」
「悪ぃ、悪い、ついー、うちの旦那が勇者なもんで、ふふふ」
そう。オレとらんまはこの世界では結婚して、正真正銘の夫婦となっている。
「それじゃ……らんま、片付け終わったら、後で部屋に……」
「もちろんだ♪ 約束だしな」
オープンしてからの1ヶ月の記念日である今日をオレも楽しみにしていた。なんせ、営業が終わった後は二階の寝室でバニーらんまとセックスをするのだから。