※この作品はR-18です。

女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き   作:RNOVEL

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8.脱出〜達也とらんまの逆襲

 夜が明けてしばらく経ったころ、兵隊が一人やってきた。そいつが来た時に見張りの兵隊が『気をつけ』したので、たぶん偉い奴なのだろう。

 

「名前は?」

 

 鉄格子の向こうに立って、そいつが聞いた。

 

「オレは達也、こいつはらんま」

 

 腹が立って答えたくもなかったけど、ここで逆らっても良いことはなさそうなので答えた。

 

「タッツヤとラマー? おかしな名前だな」

 

「ここの人間じゃないからね」

 

 納得したのかそれともどうでもいいのか、名前のことはそれ以上訊かれなかった。

 

「10日ほど前からこの街にいるそうだが、その前はどこにいた?」

 

 一番質問されたくないことだった。答えようがないのだ。

 

「二人で、西の方から流れてきたの」

 

 らんまがにじって前にきて、オレの代わりに答えた。

 

「西? 西と言っても街はたくさんあるぞ」

「この辺ははじめてだから、何て街だったのか知らない。それより、オレたち武器屋で紹介状書いてもらったんだけど、詳しいことそこのご主人に……」

 

「もう聞いている」

 そいつがらんまを遮って言った。

 

「あの親父は私もよく知っている、問題はお前らが何者なのかと言うことだ。たった二人であの砦跡に入って、生きて出てくるなど不可能だ」

 

「不可能じゃなかったってことだろ?」

 

 オレはかなりムカついて言い返した。

 

「本当に、お前たち二人だけか?」

 

 それから、いろいろ質問された。つまり、俺たち二人だけで砦跡のモンスターをやっつけて守備隊の旗を取り戻したってことを信用していないらしい。

 

 やっと尋問が終わると、見張りの兵隊がパンと水をよこした。それだけ。

 

「何も貰えないよりはマシだね」

 

 らんまがバサバサのパンを苦労して食べながら言った。これほど腹が減っていなかったら、オレはこんなパン放り投げているだろう。

 

 それからまたしばらく放置されて……トイレだけは牢屋の外で済ませることができた。

 

 午後になって、オレたちは牢屋から引き出されて手を縛られて、荷馬車に放り込まれた。

 

「どこへ連れて行くんだよ!」

「本営だ。そこで大隊長から尋問を受けてもらう」

「おい! 俺たちは泥棒じゃないって言ってるじゃないか!」

「ベリーヌ氏がお前らの顔を見たいと言っている。違うとわかれば解放だ」

 

 さんざん文句を言ったけど、馬車は動き始めてしまう。馬車はどうも軍隊のではなくて、街の荷馬車を借りているらしい。荷台に二人見張りの兵隊が乗っているけど、馭者は兵隊ではない。

 

「どうなるんだ。これから?」

 

 オレはらんまに話しかけた、でもらんまだってわかるはずがない。それより、見張りの兵隊たちがらんまを見る視線が気に入らなかった。あれは絶対にろくでもないことを考えている顔だ。

 不幸なことに予感は当たった。しばらく進んだところで兵隊が馬車を止めさせたのだ、らんまだけが荷台から引きずり下ろされる。これは絶対ヤバい。

 

「やめろー!」

 

 オレは叫んだけど、もう一人の兵隊に蹴られて荷台に転がされた。そいつも降りて、らんまを林の中に連れて行く。あいつらは、乱暴する気だ。

 

 オレは無我夢中で這いずって荷台から転げ出す。頭から地面に落ちて目から火花が出たけど、転がって立ち上がって走った。オレが荷台から落ちた音で兵隊の片方が振り返って、オレの方に走ってくる。

 

「らんまー! 逃げろー!」

 

 引き立てられていくらんまが振り返って、次の瞬間ジャンプした。つかまれている腕を軸にして、空中で回し蹴り。兵隊のこめかみにヒットした。よろめいて尻餅をついた兵隊がらんまの手を離すと、そのままらんまはこっちに走って来る。

 

「おらぁー!」

 

 らんまが叫ぶ。兵隊が振り返った瞬間らんまは跳び上がって空中で前転、そいつの眉間に浴びせ蹴りを決める。こっちは一撃で伸びてしまった。

 

「達也! そいつの剣、取れ!」

 

 らんまが叫ぶ、オレは後ろ手で兵隊の短剣を抜く。向こうの兵隊が起き上がってこっちに来る。オレは肩の関節を脱臼するほど無理に腕をねじ曲げて、らんまの腕を縛っているロープを切った。

 

「おーっしゃ!」

 

 ロープが切れてほどけると、らんまは短剣を持って走って来る兵隊に向ってダッシュ。いくら何でも剣を持った兵隊に素手なんて無茶だけど、らんまは兵隊が束になってもかなわないモンスターを素手で倒している。

 

「ほいっ!」

 

 兵隊の寸前でスライディングして剣をかわして、らんまは敵の脚をからめて転倒させる。立ち上がろうとしたところに顔面へ跳び蹴り。ものの5秒で片付けてしまった。

 

「達也! 馬車!」

 

 らんまが叫ぶ。たったいま、あっという間に兵隊二人が倒されるのを見た馭者が馬車で逃げだそうとしている。

 

「おらー、待て! 荷物返せ!」

 

 荷台にはオレの大事なスケルトン剣が乗ったままだ。息を切らせて追いかけて、荷台の後ろに取り付いた。らんまがオレの背中を踏み台にして荷台に飛び乗る。

 

「おじさーん。命が惜しかったら、馬車止めて」

 

 短剣を突きつけられて、馭者は顔を引きつらせて馬を止めた。

 

「これで……」

 

 走り去っていく馬車を見送って、オレはらんまに言った。

 

「このあと、どうするんだ?」

 

 岩山でゲットした宝石や剣は残ったけど、ゴールドも軍に没取されてしまった。またゼロからやり直しだ。

 

「まあ……何とかなるだろ。達也もレベルアップしてるし」

 

【挿絵表示】

 

 らんまは何も心配していないように笑って言う。まあ、オレもらんまと一緒なら何とかなるような気がした。

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