女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
着いた日は日も暮れており、カザフ村をじっくりと見回れなかった。今日は時間もたっぷりあるため、村の端から端までを散策してみた。
「んー、あの宿屋、あんまり人気なさそうだな」
「だな。ちょっと行ってみるか」
一軒の宿屋が目についた。立派な温泉宿なのに、他の宿屋とは違って客のいない一軒のさびれた宿屋があった。
今回の旅はミスリルを手に入れる事もできなそうなので、旅費も節約しなければとらんまとそこの宿屋に入っていく事にした。
宿屋の前の看板には『大浴場は利用停止中』と書かれている。
「あら、珍しい。旅のお方ですか、どうぞ、どうぞ。こんな宿屋で良ければ、泊まっていってください」
「はい、すみません。5日程度、2名、お世話になります」
「5日も?! そんなにいいんですか。ここは街一番の温泉宿だったのですが、とある理由で温泉が出なくなっているのですが、それでも良ければ」
もう何日も客が来ていないのだろうか。店主は大喜びでオレたちを屋内に通した。
たしかにミスリル発掘で汗を流した連中は温泉で身体の疲れも癒したいだろうから、この宿屋が不人気な事も納得できた。
「そりゃ、風呂には入りたいですけど……温泉が出ないなら、それでもかまわないが」
「すみません……、じつは鉱山に人が出入りするようになってから、逆流した銀が固まってしまい湯源が塞がってしまっているんです」
「逆流した銀だって?」
オレとらんまが目を合わせる。
温泉宿の支配人に案内されて大浴場の裏の部屋に行くと、そこには高さが2mほど、直径5mほどの固まったミスリル鉱石があった。
「これ、銀じゃないな」
「もしかすると、これ、ミスリル鉱石かも?」
らんまがコンコンと叩くとミスリル独特の乾いた金属音が響いた。光があたっている部分は店の客が持ってきたナイフの刃の部分と似た輝きを放っている。
「支配人さん、これ、ミスリルですよ」
「これが、冒険者さんの皆さんたちが、こぞって探している金属でしたか……」
「皆が血なまこで探しても見つからないのは、ここにこれだけのミスリルが流れてたからだったのか」
「貴重な金属だとしても、これを動かそうにも固まってしまって重たいですし、頑丈すぎてどうすることもできなくて困ってたんですよ」
支配人が元気なく嘆く。それに同情したオレが名乗りをあげた。
「これを取り除くのオレたちに任せてもらえせんか?」
「おい、達也、いいのかよ?」
「取り除けるならぜひぜひ。それは願ったり叶ったりです。」
そうして、オレとらんまのミスリル大鉱石を除去するクエストがはじまった。
「こんなすごい金属を取り除いたりする事なんてできるのかよ?これ、カッチカチだぜ?」
「それは今から考える……、最大級のエネルギーを当てれば、もしかすると」
「でも、オレの飛龍昇天波じゃ、この宿の天井ごと、吹き飛ばしちまうぜ」
「でも、こういうときのためにこの技を会得しておいてよかったぜ、ちょっとらんま、離れてろ」
—オーラソード!
オレの手から闘気のエネルギーを具現化した剣が現れる。虚空から現れたそれを勢いよく振りかぶって、ミスリル大鉱石にあてた。
カキィン
オーラソードを振り抜いたが、大鉱石は割れるどころか、小さな傷がひとつついただけ。
「やっぱりな、傷ひとつつけるだけで精一杯か……」
「闘気エネルギーの刃なら、それを最大限にしないとダメだろ……って、まさか」
「うむ、らんま。じつはそれをオレも考えてたんだ」
ムクっとでかくなるオレの股間。
「こ、こんなところでか?」
「仕方ないだろ?これも人助けだぜ?それにミスリル鉱石を除去すれば、破片くらいは持って帰れるだろ?」
「ったく、ど変態だな。わかったよ、でも、やるなら、全力だよな……」
「ど変態はお互い様だろ♪」