女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
2-15.天道なびき来店
今日も喫茶店PANDを営業をしていると、珍しい客がやってきた。
「ハロ~、おひさ。らんまくんに達也くん、あんたたち、こっちの世界で結婚したんだって?」
天道家の次女・天道なびきだ。
なびきはオレとらんまの結婚式が行われたときには、こっちの世界には来ていなかったので、式には出席していなかった。結婚式のすぐ後に、天道あかねたちは元の世界へと帰っていったので、入れ違いで、こっちの世界へとやってきていたのかもしれない。こっちの世界で会うのは初めてだ。
そして、天道なびきといえば、金銭に対する欲が人一倍強く、儲ける事ができるならば、どんな事でもという守銭奴なわけで、おそらく、今日、ここにやってきたのも、なにか稼ぎのネタを手伝わせるためにでも来たのだろう。
とは言っても、オレは元の世界では、天道なびきから、『らんまの写真』を大量に購入させてもらっていたので、義理はあるといえばある。
追いかえす必要もないので、オレは笑顔で接客した。
「あら、なびきさん。お久しぶりです、こっちの世界、あ、いや……この街に来たんですね」
そもそも、オレとらんまは元の世界から来た事をこの喫茶PANDがある港町ソイツェストの住民や、こっちの世界の人らには秘密にしているが、オレら以外にも、なびきやあかねのように移動してきたり帰ったりする人がいるので、隠しておく必要はないかもしれない。
「なびき姉ちゃんじゃねーか、そそ、オレと達也は結婚したんだ。んで、今日はどんな用事だ? ろくでもない儲け話なら、帰っておくれ」
「ちょ……らんま、そんな帰すことはないだろ」
と、オレがらんまを止めると、小声で耳打ちしてくるらんま。
「達也だって、知ってるだろ? なびきのことは。関わるとロクなことはないんだから……」
なびきがオレとらんまに近いカウンター席に腰かけると、注文をしだした。
「あーら、美味しそうなコーヒー。それじゃ、いっぱい頂こうかしら、達也くんの奢りで♪」
「あ、はい。今すぐ、お出しします」
コーヒーぐらいを奢るのはわけないので、オレは言われるままにホットコーヒーをなびきの前に出す。
「ミルクとお砂糖をお付けしますか?」
「無料なら♪」
「もちろん、無料だよ!」
とらんまが、ドサっとミルクと砂糖をなびきの前に置いた。
「んで、どんな話だ? 用事があるなら、さっさと話してくれよ」
せっかちだなと思ったが、らんまはよっぽど、なびきの事を警戒しているらしい。たしかに、元の世界では、なびきに様々な仕打ちを受けてきているので無理もないか。
「んふふ……この世界を救った勇者さんとその仲間にとっては良い情報を持ってきたのよ?」
「「は?! なんで、そのことを」」
らんまと二人でなびきの言動に驚く。この街で過ごすために、魔王の力を得たサキュバスを倒したのは、オレたちではなく、別の勇者らにしておいてくれと、ベリーヌに伝え、その事はベリーヌ 騎士団とオレたちだけのトップシークレットなはずなのだが。
「なびきさん、その事をここで話されると困ります、オレとらんまはこの街じゃ、ただの喫茶店のマスターとその妻って事になってるんすから」
咄嗟に後輩口調になってしまうオレ。たしかに、なびきはオレの高校の先輩なわけだが。
「んふふふ、口止め料にパフェひとつ」
スプーン片手にパフェも無料でご馳走しろと催促してきた。
「…….わかりましたよ。それじゃ、今すぐ」
オレはグラスの底に、シリアルを入れ、チョコソースをかけ、そこにバニラアイス、輪切りのバナナ、ホイップクリーム、チョコソース、チョコアイスの順に入れ、ホイップクリームを高く絞り、アーモンドクランチをかけ、薄く切ったバナナと、お菓子を飾り、仕上げにチョコソースをかけて完成させたチョコバナナパフェをなびきの前に差し出した。
「あーら、美味しそう♪ いっただきまーす」
ニコニコ顔で無料パフェを食すなびきを横目にらんまは店内の客のメニューを受けたりしていた。
数分後、綺麗に食べ終わったなびきが、ようやく本題を話はじめた。
「美味しかったわ、ありがと。これよ、これこれ」
なびきが一枚のチラシを見せてきた。そこに書かれていたものは。
「ミス・ビーチサイドコンテスト?」
開催の日程と開催場所であるビーチの名前に添えられて、大きく書かれていたのは『ミス・ビーチサイドコンテスト』という文字。水着審査でのミスコンの催し物の宣伝チラシだった。
「そそ、おもしろそうでしょ。らんまくん、あんたも出なさいよ」
「オレが~? イヤだ、興味ねーから出ないぞ。勝手にやればいいだろ?」
「でもさ?どうせなら、多勢で競ったほうが商売になるでしょうが」
「商売?」
「そ♪コンテストのチケットを男どもに売りつけるのよ、儲かるわよ~」
ニコニコ笑顔でミスコンの計画と魂胆を口にするなびき。
店にいた常連客も面白がり、話に加わってくる。
「なにそれ? ミス・ビーチサイドコンテスト? それ、らんまちゃんみたいな美人さんいっぱい出場するんですか?」
「お、場所も、ソイツェストから行きやすい位置だ。チケットください」
「オレも、オレも~、チケット1枚」
「まいどありぃ~♪」
あっという間に数枚のチケットを店にいた常連客に売りつけてしまったなびき。オレとらんまが、その商売上手さに呆気にとられていると。
「んもぅ、ふたりとも、連れないわねぇ。ほら、よく見なさいよ、優勝商品のところを」
「優勝商品は……あぶない水着?」
「そそ、これ、らんまくんが魔王軍と戦うのに必要でしょ? どんな魔法も無効化にするっていう装備品らしいし」
そう、魔王サキュバスとの戦いであぶない水着をロストしてしまっているオレたちは、今はあぶない水着を持っていない。なびきの言うとおり、どんな魔法も無効化にする「あぶない水着」は入手しておく必要があるのだ。
「わかったよ……仕方ねぇ、出るよ。オレも」
「うふふ、話は決まりね。エントリーは私のほうで済ませておくから、その日時にビーチに来るのよ。それじゃ、バーイ♪」
常連客にチケットを売りさばき、らんまのエントリーが決まれば、そそくさと店を出ていったなびき。
「まんまと、なびきさんの計画に乗せられたな。いいじゃないか、ミスコンくらい」
「あのなぁ、なんで、このオレがミスコンに参加しなきゃいけねーんだよ。仕方ねぇな……とほほ」
斯くして、ミスビーチサイドコンテストに参加する事になったらんまであった。