女らんまと異世界冒険記 ※AIイラスト挿絵920枚付き 作:RNOVEL
2-18.達也が指名手配犯?!
ミスリル鉱石の旅から帰ってきて、数週間後。オレたちはまた、いつものように喫茶店を営業しながら、この世界での生活を過ごしていた。パフェは1日につき、50食程度、出るので、今日も同じくらいだろうと材料の確認をし、コーヒーを敷く準備をしたりしていた。準備ができて、店をオープンさせると常連客であるヤスが開店してすぐに店のドアをこじ開けるように入ってきた。
「はぁはぁ……達也さん、らんまちゃん、大変です!」
走ってきたのだろうか。全身汗だくで、息があがっている。落ち着くようにと、オレはコップに水を注ぎ、それをヤスに差し出した。長身痩躯なヤスは喫茶PANDオープン時からの常連客だ。見知らぬ土地というか、場所で店を切り盛りするオレたちになにかと親切にしてくれる。
「どうしたんですか、ヤスさん。そんなに息切らして。この平和な街に事件ですか?」
「そうそう、平和そのものなんだからさ、この街は。そんなに慌てて どこへ行く〜?ってな」
「そ、それがさ……達也さんが『貴族殺しの指名手配犯』になっちゃってるんですよ?」
「はぁ? そんなバカな。オレは殺人なんてしていませんし、なにかの間違いですよ」
「嘘じゃないですよ……ほら、これぇ……」
ヤスがにWANTEDと書れた指名手配書を差し出した。それには、オレの似顔絵が描かれている。受け取ったオレたちはその紙切れをまじまじと眺める。本当だ。オレが指名手配になっている、貴族殺しなんてしていないのに、いったいなんで。頭のなかが?マークだらけだ。
「えぇえー?! まじだ、達也の顔」
「信じてもらえましたか? ここは危ないです、逃げてください。賞金もかかってまずから、みんな、ここへ乗り込んできます」
ヤスがそう言う前に店の外には大勢の客が押しかけてきた。らんまが急いで店の扉を閉めて、鍵をかけた。ドンドン!っと行儀悪く、店の扉が蹴られている。
『おい!貴族殺しの達也はここかー?はやく出てこい』
『いるのわかってるんだぞー』
「どわ?!ホントだ。達也、地下から逃げようぜ」
「そうしたほうが良さそうだな……」
こんな事もあろうかと喫茶店兼自宅の地下から街の外に出れる秘密の通路を作っておいて良かった。ヤスを連れて、階段から地下へ降りていく。
オレとらんましか立ち入れない地下室は、ヤスには見せたくなかったがしょうがない。オレは黒いレンズのメガネ。つまり、サングラスで顔を隠し、地下室のリング下に潜った。ここの床下に隠し通路を作っておいた。小瓶から光の精霊ピクシーを出し、照らしてもらいながら通路を進んだ。
「この小さな蛍さんたちはなにものですか……? なんで僕たちの周りを都合よく照らしてくれてるの」
「ヤスさん、ちょっとその辺り、言えない事情ありまして、聞かないでください」
「申し訳ない、話せないんだ」
「わかった、わかった。私は達也さんとらんまちゃんのことを信じますよ」
ヤスから渡された指名手配書には依頼主としてオルレアン伯爵の名前も書かれていた。こんな世界だからこそ、貴族の一声で殺人を犯していない者でも簡単に指名手配されてしまうのだろうか。オルレアン家なら、ソイツェストから数キロの場所にある。以前にもチョコバナナパフェを届けた事があるので、行って、誤解を解くか、なぜオレが指名手配になったかを説明してもらおう。冤罪は晴らさねば。
地下通路から地上へと出る。港町横の草原に出ると、また地下通路へつづく穴を草で覆い隠し直した。
「オルレアン家はオレ、ひとりで行く。らんまとヤスさんはどこか近くの街で身を隠しておいてくれないか?」
「はぁ?こんな緊急事態で達也をひとりで行かせれねーよ、オレも一緒に行く。一緒じゃなきゃイヤだ」
オレはしばし考え込んだ後、らんまの意思を尊重する事にした。
「わかった、でも、もしもオレが捕らえられそうになったときはらんまとヤスさんは逃げてくれ」
「承知した!」
「わ、わかりました……」