アブラニンニクザーメンマシマシ 作:FUCKaiser ファッカイザー
連続投稿します。
水が波打ち、跳ね、飛沫を上げる音と甲高いホイッスルが屋内プールに響く。
「お~し、ラストだ。100本ラリーいくぞ。気合い入れてけー!」
「えーつ!」
「マジかよ~」
「なんでだよ」
「うるさい! お前らがたるんどるからだ。さっさとは始めろ!」
水泳部専属の岩田コーチの号令のもと、男子部員達がプールに飛び込んでいく。
桜ヶ丘永光学園。
文武両道を旨とする日本屈指の名門校。
好成績を収める部活動の中でも、特に活躍目覚ましい水泳部。
今日も岩田コーチの激が飛び水泳部員は練習に励んでいた。
「みんな頑張ってるわね。水瀬さん」
「はい。大会も近いですし。特に今年の男子はカイト……雨宮くんもいるし。いい結果残せそうですから」
「そうね。部長の雨宮くんは国際競技大会の強化選手に内定してるし、次の大会も期待できそうだわ。もちろんあなたにも期待しているわよ」
クールな表情を崩しニコリと笑いかけたのは、水泳部顧問であり桜ヶ丘永光学園の教頭である愛染マコト。
彼女に対するは、水泳部副部長であり学園のマドンナ的存在の水無瀬リナだ。
一足早く練習の終わった女子達はタオルで躰を拭きながら、岩田コーチにしごかれる男子部員をからかいながらも声援を送っている。
学園のマドンナと学園一の美人教師の周りは、ポッカリと空間が空いていた。
二人のオーラとでも言おうか、近づきがたい雰囲気があった。
その大半は、美しくも厳しい愛染先生が原因かもしれない。
下手な男子よりも高い身長に鋭い目つき、甘えを許さない弁舌は、生徒教師を問わず畏怖の対象でもあった。
だがそれよりもやはり、周りの配慮が大きいといえた。
この二人が揃った美しい光景を汚したくないという……。
だから遠巻きに二人を見ている者は多い。
屋内プールの外からガラス越しに見学している者達から、声援を送っている女子の水泳部員、それに鋭意100本ラリー中の男子まで。
多くの者の意識や視線が二人に集まっていた。
今行われている100本ラリーも、二人をチラチラと見ている男子部員達に喝を入れる目的だった。
女子部員、とりわけ水無瀬リナをチラチラと見るのはいつものことだ。
ヤリたい盛りの男子生徒達だ、岩田コーチもそれぐらいでいちいち文句は言わない。
ただ今日はもう一人のゲスト、愛染先生の存在が男子部員の集中力を欠かせることになった。
多忙な愛染先生が見学に来ることはそれほど多くない。
しかし今日はたまたま時間が空いたのだろうか、練習開始からいた。
しかも水泳部の競泳水着姿でだ。
パーカーを羽織っていたが、ジッパーは下ろされていた。
つまりあの愛染教頭の躰のラインがハッキリと判る状態。
普段のスーツ姿からも十分にその豊満な肉体は確認されており、学園内の男達から非常に高い評価を得ていた。
それがまさかの競泳水着である。
見事なまでに発達した大きなバストに鋭角にくびれたウエスト。
そこから急カーブを描くパンパンに盛り上がった大きなヒップ。
その下に続くムッチムチの太もも。
スラリと長く引き締まったふくらはぎ。
年頃の男子が色めき立つのも無理なかった。
愛染先生本人はそれを知ってか知らずか、いつも通りの冷静な眼差しで部員達の練習を見ていたが。
色めき立ったのは男子部員だけではなかった。
どこから嗅ぎつけたのか、時間が経つごとに屋内プールの周りにも男子生徒達が増えていった。
それに気づかぬ岩田コーチではなく、腑抜けた部員たちを周りに見せるわけにはいかないと、喝を入れるのも当然と言えた。
だが残念なことに愛染教頭が競泳水着を着て見学に来たのは、これが最初で最後だった。
その姿は有志によって動画と画像という形で残された。
伝説の水着回として、今も男子生徒たちの間では高値で取引されており愛染先生の人気は不動のものとなった。
多くの見学者の中に一人の男がいた。
この男の目当ては愛染先生ではなく水瀬リナであったが、愛染教頭の競泳水着姿に目を見開いた。
そして水瀬リナを確認しつつも、ジッと熱い視線を愛染教頭の躰に送り続けていた。
もし、この場にこの男がいなければ、もしかしたら愛染先生の今は変わっていたかも知れない。
だがそれは何時でも何処でも転がっている“もしも”の一つでしかない。
全ては結果論なのだ。
いくらその“もしも”を考えたところで、今が変わるわけではないのだから…………。