※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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お久しぶりです。


 何度か直して、漸く完成できました。


殻を破り捨てろ。

「(春輝ったら、なにを考えてるのかしらっ!?)」

 

 

 アサギは今、きらら、ゆきかぜと共に春輝の向かった五重塔へと駆けていた。既に火柱の数本は春輝が影分身を使って行った“土遁、落し蓋”、“土遁、粘土落とし”によって塞がれており、避難した者達も多く、仲間達へも連絡もでき、あとは合流を待つだけであった。

 

 

 しかし、春輝はアサギの言葉を待たずに先に行ってしまったのを見てアサギはゆきかぜときららを連れて、仲間達に連絡してから五重塔へと向かっていた。その中で自分達を置いていった春輝に対してゆきかぜは頬を膨らませていた。

 

 

「もうっ!お兄ちゃんってばなんで1人で行くの?!私たちってそんなに頼りないの!?」

 

 

「そう言うのじゃないとは思うけど……少しは頼ってほしいわね。春輝ってば何でもかんでも背負い込むんだから……。全く……。」

 

 

 春輝を心配する2人の様子を見て、アサギは3人の仲の良さを見て内心微笑んでいたが、それ以上に春輝の事が気がかりであった。春輝は普通の対魔忍よりも忍術に優れているが、体術などにも伸び代があるが、如何せんワンマンプレイに所があった。

 

 

 それは春輝の『仲間を傷つけたくない』という思いから来るものなのだが、その優しさは道を踏み違えれば『他者を信用していない』という誤った解釈をされ、彼を周囲から孤立させてしまう……。

 

 

 そうなれば春輝は裏切り、敵になってしまうかもしれない……。

 

 

 それだけはダメだ。彼は稀に見る稀有な存在、こんな所で道を誤らせるわけにはいかない……アサギは強く決心し、春輝の向かった五重塔へと駆けていく。

 

 

「(待ってなさい、春輝。)」

 

 

◆◆◆

 

 

「風の呼吸、塵旋風・削ぎ(じんせんぷう・そぎ)!」

 

 

「現前、放刃雷切!」

 

 

 その頃、春輝は五重塔にて天御剣の勇斗、蓮弥と共に天地 泉水との激しい剣戟を行っていたが、風を纏った“白鰐”による斬撃を放つが、泉水はその一撃を雷を纏わせた状態の“現前”から巨大な雷の刃を放ち、打ち消すと春輝はそれを横に跳んで避ける。

 

 

「ちっ!!」

 

 

「ふふふっ!なかなか面白いな、今時の忍は器用なのだなッ!」

 

 

「喧しいっ!「どけっ!」うおっ!?」

 

 

「うらああぁぁぁっ!!」

 

 

「現前・突風壁!」

 

 

 春輝が追撃しようとした瞬間、蓮弥が春輝を突き飛ばして王蛇で斬りかかるが、その一撃すらも泉水は自身を中心に竜巻の壁を作り防ぐ。追撃で勇斗の居合いを放つも、その斬撃すら泉水の妖刀『現前』に弾かれてしまう。

 

 

 すると、泉水は嫌味を込めた笑みを3人に向けて笑みを浮かべる。

 

 

「ふっふっふっ……天御剣の隊長と副長、そして面白い力を持つ忍。まさかこんな連中と戦えようとはなっ!だが……呼吸が合っていないな?そんな事で私の相手が務まるのか?」

 

 

「喧しいっ!こんな忍者野郎なんざ居なくても、俺らでやれるっつうんだよ!おい、忍者野郎!テメェはすっこんでろよ。『術に頼らなきゃ何も出来ない奴』なんざ居ても意味ねぇからな!」

 

 

「なっ!!?」

 

 

 蓮弥の言葉に愕然としていると、蓮弥は泉水に向かって駆け出してしまい、勇斗はため息を吐くと蓮弥の後を追い、泉水に追撃を図ろうとする。

 

 

 春輝も共に戦おうと駆け出そうとした瞬間、春輝の中にいる“もう1人の春輝”が話し掛けてきた。

 

 

《やぁ、久しぶり♪》

 

 

「(お前っ!?何の用だ!?お前に構ってる時間はないんだ!)」

 

 

《そんなに邪険にしないでよ。それよりさぁ、聞きたいんだけどさぁ……何であいつらと一緒に戦うの?敵とかと勘違いされて、その上で酷いこと言われて?それで何で誰かと一緒に戦うの?》

 

 

「(あれは……俺の方にも原因があって。それは、反省してる。)」

 

 

《ふ~ん?そうなんだ……けど、色々見てて思ったけどさぁ、そんなことどうでも良くない?だって結局は“他人”じゃないか。他人は自分より強い者に媚売って、弱い者を見下して傷付ける。それにさぁ、何で誰よりも力を持ってる春輝が誰かに合わせるんだ?それこそおかしいよ。》

 

 

「(何が言いたいんだ……。)」

 

 

 拳を強く握りしめる春輝に“もう1人の春輝”はニヤリと嗤って、耳元で囁いた。

 

 

《……簡単だよ。キミに必要なのは“強さ”。圧倒的な強さが必要なんだ。仲間?誰かを頼る?一緒に戦う?相談相手?そんな物はいらない。キミにはキミの中にいる“九尾”の力と“多彩な才能”、そして“目覚めた力”がある。お友達ゴッコや馴れ合いなんてやりたい奴にやらせれば良いんだ。試しに、その雷刀で“あの2人”ごと殺ればいい。それがキミが先に進む第一歩だ。》

 

 

 “もう1人の春輝”は春輝の手に持つ雷刀を指差して、勇斗と蓮弥の2人を殺すように囁く。今2人は泉水を相手に応戦しており、春輝は手に持っていた雷刀と2人を交互に見る。その様子を見ていた“もう1人の春輝”はニヤニヤと嗤いながら、その顛末を心待ちにしていた。

 

 

 しかし、春輝はその雷刀を精神空間にいる“もう1人の自分”に向かって振り、その切っ先を向ける。

 

 

《……何のつもりかな?》

 

 

「(色々気付かせてくれてありがとう。いや、本当につくづく成長しないな俺は……。)」

 

 

《どういう意味だ?》

 

 

「(何でもない……。けど、アドバイスは有りがたく受け取っとくよ!)っしゃあっ!!」ボボンッ!

 

 

 春輝は自身の頬を両側から叩くと、雷刀を持ちながら影分身を使い、分身は真上に飛び上がり、本体はまっすぐ泉水へと駆けていき、そして、上と前方から先程とは異なる雷撃を放った。

 

 

「すまん、避けろ!」

 

 

「「っ!!?」」

 

 

「「雷遁、双爆雷!」」

 

 

「「っ!?」」

 

 

 春輝の放った強烈な雷の爆弾が弾ける。影分身は役目を終えて消えると、勇斗と蓮弥の2人はその一撃を避けるが、泉水も自身の力で双爆雷を相殺して離れていた。

 

 

「(今の電撃……雷に近い威力、いや雷その物だったな。あの小僧、普通の忍とは何かが違うな。面白そうだ……。)」

 

 

 そんな中、春輝の方に跳んで避けた勇斗と蓮弥。勇斗ら体勢を整えたが、蓮弥は春輝に掴み掛かると、怒りをぶつけるように叫ぶ。

 

 

「テメェ!!あぶねぇだろうが!!俺らごと殺す気か!?」

 

 

「ごめん!けど、何となく2人なら避けれると思ったから叫んだし、殺すつもりはない。あと、色々後で謝るし、話もするから今は協力させてくれ!」

 

 

「忍者に何が出来んだよ!?お前らなんざ居なくても、俺らで「蓮弥。」は、勇斗?なんだよ?」

 

 

 蓮弥は勇斗が自分を見ながら声をかけてきた事に驚くと、勇斗は蓮弥を落ち着かせるように話し出す。

 

 

「蓮弥、今は少なくても戦力がある方が良い。それに彼も……それなりに実力は有るみたいだし、後で謝罪とかをしてくれるらしいんだ。今はそれで良いだろ。」

 

 

「ちぃっ……!わーったよ!おい、水城とか言ったな?お前、何が出来るんだ?」

 

 

「忍術、体術、武器術が得意だけど、主に分身が得意だ。」

 

 

「なるほど……ならすまないが、俺と蓮弥が攻めるから何か術でサポートしつつ分身で撹乱してくれ。蓮弥、やるぞ。」

 

 

「あいよっ!!」

 

 

「了解!」

 

 

 勇斗に返事を返すと、春輝は雷刀を消して影分身を20体ほど出し、その全てに五重塔内で泉水の周囲を動き回るように指示すると、分身達は泉水に向かっていき、泉水が現前を振るうと分身が半分斬られ、煙となって消えた。

 

 

 しかし、その瞬間に太い蔦が何本も現れて泉水の四肢を拘束していく。泉水は蔦を振りほどこうとするが蔦はかなり頑丈であり、少し力を入れただけでは破れそうになかった。

 

 

「(この感触、蔦のようだがただの蔦ではないな!)っ!!」

 

 

「うらぁ!!」

 

 

「はああっ!!」

 

 

「くっ!!現前!“威風火柱”!!」

 

 

 泉水は周囲に炎を巻き上げると共に風を纏わせ、暴風を起こし、炎の竜巻を発生させると蔦を燃やし、回避しようとしたが火傷をしても追い縋る2人からの斬撃を受けて胸に大きな傷を作ってしまう。しかし、後ろに跳んで避けた泉水に春輝は追撃を仕掛ける。

 

 

「風遁、多重鎌鼬!!」

 

 

「っ!!ナメるなと言っただろ!!現前、突風壁!!」

 

 

 多重鎌鼬は現前を使って起こした泉水の突風壁によって防がれてしまい、鎌鼬は上空へと巻き上げられる。しかし突風壁が消えた瞬間に春輝達3人が分身の煙に紛れて、泉水に近付くと技を放つ。

 

 

「飛天翔!!」

 

 

「大蛇撃砲!!」

 

 

「大玉螺旋丸!!」

 

 

「っ!!!?」

 

 

 高速の抜刀術、氣を収束させて放たれた一撃、そして、吹き飛ばされている所に追い撃ちで放たれた忍術によって吹き飛ばされ、意識を失う泉水を見て一息吐きながら刀を鞘に納める勇斗達と大きく息を吐く春輝。

 

 

 そんな中、吹き飛ばされた泉水は朦朧とする意識の中で思考していた。

 

 

「(なんだ、こいつらは……!?先程は空回りしていたのに、何故こんなに息を……!?それにあの忍の小僧、奴から一瞬感じたあの力は……!?)」

 

 

 しかし、その答えに行き着く前に泉水は意識を失い、春輝は念のために泉水の体を土遁で拘束した。さらに、泉水の意識が消えたのと同時に火柱が次々と消えていき、役目を終えた落し蓋と粘土も消えた。その時だった。

 

 

「お兄ちゃーーーーーん!!!?」

 

 

「っ!?ゆきかげふっ!!?」

 

 

「「っ!?」」

 

 

 飛び込んできたゆきかぜの跳び蹴りによって吹き飛ぶ春輝、その姿に勇斗と蓮弥はギョッとしているとゆきかぜは春輝の襟首を掴んだ。

 

 

「このっ!馬鹿ぁ!何で勝手に行っちゃうの!?少しは一緒に来いとか言うってこと出来ないの!?そんなに頼りない!?」

 

 

「げほっ!ごぼっ!ご、ごめんゆきかぜ!悪かった!悪かったから、揺らさないで!勝手に行ったのは悪かった。事情も話さなかったのはごめん。心配かけて悪かったよ」

 

 

「だったら……誓って!2度と1人で無茶しないって。みんなと一緒に戦うって、約束して……お兄ちゃん……!」

 

 

「ごめん、悪かった……心配かけたな。」

 

 

 謝りながらもゆきかぜの背中を申し訳なさそうに優しく撫でる春輝。

 

 

 その後、きららとアサギも到着したのだが、その時には泉水の姿は無く、土遁の拘束がバラバラになっていたのであった。

 

 

「あいつっ!?どこ行った!?」

 

 

「……どうやって逃げた?」

 

 

 その頃、泉水はボロボロの体を引きずって闇の中を進んでいた。

 

 

「はぁ、はぁ……!天御剣……!そして忍の小僧……!これだけの屈辱を味合わされたのは初めてだ……!!いつか、いつか必ず復讐してやるっ!!!」

 

 

 泉水は闇の中へと消えていったのであった……。

 




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