※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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閑話 監視する者達

 春輝達が任務に出ていたちょうどその頃、五車学園の使われていない空き教室に数人の人物がおり、その内の赤毛の青年と厳つい男、薄緑の少女が膝をついて頭を垂れていた。

 

 

 その人物達の前には2人の人物がおり、1人は刀を腰に差した黒髪のショートヘアで、黒い瞳をした美少年……逸御(いつみ) 征重郎(せいじゅうろう)は机に座っており、もう1人は薄墨色の短髪で鋭く切れ長の黒目の美丈夫で、顔に隈取りのような模様がある……真庭(まにわ) 慎夜(しんや)である。

 

 

 この2人は現ふうまの頭領の直属の子であり、実力者でもある。特に征重郎はアサギ曰く、春輝が居なかったら征重郎を後継者にしていたと言われる程である。他にももう一人潜入しているが任務のためにこの場にはいない。

 

 

 その中、慎夜は何処かへと携帯電話で連絡を取っていた。

 

 

「はい。こちらは問題はありません。はい、はい……分かりました。引き続き監視を行います。しかし、この3人は要りますか?我々だけで手を打てるかと。」

 

 

「「「っ!」」」

 

 

「はぁ……。分かりました、眼を確認し次第行動に移ります。では。」

 

 

 慎夜が携帯電話の通話を切ると静かにため息を吐く。すると、彼は3人の方を向くと指示を下す。

 

 

「御館様からの指示だ。お前達はそのままでいろ、特に何もするなとの事だ。あとは俺らでやる。」

 

 

「なっ!?ま、待ってくれ!!」 

 

 

「何だ?何かあるなら言え、土橋?」

 

 

「……御館様からの指示だというのは分かった。だが!俺らも手柄を挙げるためにこの五車に来たんだ!!なにもするな?そのままでいろ?!俺達も任務に参加しない限り、手柄は挙げられねぇ!!」

 

 

「「……。」」

 

 

「いくら御館様の直属だろうと、あんたらにペコペコしてられねぇんだ!!あんたらがあいつを……水城 春輝を殺らねぇなら、俺がこの手で殺す!!」

 

 

 拳を握りしめてそう言う権左に、慎夜と征重郎は静かにではあるが権左を鼻で嗤った。

 

 

「な、何だよ!?何嗤ってんだ!?」

 

 

「いやぁ、ごめんごめん。キミ風情が大口を叩くなぁって思ってさ?僕たちにボコボコにされたの、忘れた?」

 

 

「お前らは黙って監視だけしてろ。余計な真似はするな。」

 

 

「~~っ!!もう我慢ならねぇ!!ここで「止せ権左!!!」っ!?骸佐様!?」

 

 

 骸佐は大声を挙げて権左を制止する。その時の征重郎の手は腰の刀に添えられており、あと僅かで切られていたのだ。そんな中、赤毛の青年、二車 骸佐は慎夜達に深く今を下げる。

 

 

「……この度は権左が失礼いたしました。しかし我々にも機会を頂きたく思います。ですので、どうか機会をお与えください。」

 

 

 深く土下座までして機会を請い願う骸佐の姿に権左は悔しそうに舌打ちし、相州 蛇子はあわあわと慌てるばかりであった。そんな中で慎夜は骸佐にある命を下した。

 

 

「……なら、二車。お前の力で実力を示せ。その力でふうまの役に立つ所を証明して見せろ。俺と征重郎は水城 春輝の監視をしながら機会を待つ。これから忙しくなるからな。」

 

 

 そう言うと慎夜と征重郎は部屋を出ていったが、残された3人……特に土橋 権左は苛立ちを隠すことなく、机を強く殴り付ける。

 

 

「くそっ!!あいつら御館様の直属だからって図に乗りやがって!!真庭だか逸御だか知らねぇが、あんな連中に指図されるなんざ御免だ!!」

 

 

「ご、権左さん。そんなに大声で「黙ってろ蛇子!!」ひゃう!?」

 

 

「骸佐様!あんな奴等無視して、俺らで水城 春輝を殺りましょうぜ!そんで奴の死体から眼を抜き取れば、御館様も認めてくれます!!もしそれで責めを受けても、俺が何とかします!!」

 

 

 必死に権左が骸佐を説得する。権左は二車忍軍の忍であり、以前に起きたふうまの嫡男が無惨な死体となって帰ってきたのを見て知っており、その際に権左は真相を明らかにしようと動いていた。

 

 

 しかし真相は掴めず、何より嫡男が死んだというのに涙1つ見せないふうまの者達や慎夜達に不信感を抱いており、さらにその中で現れた水城 春輝という忍を監視するように言われた。初めはしがない忍のガキ一人、すぐに殺せると思っていたが噂では上忍に勝ち、アサギが目を掛けていると言われていた。

 

 

 何よりふうま天音が気に入っている事もあり、手が出せずにいたのだ。

 

 

「……権左、今は黙って従え。いつか、全ての真相を明かす。その時こそがふうまが……俺達が再び忍の上に立つ時だ。」

 

 

「骸佐様……!分かりました。今は言う通りに動きましょう!ですが、必ず奴等よりも早く手柄を立てましょう!!」

 

 

 権左が深く敬礼をする中、残された蛇子はどうすべきか悩んでいた……。

 

 

◆◆◆

 

 

蛇子side

 

 

 はぁ~、今回も御館さまから蛇子たちへの任務の指令がなかった。一体、御館さまは何を考えて蛇子たちを五車に潜入させたんだろう?

 

 

 蛇子たちの上司に当たる真庭という人も表向きは見下しているけど本心ではどう扱っていいのか困っているんだよね。最初の顔合わせの時、非常に困惑していたもん。 

 

 

 正直、こんな無駄な時間を過ごすのだったら本拠地に戻って修行をした方が有意義なんだけど不思議と御館さまは聞き入れてくれないんだよねー。先もそうだけど、あの人たちも蛇子たちを本拠地に戻すよう進言(言い方は見下していたけど)したけど却下されちゃったんだもん。ホント何を考えているんだろう?。

 

 

……ふうまちゃんだったらこの状況をどうしただろう?。ふうまちゃんのことだから徹底的に五車の内部を調べ上げて、その情報を基に色々あくどい策略とかを仕掛けただろうな~、だってふうまちゃんだし。五車の対魔組織としての機能を不全になるような謀略をやっただろうな~。

 

 

 でもそのふうまちゃんはいない、数年前に護衛の人たち共々五車に見つかり殺されちゃった。だから蛇子たちが頑張らなきゃいけない。頑張ってふうまちゃんを殺した人を倒し五車を打倒しふうま一族を再興しなきゃ、あの戦争で死んだ人たちやふうまちゃんが浮かばれないよ。

 

 

 でも五車に来てみて初めて疑問と違和感に思ったことだけど、なんで五車は敵の前頭領の嫡子を討ち取ったことを大々的に宣伝しないんだろう?

 

 

 現役、学生、それに五車町の住人たちから盗み聞いた世間話からもふうまちゃんのことが全然話題にすらなっていない。機密指定にされているのだったら分かるけど、そんな感じでもないし本当に知らないみたい。

 

 

……骸佐ちゃんはふうまちゃんと変わり果てた姿で再会した時から大事な嫡子が殺されたのに悲しまない一族に不信感を持っているけど、やっぱりそうなのかな?

 

 

 骸佐ちゃんが心の中に秘めている考えと同じだけど、ふうまちゃんを殺したのは五車じゃなく御館さまなのかな?、だとしたら‥‥蛇子、本当にどうしたらいいのかな?、教えてふうまちゃん。

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