短めです。
春輝達4人は翌日の授業を終えた後に家に戻り、支度をした後に中国に向かう飛行機へと乗り込む。
中国の正式名は“大中華アジア連合共和国”という東南アジア、中央アジア、朝鮮半島、それぞれの一部を支配下に置いて出来た国である。
まだ春輝達が生まれる前に起きた“台湾危機”以来、米連と冷戦状態にあり、およそ10年前には両国の代理戦争と言える“半島紛争”が勃発しており、諜報戦の主戦場となっている日本への侵食も虎視眈々と狙っている。
かつては朧クローンをトップとしたフロント企業“龍門”によって東京キングダムを支配していたが、アサギの活躍やノマドの策略によって潰されており、以降はそれほど目立った動きを見せていない。
そんな国に向かっている春輝達は資料を確認しながらも、飛行機でゆっくりと過ごしていた。
「中国かぁ……。ゆきかぜや母さん達になんか土産でも買っていきたいなぁ。」
「そんな余裕は無いだろう。何せ、今の大中華は裏商売が盛んに行われている。気を抜けば、俺らでも何をされるか分からんぞ。」
「それはそうだな。気を付けないと。ところで何でパソコン弄ってんだ?」
「もし国に俺らが着いた時に、関係者が分からなかったら困ると思ってな。念の為だ。」
「なるほど……。」
春輝と藤志郎が雑談をする中、春輝と藤志郎……主に春輝を見ていた慎夜。
彼が“御館様”から新たな指令……。それは“春輝の血を得る”という任務であり、その血を得る事と春輝の監視が慎夜の主だった任務であるが、当の慎夜本人は血よりも春輝本人に興味が湧いていた。
「(この任務の中で色々見させてもらうぞ、水城 春輝。もしお前が“眼”に覚醒しているなら、その力についても報告が出来るからな。)」
「……。」
慎夜がそんなことを考えながら春輝を見ていると、賢丞が横目に見ていたが彼は何も言わず、しかし警戒しつつも静かに外を眺めていた。
それから4人は大中華に到着すると、時間は23時。空港についても人は少なかったが、出口に向かう春輝達は車を探して、タクシーを見つけるとまず街へと向かおうとした。
『ま、まま、待ってくれ〜〜っ!!』
その時、1人の初老の男が大慌てで割り込んでタクシーに飛び乗り、4人は驚いたが男は構わずに続けた。
『は、早く出してくれ!あの男が、あの男が来てしまう!!』
何かに狼狽えている初老の男に首を傾げる運転手だったが、タクシーは発進し、その直後にタクシーが止まっていた場所に白いコートを着た男、豪魔バルトが着地してきたのだ。
「「「っ!?バルト!?」」」
「ん?あぁ、対魔忍か。悪いが貴様らの相手をしてる暇はない。“奴”を捕えなければならないのでな。」
バルトはそう言うと先程のタクシーを追い掛けていき、屋根に飛び乗ると運転手を殺してタクシーを止めようとした。その瞬間に賢丞と春輝がバルトを引き剥がし、藤志郎と慎夜が運転手と初老の男を助けた。
藤志郎達が2人を安全な場所に逃がしている中で、春輝と賢丞は人気の無い路地裏でバルトと距離を離して睨み合っていた。
「……貴様ら、何のつもりだ?」
「目の前で人が殺されるってのを黙って見過ごせるかよ!お前はここでぶっ潰す!」
「ふんっ。死んだ父親と同じ正義感か。対魔忍というのはつくづく救えんな。」
バルトの言葉に春輝が怒りそうになるが、賢丞に止められる。
「落ち着け春輝。忍は感情を露にするな、冷静に怒れ。」
「……分かった。すまない、賢丞。」
「いいさ、取り合えずこいつはぶちのめしておいた方が良いな。」
賢丞が好戦的な笑みを浮かべる中で、手の骨を鳴らしているとバルトは2人を冷静に観察する。
「(あの春輝とかいう餓鬼、何かが前とは違う。だが意外と感情的になりやすいようだな。そして、あいつは覇遁の……厄介な奴等が居るものだ。他の仲間と合流される前に何とかするか。)」
バルトは全身に力を込めようとした所で、バルトは力を霧散させて後ろを向いて歩き出す。
「おいどこ行く気だ!?」
「言っただろ?お前達の相手をしている暇はないんだ……。いずれまた、相手をしてやる。」
「逃がすと「春輝、分かってるだろ。」……あぁ。」
バルトは闇の中へと消えていき、それを春輝が追おうとするが賢丞に止められて追わずに行かせる。賢丞は春輝に歩み寄る。
「春輝、親父さんの事は知ってる。だが、任務に感情は持ち込むなよ。俺たちの任務は銅鏡の回収。奴等と戦うことじゃない。」
「……あぁ、分かってる。けど、奴等はいつかぶっ倒す。」
「そうだな。ほら、藤志郎達と合流するぞ。」
賢丞と共に藤志郎や慎夜のいる場所へと向かって駆けていく。
そして、2人は藤志郎らのいる宿泊施設に向かうと、そこには助けられた初老の男が座っていたが、ビクビクと怯えているようであった。
「遅れてごめん!あれ、その人は?」
「それがな……どうやら、この人が俺達が探してる銅鏡の研究所の所長だ。」
「これがそのファイルのデータが入ったCDだ。お前らが来るまで見てはいない。」
『き、君達は何者なんだ!?あの男の仲間なのか!?』
中国語でそう言う男に春輝達は首を傾げるも、彼から事情を聴く事にした。
彼が言うには、自分達が件の銅鏡を見つけ研究を始めてから不吉な出来事や事故が起こるようになり、さらには何かの声まで聞こえるようになり、不気味に思った彼は銅鏡を隠すと銅鏡の事を忘れるように職員らに箝口令を敷き、研究所は解体された。
しかし、バルトによって職員らが殺されるのを聴いた所長はファイルをコピーしたCDとパソコンを持って国を出ようとしたが、バルトに追い回されて逃げていたところを春輝らと出会ったらしい。
「不吉なことか。もしかしてその銅鏡、呪いの道具か何かかもな。それで呪われたとか?」
「それはあり得るかもな。だがこの中を見てからの方が良さそうだ。『パソコンを貸してくれないか?我々が中を確認する。』」
『じょ、冗談じゃない!!あれは仮にも私たちが見つけた物だ!!余所者にデータを見せられるか!!わ、私は隣の部屋に戻る!!』
男はそう言うとズカズカと部屋を出ていき、扉を乱暴に閉めて出ていってしまう。それを見た4人はやれやれといった様子でため息を吐く。
「あれ、どうするよ?」
「監視をしつつ、銅鏡の場所を探ろう。それに、今日はもう遅い。交代で見張りをしつつ休もう。」
「分かった。」
「はぁ……。」
賢丞、藤志郎、春輝、慎夜がそれぞれ反応をすると、まずは藤志郎が監視をする事にしたのであった……。
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