けど、エタらないぜ!
翌日、春輝達は所長が部屋を出たのを確認してバレないように後を追うことにしたのだが、彼は周りを警戒しながら裏路地などを通ったり、タクシーやバスを使いながら逃げ回っており、慎夜は苛立ち始めていた。
「ちっ……!あの爺、本格的にウザいな。多少痛め付けるか。」
「おい真庭、それ本気で言ってるなら止めとけ。ますます警戒される。」
「……俺たちの任務は銅鏡の回収であって、あの爺はどうでも良いだろ?そもそもあの爺は勝手に遺跡に入って勝手に持ち出したんだ。そんな奴がどうなろうが、俺らには関係ないだろうに。」
「少し発言には気を付けろよ。あまり言うと……俺も黙ってねぇぞ。」
「やってみろや?」
「あ!」
「春輝!?」
慎夜と賢丞が互いに睨み合う中、初老の男に柄の悪い不良がいちゃもんをつけて荷物を奪おうとした時、春輝が咄嗟に跳んで不良を気絶させて所長を救出、安全な場所へと避難させた。
「大丈夫ですか!?」
『な、何のつもりだ!?た、助けて研究成果でも貰うつもりなら渡さんぞ!?』
「『俺達が必要なのは、銅鏡本体でデータじゃありません!データじゃなくて、銅鏡本体を渡してくれるなるなら、データは好きに使ってくれて構いません!なんなら、日本で研究を続けたっていい!』」
『何故そこまであの銅鏡に拘る?あんな、面倒事しか喚ばん物……。』
「『俺達はその災いの元を知りたいんです!お願いします!』」
春輝が所長に頭を下げると、所長は少し困った様子でため息を吐くと、歩き去っていく。
『とにかく私にはもう関わらないでくれ!』
所長はそれだけ言うと急ぎ足で去っていき、春輝はしょんぼりしながら3人と共に監視を続けるが、その夜の事、春輝達がホテルに戻って風呂を終えて寝ようとした時に例の所長が部屋に訪ねてきた。
『あの、なにか?』
所長は懐から1枚のカードキーと何かを書いたメモを春輝に渡した。
「『これは?』」
『変わった子だよ全く。頭を下げてまで頼んで来るとは……そのメモには銅鏡の保管場所が書いてあり、カードキーとパスワードで開けられる。色々あったが、こんなに“良い仕事”をしたのは初めてだよ。君達も気を付けなさい。』
彼はそれだけ言うと去っていき、春輝は一礼して藤志郎達も驚いた。
「春輝、これ!?」
「あの人は悪い人じゃなかったんだよ!」
「まさかこんな簡単に渡してくるとは……。お手柄だぞ、春輝!」
「……。」
「急いでメモの住所に向かおう!そこに銅鏡がある!」
春輝がそう言うと、賢丞、藤志郎はやれやれといった様子で苦笑するが、慎夜は呆れていた。そして4人はメモに記された住所に向かい、銅鏡の回収へと向かうのであったが、その様子を遠くから見ている者達がいたのであった……。
◆◆◆
時間は進み、うっすら辺りが暗くなり始めた頃。人気のない木々の生い茂る森の中、そこにある古びた研究施設らしき建築物に辿り着いた春輝達4人は、施設に入ると中はひどく荒らされており、ガラスなどが散乱していた。
「うわ酷いなぁ。相当やられてるな。」
「本当にあるのか?」
「カードキーまで渡したんだ。嘘とは思えないだろうな。」
「(簡単に見つかる場所にあるとは思えない。だとしたら……。)みんなちょっとごめん!風遁、突破!」
春輝は大突破よりも若干威力が落ちる突破を使って、床の散乱していた物を吹き飛ばす。埃などが舞う中、春輝は一ヶ所だけ風の当たり型が違う箇所を見つけた。
「「あった!!」」
「比較的綺麗だな。」
「パスは6文字、数字パネルは9つ……春輝分かるか?」
「いや、分からない。けど、カードキーを差してみるな?」
カードキーを差し込むと、盤面に表示が出た。
【パスワードをどうぞ。】
「パスワード……パスワード……あぁ、聞いておけばよかった!……ん?」
『良い仕事だったよ。』
「(良い仕事……?厄介事に巻き込まれたのに、良い仕事なんだ?ん?良い仕事……いいしごと……?)もしかして!!」
春輝は即座に6つの数字を入れる。その番号は114510、すると扉が開き、そこからガラスのケースに収められた銅鏡が姿を見せた。
「これが、その銅鏡か。お手柄だぜ!春輝!」
「よくパスワードが分かったな?何故だ?」
「いや、良い仕事って言葉が引っ掛かって……けど良かったぁ!」
「……んで、これをどう持って帰る?少々でかいぞ。」
その時だった。外から糸らしき物が銅鏡に張り付きそうになったが、慎夜に弾かれる。さらに空から深紅の大剣が降ってきたのを見て春輝は銅鏡を引っ張り出すと、4人と施設から飛び出して離れると施設はバラバラになったのであった。
「な、何だ!?」
「敵か?4人とも警戒を怠るなよ!」
4人が警戒する中、煙の中から黒い虎の獣人とマントを羽織った少女が現れ、その顔を見た春輝は驚いた。
「久しいな、対魔の忍よ。」
「まさかここで会うなんてね。ビックリしたわ。」
「っ!あなた達八愧将の!?確か、黒牙さんと叢雲さん!」
春輝の言葉に仲間達は春輝の方を見る。
「春輝、知り合いか?てか、八愧将って!百愧龍宮の……?」
「(こいつは百愧龍宮にコネを持ってるのか?ますます普通じゃねぇな。)」
「……お前ら、なんのつもりだ?」
賢丞と慎夜が驚く中で、藤志郎が黒牙達に尋ねると黒牙が地面に刺さっている剣を抜いて答えた。
「我らが首領、暁冥がその銅鏡を求めている。それをこちらに渡せ……そうすればそれなりの報酬は約束する。」
「あ?何だって知りもしない奴に銅鏡渡さなきゃならねえんだよ?こいつは俺らが回収を命じられたんだ。悪いが渡すわけには行かないな。」
「悪いけど渡してもらうわ……。こっちは“お嬢”も探さなくちゃならないのに……渡さないっていうなら痛い目見てもらうわよ。」
「え、いや。あの……ん!?」
その時、遠くから銃弾が春輝らに向かって飛んできて6人がそれを避けるとそこにはバルトと200人の魔族のチンピラらしき男達が立っていた。
「対魔忍、それに百愧龍宮か……。まとめて仕留めるのには悪くなさそうだな。」
◆◆◆
一方その頃。
「黒牙~~!唯糸~~!どこ行ったの~~!!?置いてかないでよ~~!」
百愧龍宮の鬼徹 真琴は道に迷っていた……。
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