※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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割り込みます!


閑話 祖父、襲来

 五車学園の執務室、そこでは今、獅子堂 源一と芳陰 将忠ら先代のふうまの乱での戦いで活躍した者達やアサギ達が一同に介しており、今後のヒクソスについてを話し合おうとしていた。

 

 

 その時、何かを感じ取った将忠は溜め息を吐いた。

 

 

「将忠翁、どうされました?」

 

 

「いやなに、騒がしいのが到着したと思ってのう。」

 

 

「騒がしい……?いったい何が「がははははっ!!邪魔するぞ!!」っ!!?い、逸徹さん!!?」

 

 

 扉を乱暴に開けて入ってきたのは、春輝とゆきかぜの祖父であり、不知火の父親でもある水城家宗家の長、水城 逸徹(いってつ)であった。

 

 

 ふうまや井河長老衆の乱の際は獅子堂 源一や芳陰 将忠と共に活躍し、「英雄」と呼ばれており、獅子堂源一や芳陰将忠とは戦友であり、獅子堂 宗一郎や他の獅子堂の者から獅子堂 源一同様にある意味で尊敬されている。

 

 

「なんじゃい!これから話し合いか?ならわしも混ざろうかのう!!」

 

 

「全く……騒々しいのう。」

 

 

「ほんに変わらんわい、徹っちゃんは元気じゃのう?そういえば、首相の護衛はどうした?」

 

 

「ふんっ!あんなくそ面倒な仕事、わしでなくてもやれるわ!視察だといって女に会いに行く馬鹿に付き合えるか!?」

 

 

「全く、口が悪いのう。」

 

 

 源一が呆れ、将忠も苦笑する中で逸徹はバリバリッと持ってきた煎餅を食べながら、お茶を飲み始める。

 

 

「あぐあぐっ!食うか?」

 

 

「お前はよく食べるのう?そう言えば孫の春輝くんが退院したのは知っとるじゃろ。会わんで良いのか?」

 

 

「春坊の奴が無茶して入院したことなら聞いとる。近々会いに行って拳骨見舞ってやるわい!全く誰に似たんじゃろうな!」

 

 

「「お前じゃよ。突貫馬鹿。」」

 

 

「馬鹿言うな!!!っと、それは良いとして……資料読んだぞ。冥じゃったか?ふざけた組織が居たもんじゃのう。それに、ヒクソスか。」

 

 

「ヒクソス……わしらが現役の頃に1度封印したはずだがな?まさか、誰かが封印を解いたのか?」

 

 

 将忠の言葉に源一がお茶を啜る。

 

 

「……だとすれば、ふざけたことをしてくれたのう?奴等は恐らく息を吹き返している。今度は完全に根絶さねばならんのう。」

 

 

「獅子堂の坊主が指揮を執るのか?」

 

 

「いや、今回は宗一郎は遅れてくる。もし戦闘になる場合は各隊に任せる事になるな。」

 

 

「若い芽が育っとるからのう。わしらは遠くから見守ることにするわい。まぁ、そればかりではないがな。」

 

 

「……ふうまや葉取の事か?」

 

 

 逸徹が2つの組織の名を挙げると、2人は渋い顔をした。

 

 

 ふうまは鳴りを潜め、かつて謀反を起こした葉取 星舟も居場所が掴めない事を3人は怪訝に思っており、2つの組織が手を組んでいるのではないかという考えを持っていたが、ふうまも葉取も“利”が無ければ動かないであろうと思った。

 

 

「奴等は我々の目に引っ掛からん。どこで何をしているのかが気がかりじゃがのう。」

 

 

「確かに。2つともロクでもないからな。」

 

 

「見つけたら叩きのめしてやるわい。」

 

 

 3人の老人……しかし、その覇気にアサギ達教師陣は息を飲むのであった……。

 

 

◆◆◆

 

 

 場所は変わり、獅子堂邸にある源一の茶室。ここは彼と親交のある者たちを時々招いて源一自身が茶を点ててもてなしたりしている。ヒクソス対策会議が終わった後、久しぶりに三人が揃ったので源一が二人を招いたのだ。その中の一人の芳陰 将忠が茶道の作法に則り源一が点てた茶を飲む、その姿は板に付いており流石室町時代から続く名門の一族の長である。

 

 

「うむ、相も変わらず源さんが点てた茶は美味いの~。」

 

 

 茶の味を褒める将忠に源一は謙遜する。

 

 

バリバリッ! バリバリッ!!

 

 

「なになに、京都でのいざこざが終わった後、良い茶葉が手に入ったんじゃよ。それに本業の者たちから見ればワシはまだまだじゃって。」

 

 

バリバリッ!!ゴクゴク!ゴクゴク!!

 

 

「おお、あの時か。流石源さん、抜け目がないの~。」

 

 

バリバリッ!! ゴクゴクッ!!

 

 

「ガハハハッ!本当に美味いの!!これは煎餅によく合うの!!!」

 

 

 先ほどから閑静な茶室に似合わない音を立てながら煎餅と茶を飲み食いしながら同意する三人目の老人、水城 逸徹、その様子を将忠は呆れ気味に見る。

 

 

「のぅ、もう少し味わって飲んでみたらどうじゃ。せっかく源さんが点ててくれた茶が可哀そうじゃ。」

 

 

 そう苦言を逸徹に言うが……。

 

 

「ブハハハッ!!暫く会わない内に忘れたか!?味わうなんぞ、わしに似合うか!!!」

 

 

 となんとも妙に説得力のある反論する。その反論を聞いた将忠はさらに呆れる。

 

 

「ほほ、良いんじゃよ、将さん。徹っちゃんに味わって飲み食いするなんて似合わんて。逆に味わって飲み食いすることをしたら大事件じゃよ……地球が滅亡するぐらいの。」

 

 

 とんでもないことを言う源一、それに将忠は深々しく頷き同意する。

 

 

「確かにそうじゃな。こやつに穏やかに食することは似合わないことじゃな。」

 

 

「「ワッハハハハハハッ!!」」

 

 

 笑いのツボに入ったのか同時に笑い出す二人。それを見て流石の逸徹も顔を真っ赤にして二人を睨み。

 

 

「お前ら~!わしを馬鹿にするなー!!」

 

 

 抗議をするが二人はお構いなしに笑い続ける。二人の笑いが収まった後、逸徹は姿勢を正し真剣な眼差しで源一を真っすぐ見る。

 

 

「源一よ、孫の春輝が此度は大変世話になった。祖父として水城一族長として礼を言わせてもらう。」

 

 

 そう言うと逸徹は深々と頭を源一に向って下げる。それを見た源一は苦笑いをしてそれを否定する。

 

 

「いやいや、わしは何もしておらんよ。礼を言うならば実際、動いたのは意気消沈していた彼をどついて発破をかけた翔馬とあやつの願いを聞き入れ乙女崎君に治療の依頼をした宗一郎じゃよ。」

 

 

 最後に一番感謝する相手は治療をした乙女崎君じゃがの~っと、おどけるように言う源一。その言葉を聞いて逸徹は少し姿勢を崩す。

 

 

「そうか、なら今度会う機会があったら、礼を言っておくとしよう。ついでに春坊にヒクソスの一件が終わった後、礼に行くように言っておくかのぅ~。」

 

 

「しかし、春輝君にも困ったもんじゃ。幾ら強くなるためとはいえ、自分の命を削るようなモノを習得するとは。そんなものを習得しなくても十分強いんじゃがのぉ~。」 

 

 

 将忠は春輝の無茶ぶりに思う所があるようでぼやくように言う。それに同意するかのように源一、逸徹も頷く。

 

 

「ほんにの、家族や仲間を護るために習得した奥義で自滅してしまったら本末転倒なんじゃが。どうも彼は無意識に自分を蔑ろにする癖があるみたいじゃ、今回の件で少しは治ってくれればよいが。」

 

 

「あやつの悪癖はわしの愛が籠った拳骨で何れ修正してやるわい!!……それよりも春坊に肉体のリミッター解除、"外し"とかいうものを伝授した者たちのことじゃ。……一体何者だ。」

 

 

 逸徹は怒りと殺気混じりの顔で二人に問う、大事な孫に禁術の類を教えた者に怒りと殺意を抱いているようだ、彼から発する覇気で茶室が心なしミシミシと軋む音を発している。だが問われた二人は臆することなく難しい顔して首を横に振るう。

 

 

「残念じゃが、そこがさっぱり分からんのじゃよ。彼がよく自主的に修行をしている所や蓮魔先生の指導や友人たちと修行しているのは何度か見たことはあるのじゃが、それ以外はさっぱりなんじゃよ。」

 

 

「将さんの言う通り、彼に修行の指導している者たちは誰も見たことがないんじゃ。というよりどこで修行をしているのかも分らんのじゃ。……ただ、暁先生が中等部の時に彼と話す時があって聞いてみたら指導している者たちは何やら"仙人"のような者たちらしい。」

 

 

「……仙人のような者たち、何やら曖昧な表現じゃな。まぁ、取りあえず愛の籠った拳骨をお見舞いして何者なのか聞いてみるかの。」

 

 

 どうやら春輝に拳骨をして問いただす方向に決めた様で出ていた怒気と殺気が逸徹から消えてゆく、それを見た源一と将忠がある一族のことに話題を変える。

 

「まぁ、春輝君のことは追々解決することにしてふうま一族のことなんじゃが。政治家や役人たちに接触した形跡とかはなかったのかの?。」

 

 

 源一の質問に逸徹は難しい顔をして答える。

 

 

「残念じゃが、まったくないの。わしも奴らがあのゴミ共を誑かして五車に嫌がらせや謀略とかを仕掛けてくるかっと思って警戒していたが薄気味悪いほどなかったわい。」

 

 

 水城 逸徹という五車でも最高戦力を政治家たちの護衛に付かせたのはふうま一族が反山本派に接触するのを阻止するために政治家たち護衛という名目で政府に出向させたのだ。

 

 

「それは異常じゃな、わしらはてっきり山本君に反感や敵意を持っている連中と組んで五車と競合する組織を作ると予想しておったのに。これでますます奴らが何を考えているのか分からなくなってきたのう。」

 

 

「まったくじゃ。11年前の反乱後、まったく足取りが分からなかったふうまが京都で人探しという名目で暴れたのは驚きを通り越して呆れたがの。」

 

 

 源一は京都を守護する天御剣に情報共有という形で提供してもらった報告書の内容を思い出したのか、顔をげんなりさせた。

 

 

「おお、その報告書わしも部下たちと一緒に目を通したぞい。ふうまの行動に部下たちも頭をひねっていたのう。」

 

 

「しかし、報告書に書いてあった"ふうま宗家を超える力を持つ人間の子供"とは一体何者なんじゃ?そんな人間の噂なんぞ、今まで聞いたこともない。」

 

 

「確かにの。そんな者がおればあの反乱はふうまが勝っていたはずじゃ。」

 

 

「フン!どうせ、弾正亡き後の新体制に従順な奴そうでない奴と篩いにかけるための方便じゃろう。でなければ自分たちの現状が見えていないバカだということじゃ‥‥弾正の後を継いだ者が。」

 

 

「篩にかけるか‥‥そう言われてみればしっくりくるの。だが、リスクが大きすぎるかのぅ。」

 

 

「うむ、篩にかけるのであれば京都‥‥天御剣でなくてもノマドかそこらの犯罪組織でもできたはずじゃ。ただでさえ、奴らは政府から賊軍認定され世間的に厳しいのに公的機関である天御剣にちょっかいをかけたらますます厳しくなるのは馬鹿でも分かることじゃ。」

 

 

「奴らが何を考えているのかは分からんが、五車に戦争を仕掛けて来たら昼間の会議で言った様に叩き潰せばいいわい、それで全て解決じゃ。」

 

 

 ふうまの謎の行動に考えを巡らせている二人に逸徹のシンプルな結論に二人は苦笑いするが同意するように頷いた。

 

 

 話も終わりに近づいた時、逸徹はふうまのことであることを言う。

 

 

「そういえば、弾正の息子の名はなんじゃったかの?」

それを聞いた将忠と源一は思わず顔を見合わせ軽くため息をついた。

 

 

「お主、それぐらい知っておかなければいかんじゃろう‥‥小太郎じゃよ、"ふうま 小太郎"。」

 

 

「そういえば徹っちゃんの孫娘のゆきかぜくんと丁度同い年のだったの。」

 

 

「ほぉ、代々当主が名乗ってきた世襲名をつけられるとは、余程才気があるのじゃろうな。じゃが、五車に敵対するのであれば容赦はせんぞ‥‥例えゆきかぜと同い年であろうとな。」

 

 

 それを最後に茶会はお開きとなり、各自の所へ帰っていた。だが、五車の長老格三人でも予想できなかったことがあった。それは最後に出てきた先代ふうま一族頭領、ふうま弾正の嫡子、ふうま小太郎はある者の手により既にこの世から去っていたことであった。それが分かったのはこの茶会からずっと後の事だった……。




水城 逸徹

モデル モンキー・D・ガープ
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