新しい修行と動く敵。
無事に退院し、五車学園へと復帰した春輝。休んでいた分の授業の遅れを授業で取り戻そうとしたが、任務に関しては女医の乙女崎から“無理をするな”と釘を刺された事で、自分の出来る範囲でやれることをしていた。
その中で春輝はアサギと話をしていた。
「退院出来て良かったわ、春輝。調子はどう?」
「今のところは痛みません。薬と治療のおかげでバッチリです。」
「そう。今回の件であなたにはかなり無茶をさせているという事が分かったわ。しばらくは休みながら普通の授業を受けて体を休めること。ヒクソスの件については未だに調査中だから、何か分かるまでは待機をしていて。」
「分かりました。アサギ様。」
アサギとの話しを終えた春輝は、新たな管理者であるソウマから言われた課題をどうするか悩んでいると、春輝は雷遁とその上位種である霆遁を使う友人、礼導 晃に相談をすることにした。
「なるほど、水遁を極める……か。中々厳しい課題だぜ。」
「厳しいのか?」
「そりゃもちろん!俺は2人のエー兄弟とビーさんに鍛えられて、霆遁を覚醒させたんだ。しかも雷遁と違って水遁は専門外だしなぁ。雷遁はこう、バリッ!!と来て、ビビッ!!となって。」
「……。」
擬音で説明する晃に春輝は苦笑し、八尾からも【悪いな?】と謝られてしまった。
その後授業を終えた春輝は、放課後水のない鉄製の訓練所にて、扉間がやっていたようにどれだけの水を操れるかを訓練することにした。
「まずは水を出せるかだよな。水遁、水乱波!」
春輝は口先から水流を放つと、その水は壁にぶつかり、暫くすると乾いて霧散する。
「水乱波は問題なしか。水龍弾……は、ここでやったら大惨事になるな。大瀑布も使えるかどうか。そう言えば使える数が少ないよな、水遁。」
「水城くん、何してるの?」
春輝が悩んでいると、荷物を持った芳廼 薫が通りかかった。
「芳廼さん。実は水遁の訓練をしてるんだけど中々上手くいかなくて。風遁ばかりやってたから水遁はあまりで。母さんにも相談しようかと思ったんだけど、何か気が引けて。」
「そうなんだ。あ!なら、
「え、でも、良いの?」
「うん!もしかしたら何かヒントが見つかると思うし。それにまだ時間もあるしね。」
薫の提案に腕を組んで唸る春輝。確かに百愧龍宮には対魔忍では学べない事も多くあるだろうし、彼は1度見ただけだが彼処には忍術を別の使い方で学べるかもしれないと思えた。
「……分かったよ。それじゃあ迷惑かけるかもだけど、宜しく頼む!」
「うん!それじゃあこっちから話し通しておくから!じゃあね!」
薫が帰っていくと、春輝も家に帰る支度をする。すると、九喇嘛が話し掛けてきた。
【良いのか?あんな化け物の巣窟に足突っ込んで?殺されるかもしれないぞ。それに、任務とかにもでないとだしな。】
「(護るなら強くならないと。ただ待ってるだけじゃダメだ。母さん達にはきちんと話すさ。)」
【そうか。……焦って事を急ぐなよ。】
「(ん?あぁ、ありがとう九喇嘛。)」
そんな会話をしながら家に帰っていく春輝だが途中であのこと九喇嘛に相談することにした。
「(なあ、九喇嘛。)」
【なんだ、春輝?】
「九喇嘛はあの人‥‥新しい管理者‥‥ソウマさんをどう見る?。」
【‥‥ハッキリ言ってまだわからん。だがワシから見てだが信用はできそうだ‥‥あの女、白嶺よりは、な。】
意外な返答に目を思わず丸くする春輝。
「(九喇嘛は白嶺さんのことを信用していなかったのか、なぜ?。)」
【(‥‥お前はあの女のことを信用しきっていたから言わなかったが‥‥時々、あの女のお前を見る目はどことなく都合のいい駒か道具として見ている節があった。)】
「(……いくら信用していないとはいえそれは……。)」
言い過ぎだろうと九喇嘛に食って掛かるが九喇嘛はそれ無視して春輝に言う。
【フン、お前は奴に付与された異世界の能力を磨くのと修行に夢中になっていたから分らんだろうが、お前の内から見ていたワシだから分かる。あの女は徹底的に利用できる者は骨の髄まで利用し価値がなくなったらあっさり捨てる人間だ、例えそれが自分の肉親であったとしてもだ。】
九喇嘛にここまで自分をこの世界に転生させてくれた恩人を駄目だしされショックを受ける春輝だが、どことなく納得している自分がいた。なぜならいくら本来いないハズの九喇嘛たちのことを聞こうとしても留守にしていたり、調べるからっと言っていつまでも調査の結果を教えてもらえず、逆に強くなりなさい、そうしないと大切な人たちを守ることはできないよっと自分を脅し話題をすり替えはぐらかしている節があったからだ。
「(じゃあ、あのソウマって人はどうなんだ?やっぱり俺や九喇嘛を利用するため近づいてきたのか?)」
【‥‥さっきも言ったがまだわからん。だがお前がワシの力や"外し"以外の力を聞いた時、奴はあの女とは違い異世界の力を勧めず、本来から備わっている力を極めることを勧めた。その一点が信用に足りる点だ‥‥前任者とは違ってな。】
「(‥‥そうか、九喇嘛が信用するなら信じてみよう、ソウマさんを。)」
【暫くしたら本格的に接触してくるかもしれねぇ、その時は遠慮するな。徹底的に奴の目的を問い詰めろ、お前は都合のいい駒や道具じゃねぇんだ。】
「(ああ、九喇嘛の言う通りだな。ソウマさんに目的を聞いてみるよ。ありがとう、九喇嘛!)」
九喇嘛は返答をせずそのまま鼻を鳴らし寝てしまったようだ、邪険にしているような感じではなくどことなく照れているようだった。
そんな会話をしながら家に帰っていく春輝は家に帰ると、不知火に薫との話しで百愧龍宮の里にしばらく遊びにいく事を話した。
しかし、不知火の反応はよくはなかった。
「あまり賛成は出来ないわね。春輝、あなた退院したばかりなのよ?それなのに、あまり遠出はさせられないわ。」
「危ないことをしに行くわけじゃないんだし、大丈夫だよ。それに気分転換にもなるし。」
「まぁアサギからも無茶をするなと言われているなら良いけど……。正直言えばね、あの“外し”って力を見てから安心できないのよ。あんな無茶な力……任務とかで使ってるなんて不安で仕方ないの。」
「母さん……。」
憂いのある表情で息子を見る不知火に春輝。すると、不知火は春輝をしっかりと見て言った。
「春輝。前にも言ったけど、護ろうとしてくれるのは嬉しい。けど、逆にあなたを護りたいって思ってる人もいることを忘れないで。だから、危ないことはしないようにして。」
「……うん、分かったよ母さん。」
「お兄ちゃん!」
春輝が後ろを見ると、そこにはパジャマのゆきかぜが仁王立ちしていた。
「あたしだっていつまでもお兄ちゃんに護ってもらってばかりじゃないんだから!逆に頼ってよね!」
「ゆきかぜ……ありがとう。」
無い胸を張るゆきかぜに苦笑する春輝は、2人に感謝しながら頭を下げるのだった……。
◆◆◆
その頃、日本から遠く離れた砂漠の都、エジプトにある深い深い砂漠の地中の中にある巨大なピラミッドの中。そこにある玉座、そこへ鎮座する魔族の長からの一言から始まった。
「奴らを捻り潰せ。全てを我が手に……!!」
「「「うおおおおおおおおおおおっ……!!!」」」
新たな戦いが始まろうとしていた……。
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