暁冥の住む里へ来た春輝ときららの2人、そこでまず2人には修行の担当が2人着くことになり、6人はそれぞれの修行場所である山に向かった。
春輝の担当は術系統の担当が朱愧、格闘担当が八愧将の武頼が着く事になり、きららは術系統の担当が楓、格闘担当に武頼と同じ八愧将の黒牙が着き、その日から早速修行が始まったのである。
この修行の中で春輝ときららは条件としてきららは氷を、春輝は水をメインに能力を使うように言われ、それ以外……つまり外しや尾獣化は無しと条件が付けられたが、戦闘役を武頼と黒牙、助言役を朱愧と楓が行うことで補っていた。
その中で春輝は水の武器であり母、不知火の得物を真似て造った薙刀、蛟を口寄せして応戦していた。
「はぁ!」
「しっ!!せいっ!」
武頼の刃が柄の部分を砕く瞬間に受け流して攻撃に移るが、それを軽く避けた武頼は得物である斬馬刀“骨切牙王”を振るう。
「らあああっ!!」
「はああぁぁぁっ!!」
ガンッ!!と強い音が鳴る程に力を入れて蹴り上げて距離を取ると、薙刀を廻して水の渦を作り武頼に放つ。
「はぁっ!!」
「食らうかよ!」
武頼は薙刀を弾くと春輝も吹き飛ばされ掛けるが、空中で体勢を立て直して術を放つ。
「水遁、水龍弾!」
「っ!牙王閃!!」
水の龍と振り下ろしと同時に放たれた巨大な斬撃がぶつかり、爆発霧散すると春輝も武頼互いに睨み合う。
一方で黒牙との修行をしている きららは氷を四肢に纏いながら応戦していた。
「やああっ!!!」
「甘いっ!!ふんっ!!」
「きゃっ!!」
きららの攻撃は黒牙に軽く往なされ、四肢の氷は砕かれてしまう。しかし、きららは武頼と戦っている春輝の方を見ると、負けまいと立ち上がって黒牙へと向かっていき、力を使う。
「氷遁!氷槍兵!」
氷の槍を黒牙に向かって放っていく。すると、黒牙は空手の正拳突きのような構えを取ると自身に迫る氷の槍に技を放つ。
「爆砕牙点突!!だららららららららららららららららら……っ!!!!!」
「嘘っ!!?」
きららは自身の使う術で速度と射出数を誇る術を拳だけ砕かれ驚くが、黒牙は自身に迫ってきた氷の槍を全て打ち砕いてしまったのである。
「もう終わりか?」
「この……っ!やってやろうじゃない!!」
きららは負けん気を出して黒牙に立ち向かい、それを遠目で見ていた春輝も負けじと武頼に挑み懸かり、実戦修行は夕方まで掛かり、修行の終わる頃には春輝も きららもヘロヘロになっていたのであった。
「「はぁ、はぁ……!」」
「よぉ、お疲れ。」
「つ、疲れたぁ……!」
「も、もう歩けない……!」
「この程度で情けない。我らなど疲れはせん、もう少し肉と体力をつけろ。」
「しゃあねぇよ、俺らとこいつらじゃ色々違うんだ。鍛えれば変わんだろ。」
黒牙と武頼の言葉にぐっと俯く春輝ときららの両名。そして、2人は夕食を食べた後、里にある温泉に入っていた。
春輝は男湯にて朱愧から意見を聞いていた。
「春輝、お前は力を使う際に5:5の割合で使っちまってる癖が見られる。それだと、いくら攻撃しても大した威力は出ねぇ。」
「それだったら、全力で攻撃に回した方が良いんですか?」
春輝の言葉に武頼が軽く否定する。
「んな簡単な話じゃねぇよ。攻撃だけに意識向けてる状態で他の事なんて出来ねぇ。かといって、即座には変えれねぇからな。」
「それに、聞けばお前は術主体らしいな。それだと攻撃に選択肢が増えすぎる。術なら術、技なら技で分けねばな。」
武頼と黒牙の言葉に頷く春輝、すると、隣の女湯から楽しそうな声が聞こえてきた。
「鬼崎、あんたの胸、何食ったらこんなに大きくなんの?」
「別に特別なことなんてしてないわよ。というか、
「確かに……鬼崎さんって秋山さんと同じくらい大きいよね。」
「ボクは少し負けてるくらいかな?男は大きい方が好きなんじゃないのかな。
春輝も大きい方が好きだったりするの?」
「は、春輝?春輝は、その、胸で選んだりしないわよ。根は優しいし、努力家で無鉄砲だし、無茶はするし、見ててハラハラするんだから。」
隣の女湯からの唯糸、きらら、薫、真琴の会話を聞いていた春輝は顔を赤くしていると、武頼がからかってきた。
「春輝、お前あいつと付き合ってるのか?ずいぶんモテモテじゃねぇか?」
「そ、それは……好き、です。」
「だははははっ!!なんだよ、恥ずかしがりやがって!真面目一辺倒かと思ったら、やることやってるのかよ!だははははっ!!」
武頼は楽しそうに笑い、朱愧、黒牙は微笑み、春輝はぶくぶくと恥ずかしそうに潜ってしまう。その後、春輝達は客間に通されて休むことになったが、春輝は眠れずに外に出て月を眺めていた。
美しい満月に春輝が、じぃっと空を見上げていると、足音が聞こえ、後ろを振り返るとそこには暁冥が酒瓶を持ってきてきた。
「暁冥、さん。」
「寝れねぇのか?なら、少し付き合え。月見酒だ。」
「は、はい。」
春輝は頷くと暁冥の隣に座り、暁冥が持ってきたジュースをグラスに注ぎ、暁冥の盃に酒を注ぐ。
「んぐんぐ……ぷはぁ!ふぅ、俺ぁ月を見ながらの酒が好きでなぁ。たまにこうして飲んでるんだ。」
「そうなんですか。あ、あの!今回は修行を受けさせてくれてありがとうございます。」
「礼なら、薫と真琴に言うんだな。あの2人が言わなきゃ、俺は受けるつもりは無かった。何せ、お前らは対魔忍……俺達とは交わらねぇからな。」
「暁冥さん……。暁冥さんは、対魔忍は嫌いなんですか?」
「さぁな。ノマドや米連、日本政府は嫌いだが……対魔忍はそうでもねぇ。まぁ手を出したら潰すがな。何せ俺には護らなきゃならねぇ者が多いからな。」
「……。」
春輝は暁冥のまっすぐな目を見て、そのまっすぐな直向きな部分に惹かれ掛けていた。すると、暁冥が春輝に尋ねる。
「春輝、お前は何で対魔忍なんてやってるんだ?」
「……親が対魔忍なのもありますけど、俺は忍者が好きって言うのもあります。
けど、俺はみんなを護りたいから対魔忍になったんです。」
「ほう?そのみんなってのは、どういう線引きなんだ?」
「え?線引き……?」
「護るなんてのは言うのは簡単だ。
だがなぁ、護るモノにも“大切なモノ”と“そうでないモノ”がある。
護るってんなら、そこん所はしっかりしとけよ?でないと後悔するぜ。」
暁冥はそれだけ言うと月を見ながら酒を飲み、春輝は暁冥の言葉の意味を考えて部屋に戻るのであった……。
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