春輝ときららが百愧龍宮の里に行ってから2日目の夜、五車の町から数キロ程離れた所にある廃病院。そこには五車学園に潜入している真庭 慎夜と数人の男女が集まっていた。
彼らは“現”ふうまの頭領が配下で、その名も“真庭忍軍”と言う。
真庭忍軍とはふうまや井河等の旧家を肩を並べていた一族、真庭家とその一門衆のみで構成された忍集団である。
ふうまや井河等の旧家を肩を並べていた一族、真庭家とその一門衆のみで構成された忍集団であり、ふうまの乱の前に起きた“前”ふうまとの紛争で慎夜以外の真庭一族は滅んでしまうが、慎夜が自ら率いる慎夜を含めた六人のみで構成されたふうま精鋭部隊“新生”真庭忍軍が創ったのだ。
因みに二車 骸佐率いる二車忍軍よりも立場は上であり、骸佐達は慎夜に逆らえないのである。
真ん中に置かれたテーブルにはテレビがあり、そこには2日前に無惨に殺された者達の映像が流されているが、口元を布で隠している大柄で褐色肌、瞳が翠の男……
「騒々しいことだ。
「あらそうですか?このニュース、結構噂になってるのよ?当たり障りの無いことばかり報道してるけど、“裏”では政治家さんが大慌てだそうですよ?秘密裏に造られた武器とかについてですが。」
「金に成らん話に興味は無い。」
薄緑色のセミロングで、キリッとした碧眼を持つ慎夜、征十郎と共に五車に潜入している美少女……
それを見た征十郎はやれやれといった感じで肩を落とす。
「しかし、ヒクソス……ですか。砂漠に籠っていれば良いものを、いったい何がしたくてこの日本に向かってるんでしょうね、慎夜さん?」
「……さぁな。噂では“何か”を探しているようだが、俺としては御館様からの命令である“水城 春輝の監視”を遂行していくだけだ。最近何処かへ出掛けているらしくてな……。」
「追わなかったんですか?」
「御館様から呼び出されてたんだ。まさかその時と重なるとは思わなかったよ。
それより、兇極。金の方はどうなってる?」
「指名手配の魔族の死体30体と対魔忍の死体5体。合わせておよそ3600万は手に入った。」
そう言って兇極が銀のアタッシュケースをテーブルに乗せると、そこには万札が並べられていた。守銭奴であり、金の管理者をしている兇極は自身が殺した相手を死体換金所で金に変えているが、殺すのはターゲットとして彼の手帳に記されている相手のみであり、そこには彼しか知らない秘密も書かれている。
何よりも彼が得た資金は彼の管理の下で真庭忍軍の活動資金となっている。
兇極が出した金を見た亨佳が、不愉快そうに身体を震わせる。
「……私、そんなお金に触りたくないわ。呪われたくないもの。」
「金は裏切らん。それに有って困ることもない……第一、お前の“趣味”の方が悪いだろうが、アバズレ女。」
「あなたに言われたくないです。第一口に気を付けて下さいね?……殺しますよ?」
互いに睨み合う中、慎夜が手を叩くと2人が彼の方を向く。
「ここで喧嘩をするな。兇極、女にアバズレとか言うな。亨佳も言葉に気を付けろ。」
「ふん……。」
「すみません……。」
兇極と亨佳がそれぞれ返すのを見て、慎夜はため息を吐く。
「残りの2人には俺から伝えておく。兇極、お前はいつも通り自由に動け。征十郎と亨佳は先に五車に戻れ。俺は御館様に指示を仰ぐ。」
「あぁ。」
「はい。」
「分かりました。」
3人が即座にその場から姿を消すと、特殊な携帯を使って慎夜はふうまの頭領に連絡した。
「御館様、俺です。申し訳ありません、水城 春輝を見失いました……。」
『そうか……だが居場所なら掴んでいる。奴への監視は天音も行っている。だが下手に手を出すな。報告では奴は百愧龍宮の所にいる。』
「!?あの怪物集団のところですか?いったい何故?」
『それも気になるが、慎夜……水城 春輝と友好を結べ。あの小僧は芳陰の家とも縁を結んでいる。怪物爺とはいえ友好を結べば、お前達には手を出せんはずだ。』
「承知しました。御館様……ふぅ、友好を結べ、か。使える物は使うべきだな」
携帯をしまうと慎夜は一息吐いてからそう言うと、夜の闇に消えたのであった……。
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