「何処へ行く気だ?水城。」
「あんなの黙ってられません!!凜子達を助けにいきます!!」
零子の問い掛けに春輝は構わずに叫んで、風遁で鞭を斬ろうとしたがそれをさくらと紫に止められる。
「ま、待って!落ち着こう春輝くん!」
「アサギ様がすでに救出部隊を編成している!勝手な行動は慎め!!」
「だったら、俺も行きます!俺も参加「いい加減にしろ!水城!!」っ!?」
時貞の怒声に春輝は体を震わせて、時貞の方を見ると彼は静かにため息を吐きながらも、さくらと紫を離れさせると、彼に近づく。
「水城、先程秋山の姉達が捕まったという報が入ったときにアサギはすでに救出部隊を編成しているし、山本殿に頼んで一部部隊も動かしてもらっている。お前が秋山の姉と仲が良いのは知っている。助けたいという気持ちは分かるが、下手に動くな。」
「それは、分かっています……。」
「分かっているのなら良い。お前が仲間思いなのは知っているし、それがお前の美徳なのも理解しているが、時には冷静になれ。もし秋山の姉の援軍が必要なら此方から通達する。お前はそれまで待機だ。」
「っ……。はい、分かりました。皆さん、申し訳ありませんでした。」
春輝は俯きながらも謝罪すると理事長室を出ていき、ゆっくりとした足取りで外に出る。そして、それを見ていたアサギ達は静かにため息を吐く。
「春輝くん、落ち込んでたね。」
「そんだけ秋山が大切なんだろ?あの2人が仲良いのは知っているが、あそこまで落ち込むとはな。」
「あいつは感情的になる時があるからな。時貞殿、あれで良かったのですか?」
紫が尋ねると時貞は腕を組んで考え込んでいる。
「水城はまだまだ成長する。しかし、下手に感情的になれば部隊との連携が取れないで全員が死ぬ可能性が出てくる。辛いだろうが、少しは止まることも必要だ。」
「アサギ、水城を監視するか?何をするか分からないぞ?」
零子の言葉にアサギは考え込むが、零子に命じた。
「……零子、春輝の監視を任せるわ。もしなにかあれば止めること。」
「分かった。全く、手の掛かる奴だ。」
零子は文句を言いながらも理事長室を出ていくのであったが、それを隠れて聞いていた人物がいたのであった……。
◆◆◆
そんな中、春輝は1人落ち着くために学園にある自販機で飲み物を買っていた。出来ることなら春輝は学園から飛び出して行きたいが、勝手に動いてはいけないという事も分かっている。
分かっているが、それでも友達を助けに行きたいというモヤモヤがあり、それが春輝を不安に陥れており、春輝は買ったばかりの飲み物を飲み干すと、小さくため息を吐いて空を見る。
「はぁ……。駄目だ、モヤモヤする……。やっぱり今から【阿呆が。行くなと言われてんだ。黙って待ってろ。】(九喇嘛……。)」
【あの青髪の女剣士が心配なのは分かるが、明らかに挑発してきてる奴の誘いに乗るな。恐らく勝つ手立てがあるから誘ってんだ。】
「(……分かってる。けど、やっぱり凜子達を助けたい。それに凜子がもし……もし……。)」
【お前は自分のことは殆ど無視するくせに、仲のいい奴が関わると我を忘れるな?あの獅子堂とか言うのが言ってたが、お前は少し冷静さを保てるようになれ。でないと本当に痛い目を見るぞ。】
「(うん、分かった……。)」
春輝がそう返事すると九喇嘛は眠りにつき、春輝は空き缶をゴミ箱に捨てて、教室に戻ろうとした時、目の前に1人の灰色の髪をした男子生徒が現れた。
「よ、元気ねぇな?」
「えっと、誰?」
「俺か?俺は天舟ってんだ。それよりもお前なんか悩んでるのか?悩んでるんなら聞くだけ聞くぜ?」
「それは……まぁ、悩んではいるけど。(何だこの天舟っての。何か変な感じがするな。)」
「もしかして、誰か助けたいけど行けないとか?」
「!?なんで!?」
春輝が驚いていて返すと、天舟という生徒は自販機でお茶を買うと、それを飲んでから春輝に話し始める。
「いやね、俺も気持ちが分かるんだよ。何せ俺も昔色々有ったからな。けど、先生達も冷たいよな?仲間を助けに行きたいって言ってる奴を押し留めるような真似してよ?」
「……。」
「アサギさん達も所詮は自分達が上から責められるのが怖いんだよ。けどよぉ、仲間が大切なら行くべきだろ?仲間を見捨てるのが賢いと思うか?無惨に殺されたり、犯されて心が壊れた後で後悔するよりは良いと思うがな。」
天舟の言葉に春輝は内心で“黒い感情”が膨れ上がっていき、それを見て察した天舟が続けようとした時。
「お兄ちゃ〜ん!」
「……ち。」
「?ゆきかぜ、どうしたんだ?」
「お兄ちゃん、探したよ!?アサギ様が呼んでるよ。」
「え?あぁ、分かった。」
ゆきかぜに呼ばれてアサギの下へと向かう春輝とゆきかぜだったが、それを見ていた天舟……葉取 天舟は小さく舌打ちをした。
「あのガキ、邪魔しやがって……。」
天舟はそれだけ言うと、学園の中へと消えていった……。
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