銃兵衛Side
俺の名は金崎 銃兵衛、元ふうま一族の対魔忍で現在は首都圏有数の犯罪都市センザキ市の一部を支配する『センザキの闇で光り輝くギャングスター』だ!……今とある理由から病院に絶賛入院中だがな。
あん?なんで対魔忍が犯罪都市でギャングなんかやっているのか?なに簡単なことだ。俺は餓鬼の頃から家業である対魔忍じゃなく、ギャングに憧れていたからだ!!
俺の出身一族であるふうま一族は11年前の井河との戦争に負けて、そのまま地下へ潜って徹底抗戦の構えを見せていたが、俺は違う道連れは御免だ。理由はどうあれ、官軍である井河に負け賊軍となった一族に未来はないと判断したのと餓鬼の頃からの夢を実現させるため金崎一族郎党を連れて一族から抜けたのさ‥‥まぁ、餓鬼の頃よく遊んだ幼馴染たちとの別れは辛かったが。
でもまぁ、一族から抜けた本当の理由はある男があの戦争で戦死した当時の当主であるふうま 弾正様の跡を継いでからだんだんと一族が可笑しくなっていったのが大きいな理由だ、特にあの京都でのバカ騒動は俺のふうまに対する忠誠心を失わせるには十分だったからな。
そんな感じで犯罪都市センザキ市に流れ着き、金崎一族はギャング一家として再出発をしたという訳さ。最初は大変だったぜ、新参者という立場からかよく他のマフィアから傘下に入れだの土地代払えとか足元見られて抗争になったな~‥‥全部返り討ちにして潰したけどな♪
そんなことを繰り返している内にセンザキの一角を支配する規模まで成長できたわけだ。
んでなんでそんなギャング組織のボスが入院しているか。それは数週間前、謎の男が五車の対魔忍を殺しているという情報があって気になって部下に様子を見させに行かせたんだ。まぁ、五車対魔忍には思う所がないと言えば噓になるが自分のシマで好き勝手殺しをする輩をとっちめないのはギャングとして名折れだからな~。だが、それが間違いだった、後になって知ったんだが、謎の男というのが噂になっていたヒクソスの幹部で自身の腕を呪物化させた腕で相手を呪殺する奴だったんだ。
見に行かせた部下は巻き添えで殺されちまった。敵が呪いを使う相手であるとは知らず俺は殺された部下の仇討ちに向かったんだがあっさり返り討ちになっちまった。……今、俺が生きていられるのは随伴していた部下たちのおかげだな、呪いの腕で疑似的に作られた俺の心臓を握り潰すのを必死に妨害してくれなかったらあの世行きだった‥‥死んだ部下たちには感謝しかないぜ、ホントに。
暫くセンザキ市にある病院で生死の境を彷徨っていたんだが、ある連中のおかげで生還できたんだ‥…そう五車忍軍に所属しているという乙女崎とかいう超美人かつ爆乳医療対魔忍のおかげでな、はぁ~。最初は超美人かつ爆乳だったもんで口説こうかなっと思ったけど五車所属と聞いた時、血の気が失せたね、うん。だってそうだろ?一族から抜けたとはいえ未だに抵抗を続けている一族に属していたのだからいくら抜けたからと言って賊軍リストから削除されるわけじゃねぇからな、これは死んだなっと思ったぜ。
なんで五車の連中に助けられたかというとだな、俺が病院の集中治療室でおねんねしている間、例のヒクソスの幹部は五車の手によって討ち取られたんだとさ。討伐部隊が撤収する際に内の部下共がその部隊長に助けてくれと懇願してしまったんだとさ、どうやら俺の傷はほぼ致命傷と大して変わらなかったらしくあの世行きも時間の問題だったらしい。
そこで対魔忍の中でも有数の治療忍術の大家である乙女崎に五車を経由して治療の依頼をしたんだとよ。最初、部下からそれを聞いた時は激怒したけどよぉ、センザキ在住の魔科医も匙を投げる傷だったから背に腹は代えられなかっただとよ、目元が隈だらけandやつれ顔で言われちゃ、怒りを鎮めるしかないぜ、ホント。
まぁ、常識的に考えて見ず知らずのギャングのボスを連中がタダで助ける訳がねぇわな。案の定、バレていやがったよ、俺の素性がよ。俺が目覚め初めて対面した時……。
「目覚めたようね。初めまして、元ふうま八将二車家一門衆、金崎家当主の金崎 銃兵衛君。」
治療を施した乙女崎の姐さんが俺の素性を言った時は思考が停止したね。後で部下から聞いたんだが助ける条件として俺たちが知っている範疇のふうま一族の情報を提供とセンザキ市における対魔忍のサポート、最後に俺が目覚めた際内容を提示するらしい三つの条件を飲むことだったんだとよ。
まぁ、部下や一門衆の連中からしてみればボスである俺が死んでしまったら速攻でうちのシマを狙っている敵対マフィアや反グレにやられるのは目に見えているから飲むしかねーわな、部下の立場だったら飲む一択しかねぇ、救いがあるとしたら条件を飲んだ見返りに金崎家を賊軍リストから削除するという見返り位か。
それで昨日、俺の容体が安定した所で三つ目の条件を告げに来たんだよ、あの最強の対魔忍、井河アサギが、それも上司である内務省公共安全庁・調査第三部<セクションスリー>部長山本信繁と共に、な。まさかそんな大物が来るとは思わずあんぐりと口を開けているとアサギが三つ目条件を提示してきやがったんだ……。
ふうま一族と和解の斡旋という一番難しい条件を。最初、それを聞いた時は無理だっと言ったよ、俺たち金崎家は抜け忍、一族からしてみれば裏切り者だ、そんなことをしたら確実に粛清されちまう、と。流石に連中も分かっているらしく、もしセンザキで知己が来たら和解案を渡してくれ、と‥‥まぁ、それ位だったらと思って飲んだぜ‥…難しいのは変わらねぇが。
その後は一つ目の条件のふうま関係で色々根掘り葉掘り聞かれたぜ、反乱が失敗に終わった後どうしたのか、どこに潜伏していたのか、なぜ京都を襲撃したのか、現ふうま上層部は何を考えているのか、とか。
質問に関しては俺が知っている範囲で教えてやったがそれ以外のことは分からんで押し通したぜ、なんせ本当に分からねぇからな、あの連中の考えていることなんざ。
二つ目の条件のセンザキ市でのサポートは取りあえず潜伏に適した土地の紹介や俺たちみたいな連中だからこそ手に入る情報を優先的に提供するという形で納得してもらった。……色々あったが、これで俺たち金崎家は賊軍の汚名から解放されるんだ、考えてみれば破格な条件だったな……最後の条件以外は、な。
しかし意外だったのは五車の連中がふうまの動きを完全に見失っていたことだ、何考えているか分からねぇ首脳部だったが隠れるのだけは優秀だったみたいだな。でも、俺から言わせれば、今の上層部は無駄に時間を浪費していると思うぜ。
山本信繁に反感を持っている役人や政治屋どもの力を借りて五車と競合組織を作るどころか賊軍の解除などの政治的工作はせず、京都で居るかもわからない人間を探すのに天御剣に喧嘩を売るという愚行、やっていることが無茶苦茶だ、ふうまを抜ける前聞いたことだがあの男が何やら一族ではない餓鬼に注視しているという噂があったな……一体何がしたいんだか、あの”お館様”は。
そういえば一族ごと抜けたのに今まで追い忍部隊を一度も差し向けられていないな……俺たちのことを取るに足らぬ一族と見下しているのか、差し向ける余裕がないのか、考えるだけでも不可解だぜ。
戦争に負けたといえこんなコソコソ隠れて徹底抗戦なんかせず降伏し一時の屈辱に耐え五車で井河アサギの下、一族再興を目指した方が有益なんじゃないのか?敵対していた葉取 星舟は井河アサギとの主導権争いで敗北し部下共々五車からいずこかへ落ち延び行方知れず、ふうまが今の五車と敵対する理由はないはずだ。
むしろ今すぐ合流した方がいいと思うのだが……”若”だったらどうしただろう?……頭の回転が早い若のことだ、さっさと降伏なり合流して要領よく任務とかをやって再興の足掛かりを作っていただろな~。
若もそうだが、骸佐、蛇子、尚兄、死ぬんじゃねぇぞ、何を考えているかわからねぇ連中の馬鹿馬鹿しい意地や妄想で命を散らすのは馬鹿らしいぜ、早く降伏したほうが利口だぜ。
まぁ、取りあえずセンザキに来た奴次第だな、話が分かる奴だったらいいが、あのお館様第一主義の“天音”や“災禍”は来るなよぉ~ついでに骸佐も。できれば若か蛇子もしくは尚兄が来てくれればいいが憂鬱だ、ホントによぉ……。
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