アシュラフ襲来から翌日、春輝達は軍部が用意した日本空軍の所有する輸送機に乗り込み、その時を待っており、主だってエジプトに向かう4班は先に乗り込み、別動隊は後から空路から向かうとの事であった。
しかし、この隙に五車をブラック達が襲わないとも限らないためにその間の五車の警備は芳陰、獅子堂の両家が行うこととなったが春輝達が聞いた報告では、ノマドもヒクソスからの被害を受けており、立て直しに時間を割いているとのことらしい。
「「「「……。」」」」
機内の空気が暗く重い物へとなっている。
これからヒクソスの本拠地へと向かう事が分かっているために、彼らは緊張感に満ちているのだ。特に達郎と熱川 るみと大林 あずきは緊張しているのか、体がカタカタと揺れており、それを見た春輝は不味いなと感じていた。
「(みんな緊張してるんだ。まぁこれから敵地に行くわけだし、緊張するのは解るが……。)」
「……ん~~~~!ういぃぃぃぃぃぃ~~~~~!!!」
「「「「「「!!?」」」」」」
「ど、どうした、晃?」
「堅苦しいのは、息苦しい♪!別に俺ら死にに行く訳じゃねぇ、だからみんなそんな顔すんじゃねぇ♪!イエェイ!!」
【おい八尾、てめぇの人柱力は喧しいな。】
【おめぇよりマシだよ!陰険狐!!】
【殺すぞデブ狸!】
【おいおい2人とも止めろっての!!】
突然ラップ?をかましてきた晃に驚く一同。そんな中で賢丞も大声で笑う。
「くくっ!くくくっ!かはははっ!確かにそうだな、俺らは別に死にに行く訳じゃねぇんだ。暗くなってどうすんだよ。何かあれば隊長が守るからよ。」
「そうだよ!師匠や私たちもいるんだから、大丈夫♪」
「は、はい!」
「あ、ありがとうございます!」
「うん!そうだよね!ボクたちは任務に行くんだから『ぐうぅぅ~。』あ、お腹空いちゃった。お弁当食べようっと。」
互いに輸送機の中で笑いあい、緊張感が取れたのか各々が自己紹介をしたり、自分の得意な事を話したり、あずきの持ってきたチョコなどのお菓子を分け合ったりなどしてエジプトに着くまでの時間を過ごしていた……。
そして数時間後、エジプトの目的の場所に近づくと格納庫が開き、下には4つのピラミッドが見えてきており、先に降りる賢丞達A、D班が用意につく。
「んじゃ、先行くわ。」
「気を付けてな。みんな。」
6人は頷くとダイブを始め、春輝達B班はC班と共に遅れてダイブを始めた。
パラシュートを開いて無事にゆっくりと着地すると、格班の隊長達は耳に通信機を着けて所定位置につくと、春輝は凜子の方を見る。
「凜子、頼む。」
「分かった……空遁の術!」
凜子がピラミッド内を調べるために空遁を使い中身を、調べるがしばらく調べると凛子は横に首を降り、それを見て春輝は「駄目か?」と尋ねると、頷いて探知ができない理由を話した。
「このピラミッド自体が特殊な波長を出す岩で出来ていて、それが絡み合って透視が出来ない。」
「かなり面倒な造りだな?……賢丞、澄香、真。そっちはどうだ?」
『A班、中は探れてねぇぜ。入り口も見当たらねぇ。』
『B班同じく、髪の毛で探ったけどかなり入り組んでるみたい。』
『D班、砂で探ったがこちらも同じで入り組んでるようだ。』
「そうか……。(入り口みたいなのは無いか。こういう建造物って入り口みたいなのがあるはずなんだが。)」
影分身を使って辺りを調べようか悩んでいた時、春輝は近くの岩に手を置いた瞬間、その岩がぐぐっと下に下がり、大きな震れが起こったのである。凜子と達郎が春輝に駆け寄ってくる。
「は、春輝さん!?」
「春輝!?お前何を!?」
「いや、近くの岩に触れたら……!?おい、あれ!!」
春輝の指差した方を見ると、そこにはまるで口を開けたように開いた入り口が現れており、その入り口を見た春輝は即座に仲間達に通信した。
「みんな、大丈夫か!?」
『おい、さっきの揺れはなんだ?何かしたのか春輝?』
「それが、こっちは入り口を見つけた。」
『本当か!?』
『嘘、凄い!』
『どういう仕掛けかは分からんが、良く見つけたな。今そちらに合流する。』
真達がそう言うと少し経ってから、全員が合流して入り口の中を覗き込んだ。中は非常に真っ暗で何も見えず、春輝は火遁で松明を作って照すと、そこには長い階段があり、それを見て一同は顔を見合わせると春輝を先頭に階段を降りていく。
階段はかなり長く、大体5分ほど続いていた。しかし、階段が終わると一つの扉の前についたが、そこから発せられるのは凄まじい殺気であり、尾獣達もそれを感じ取っていた。
【いるな。】
【あぁ、この奥にいるぜ。】
【しかも待ち構えてやがる。だが、何故なにもしてこない?】
守鶴、牛鬼、九喇嘛が警戒心を露にする中で春輝はゆっくりとドアノブに手を掛けて、ゆっくりと開けるとドアの先には黄金に輝く部屋があり、さらに、その奥には……奴が立っていた。
「アシュラフ……!!?」
「よくぞ来たな、我を倒しにわざわざこの地まで足を運ぶとは……貴様らを讚美させて貰おう。」パチパチパチパチ!
明らかに馬鹿にしているようだが、アシュラフは素直に褒めている様でしばらく拍手をすると、玉座に腰掛けて杯に入った飲み物を口にし、ブドウを房ごと持って1つかじる。
これから倒されるというのが分かっているのに、そのあまりの余裕に達郎がアシュラフに叫ぶ。
「おい!あまりナメた態度を取るなよ!!?こちらはお前を討てるんだからな!?」
「ほう?言うではないか小僧。では、我はこのナイフで相手をしてやろう。来るが良い。」
「このっ!!風遁!風刃!!」
「っ!?達郎待て!!」
達郎が唯一の風遁で斬りかかるが、アシュラフはナイフをそっと構えると、達郎の一撃を目を閉じて防いで見せたのだ。
「なっ!?そんな……『ドゴッ!』……がはっ!?」
「失せろ、下郎が。」
「うわあああああっ!!?」
「達郎!!?」
吹き飛ばされた達郎に凜子が心配して駆け寄る。しかし、アシュラフ悠々と食事をしているが、そんな彼に真が挑発を仕掛ける。
「余裕ぶってられるのも今の内だ。仲間がこちらへ向かっている。あと少しすれば貴様は討たれる。」
「ほう?仲間が来るのか?だが、我が討たれる事はない……何せ、外は今嵐だからな。」
「「「「嵐!!?」」」」
「あぁ、貴様らが侵入した時に扉を閉め、外を砂嵐で満たした。援軍は来ず、孤立無援……貴様らだけで我と戦うという事だ。」
アシュラフのその言葉に春輝達は臨戦態勢を取るが、アシュラフは玉座から立ち上がることなく、膝をついて春輝達に言った。
「さぁ、我を楽しませてみよ。」
12人だけの戦闘が始まったのであった……。
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