仲間がピンチ。
春輝達4班全員を降ろした輸送機がエジプトを飛び立った後、少し遅れてアサギ達を乗せた輸送機もエジプトへとやって来たが、その時には既に砂嵐が渦巻いており、とても着陸出来る状態ではなかった。
「着陸は出来ないの!?」
「無茶をいうな!この砂嵐じゃこれ以上は近付けないし、着陸なんてしたら墜落しちまう!!」
「くっ!?(みんな、無事でいて……!)」
アサギは生徒達の心配をしながらも彼女らを乗せた輸送機は一旦空から離れる事にし、砂嵐が止むまでの間、しばらく近隣の人気のない村からピラミッドに向かう事となった……。
◆◆◆
その頃、アシュラフと会敵した春輝達12人は目の前にいる砂漠の王にどうやって戦闘を挑もうか睨み合いをしていたが、アシュラフは溜め息を吐きながら春輝達を見る。
「……どうした、早く掛かってこい。貴様らの力を我に見せてみよ。それとも、力の差に戦いたか?」
「まだ大して見せてもいない癖に、随分ナメた口を利けたものだな?」
「ならば力を見せてみよ。我を楽しませてみせろ。」
「バカにするな!!!」
ゆきかぜがライトニングシューターで電撃の弾丸をアシュラフに向かって放つが、アシュラフはその電撃をまるで掬い取るようにスプーンで防ぎ、幾つにも分けるとそれを仲間たちに向かって返していく。
「ちぃっ!」
「させるかよ!!」
「バカヤロウ!この野郎!」
「ふん!」
その分けられ、数を増やした電撃の脅威を察し、真が砂の壁を造り、春輝が土遁で岩壁を造り防ぐ。それでも防ぎきれなかった弾丸を、晃と賢丞が刃で切り裂く事で防ぐ。
その動きを見たアシュラフは楽しげにクスリと笑い、拍手をするとその様子を見て、賢丞が睨みを利かせる。
「てめぇ、なに嗤ってやがる。」
「いや、なかなかに素晴らしい動きだと思ってな。」
「そりゃどうも!余裕ぶっこいてると痛い目を見るぞ!!」
「ほう?ならば見せてもらおうか。」
賢丞が駆け出し、アシュラフに向かって刀を振るう。するとアシュラフはスプーンを巧みに動かしながらそれを防いでいき、隙あらば電撃の弾丸を放っていく。
その攻撃を全て賢丞は避けていき、今度は晃が雷光で視界を奪いつつ背後から雷を纏って接近し、切り裂こうとする。
「(獲った!!)」
「良い連携ではあるが、まだ若いな。」
バリバリ!!!
「ぐぅ!!?」
「ぎっ!?【晃!!?】」
アシュラフが賢丞と晃の間を潜り抜けながらスプーンを動かすと電撃が2人に襲い掛かり、賢丞はモロにダメージをくらいその場で痙攣し始め、晃の方は逆に身体が痺れて動けなくなってしまう。
それを見たゆきかぜ達は驚きこそしたが、今は悠長にしている余裕はなく皆一斉に攻撃を繰り出す事とした。
「春輝!土遁を頼む!他は援護だ!!連弾砂時雨!!」
「分かった!土遁、土石竜!!」
真が砂の弾丸を、春輝が土塊の竜を放ち、仲間達も一斉に攻撃を仕掛けに掛かる……しかし、アシュラフは静かに笑みを浮かべたまま、魔法を放つ。
「
アシュラフの放ったコブラのような黄金のエネルギーは全てを押し返して、仲間達へと襲い掛かる。その攻撃の全てを受け止め切ることは出来ず、攻撃を受けてしまった春輝達は吹き飛ばされていく。
「ぐわぁあ!?」
「ぐっ!?……野郎!!」
「晃!くそぉおお!!……うおおぉお!!」
吹き飛ばされた仲間達を見て、怒りに身を任せ晃が刀を構えてアシュラフに切り掛かるが、その攻撃をも容易く防いでいく。
「ふん、まだ未熟だな。」
「あぁあああああ!!!!」
アシュラフのナイフと晃の刀が激しくぶつかり合う中、真は痛みが走る体に鞭打って、アシュラフを砂で止めようとするが、その砂はアシュラフに触れる前にただの砂となってしまい、さらさらと流れ落ちる。
「なに!?砂が、効かない!?」
「当然だ。砂は我の糧。魔力で押し流す事など容易い。」
「くっ!(どうする?どうやって倒す!?)」
真はどうにか打開策を考えるも、今の自分達ではどうあがいても勝てないと察してしまい、焦り始めていた。
その中で春輝はボロボロになりながらも立ち上がり、アシュラフを見ながら真に近付く。
「真、俺が奴を引き付ける。その隙に皆を連れて離脱しろ。」
「なに!?」
「奴は俺達で遊んでる。けど、流石にこのままじゃ全滅だ。ここはお前に任せるぞ、頼んだぞ……。」
「……死ぬなよ。」
「分かった!」
「お、お兄ちゃん!!!?だ、めぇ!!!?」
ゆきかぜが春輝に手を伸ばすが、真が砂でゆきかぜ達を包むとピラミッドの出口へと向かっていく。その光景を見たアシュラフは楽しそうに笑う。
「ほう?仲間を逃すか。面白い、来い。」
「お前を倒せなくても、時間くらいは稼いでやる!!やるぞ、晃、賢丞!!」
「あぁ!」
「おうよ!」
春輝はそう言うと、全力で繰り出しながらアシュラフに突撃していくのだった……。
その頃、ピラミッドを出た真達はピラミッドから離れた場所まで退避し、砂嵐が止むまでの間そこに身を隠す事とした。
「皆大丈夫か?」
「……ぐぅぅ……私以外はなんとか。だが、ゆきかぜが……。」
「お兄、ちゃん…。」
ゆきかぜは大好きな兄が自分を助けるために死地に向かってしまった事を嘆くが、真はそれを宥めようとするも、ゆきかぜは急に静かに泣き始め、凜子は慌ててゆきかぜの傍に行き、慰めるが一向に泣き止む様子がない。
「お兄、ちゃん……!お兄、ちゃ……ん!」
泣きじゃくるゆきかぜを凜子は強く抱きしめる。
自分達が戦えない以上何としても援軍が、助けが必要である……。だが、アシュラフの力を見てしまい、仲間達もその圧倒的な力に恐怖してしまっている事もあった。
そんな中、ピラミッドの中では春輝、晃、賢丞はボロボロになって倒れており、アシュラフは静かにそれを眺めている。
「この程度か?」
「ま、だまだぁ……!」
「あぁ、そうだなぁ……だがもう終わりだ。貴様らの力もある程度確認出来たし、『俺』も我慢出来そうにないしな……。」
林檎をかじると静かに笑みを浮かべるアシュラフを見ながら春輝は悔しげに睨むが、晃はもう限界らしく動けなくなっており、賢丞の方はかろうじて立てるが戦えるような余力は残されていなかった……。