ヒクソスとの戦闘から1ヶ月が過ぎた頃、五車の町には穏やかな日常を送っていた。
エジプトからの敵の侵攻で受けた被害もあったが、今では復旧に向けて人々が奮闘している。その反面、大きな戦いを終えた五車の忍者達は今後に向けて修行をする者、今を楽しむ者に分かれていた。
その中で春輝は意識の中で会得した怒濤水天を自身の物とするために彼は修行の為にと五車にある山中にいた。
ヒクソスの襲撃以降に、昼間は町の復興を手伝う為に実家へ戻り、夜になると修行を行う生活が続いている。家族との時間も大切にする中で春輝は“護る為”に強くなろうとしていた。
「はぁ、はぁ……!(水魔手裏剣。螺旋手裏剣と同じ威力の水遁忍術。あれを完全に覚えられれば。)誰だ!?」
彼は山中に設けられた練習場で技の反復を行っていた。そんな中、春輝は気配を感じて振り返ると見知った人物が立っていた。
「おう!久しいのう春輝!」
「は、柱間さん!?」
春輝の下に現れたのは、千住柱間であった。以前に消えた筈の彼が現れたことに驚いた春輝は、彼に歩み寄る。
「柱間さん、なんでここに?」
「うむ。お前の事をソウマとやらから聞いてな!わしがお主を鍛えるようにと言われてきたのだ。」
「ソウマさんが、俺に!?」
ソウマからの申し出ということに驚いた春輝は彼の方へと視線を向けると柱間はニヤリと笑みを浮かべて説明を始める。
ソウマが柱間を春輝の師に推薦したのは、今後の戦いで春輝が邪眼と怒濤水天以外に得るべき課題が柱間の指導でないと身に付かないと思ったかららしい。
さらに春輝を強くする事が今後の戦いにおける春輝の成長にも繋がるとの考えになったようだ。
それを聞いた春輝は柱間に感謝した。何れは自分の正体を打ち明けようと考えながらも、目の前に来た柱間に対して頭を下げる。
柱間はそんな春輝に気にすることはないと言いながら彼に握手を交わした。忍術の師匠が出来た事で、春輝の修行の幅が大きく広がる筈だと彼は考えていた。
「よし!では早速修行だ!まずは基礎からやるぞ。」
「はい!っしゃ!やるぞ!!」
そうして柱間との修行が幕を開け、春輝は柱間の教える全てと自分の持つ力を更に高めようと必死に努力を始めた……。
◆◆◆
そんなある日、春輝は妹のゆきかぜと母の不知火の3人で久々にお休みを得て、ゆきかぜと春輝の服を買いに来たのであった。
以前から欲しかった白のワンピースを買い、満足気なゆきかぜは兄である春輝と母親の不知火に服を見せびらかしていた。
「じゃーーん!どうよお兄ちゃん!可愛いでしょ?」
「うん、センスは良いと思うぞ。」
「そうね。確かに良いと思うわ。」
兄と母に褒められて頬を赤く緩ませるゆきかぜに、春輝は無事でよかったと心から思っており、更に2度とゆきかぜを泣かせまいと心に誓った。
その後、暫く服や趣味の買い物に付き合った春輝と不知火は昼食を取ろうと店を探す。
するとレストランが目に止まり、中に入るとその店のメニューに目を向けてみれば、3人はそれぞれ好きなものを注文し、テーブルに座る。
久々の家族団欒にゆきかぜは心から嬉しそうに頬を緩ませていた。更にきらら、凜子、退院した達郎達も合流して、みんなでその1日を楽しんでいった……。
「あぁ~~♪楽しかった!お兄ちゃん、お母さん!またみんなで遊びたいね!」
「そうだな。」
「そうね。今度はゆきかぜの誕生日にみんなで集まりましょう。」
「やった~~♪」
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