「うわぁ……!広~い!!」
ゆきかぜが感嘆の声を挙げる。
一同の眼前に拡がる演習場はサッカーのフィールド並みに広く、それが2つも有るためにかなりの広さを有しており、春輝達は最早驚くことしか出来なかった。
「凄い……。普段ここ使ってやってるのか?」
「ここは普段は開けてない。普段使えるのは幹部クラスの人間だけだ……けど、今回は模擬戦をやるってことで宗一郎様に許可を得て開けさせてもらったんだ。」
「そうだったのか。ん?」
「来たようだな、待っていたぞ。」
春輝達が視線を向けると、自分達の方に向かって来ている時松とかつて春輝と戦った獅子堂 緑郎と何やらニヤニヤしているピンクのおかっぱの男が向かってきていた。
藤孝が時松に尋ねる。
「時松先生?その人達は?」
「ん?あぁ、そうか。知らない者もいるようだな、紹介しよう。この2人は獅子堂の分家の者でな。ストローを持っているのが獅子堂 緑朗。そして隣にいるのが
緑朗と廉太郎に春輝達が頭を下げて、礼をすると緑朗は春輝にぐいっと顔を近づけてニヤニヤしながら見ていた。
「……お久しぶりですね。あの時はお世話になりました。」
「ひひひっ!そうだなぁ、あん時から比べるとかなり強くなってるなぁ♪んでぇ?こいつがお前の妹か?」
「ひぅ!?」
緑朗に顔を向けられたゆきかぜは何かを感じ取ったのか春輝の背後に隠れてしまう。
「ひひひっ!春輝以外は知らねぇ奴が多いみてぇだな。俺は獅子堂 緑朗、宜しくな?ひひひっ!んでこっちが。」
「僕は獅子森 廉太郎。今回は模擬戦を殺るってことで、まぁ仲良くしようじゃない。」
「「「「「「「「(何か、“殺る”の字が違う!!?)」」」」」」」」
「あーー。時間もないから早速始めるぞ?時松さん、お願いします。」
「うむ。今回の模擬戦のルールだが、仕合は4対4。先に全滅させた方が勝ちだが、制限時間は30分だ。ブザーが鳴ったら終わりだ。更衣室は用意してあるからそこで着替えるといい。先に男子から始める。」
翔馬の言葉に春輝達は更衣室に行き、スーツに着替えると春輝達は岩場フィールドに出る。
・男子チーム
水城 春輝&芳陰 真&秋山 達郎&藤堂 藤孝。
VS
獅子堂 翔馬&獅子堂 時松&獅子堂 緑朗&獅子森 廉太郎。
四人がそれぞれに挨拶をすると、即座に自分の陣へと向かっていき、そして配置に着くと即座に翔馬達の方から既に攻撃が始まっていた。
「え?えぇ!!?なんだあの“虫”の大群!!??」
「「「!!?」」」
達郎の言葉に春輝達は上を見ると、空には夥しい数の異形の虫達が迫っており、その全てが自分達を狙っているのが察する事が出来た。
この虫達は全て獅子森 廉太郎が自身の忍法、“蟲遁”で産み出した昆虫であり、その全てが恐ろしい見た目をしている。
「な、!?なにあれ!?キモッ!!?気持ち悪い!!!!?」
「た、確かに少しきついな。」
「うええぇぇぇっ……。」
「何なの、あれは!?」
きらら、凜子、ゆきかぜ、かなめがドン引きしており、流石に慣れた筈のスウや凪ですら引いている。
そんな中で廉太郎はニヤリと嗤うと、虫達に命じた。
「さぁ、殺っちゃえ……!!!」
虫達が春輝達に向かっていき、それを見た廉太郎はつまらなさそうに欠伸をする。
「あっという間に終わったかもね?僕の蟲達は種類の違う蟲同士を交配させ、より強力な蟲を生み出す。蟲遁、幾ら強いって言ったってこの程度じゃないかな?」
「おい廉太郎ぉ、俺の分も残しとけよ。あっという間じゃつまんねぇよ。」
「それはねぇ、あの4人が「廉太郎さん。」あ?なに翔馬?」
「あんまりあいつらを舐めない方がいい。確かに廉太郎さんの蟲が強いのは知ってますが、蟲で倒せるほど弱くはない。」
「翔馬、それどういう『ゴオオオオオオオオォォォォォォォォッ!!』!!?」
廉太郎が翔馬に尋ねようとした時、背後が赤くなったかと思うと蟲達は春輝の火遁で焼かれ、藤孝に切り刻まれ、真の砂で潰されていた。
そんな中、達郎は腰を抜かして尻餅を着いていた。
何があったのか……それはごくごく単純な事であった。
まず迫ってきた蟲達によって達郎が負傷し、それを見た藤孝が
「ひひひっ!やるじゃねぇか!」
「なるほど。やはり成長はしているようだな……相手にとって不足はない。こちらも全力で相手が出来そうだ。」
「そうです……。緑朗さん、廉太郎さん、時松さん。1つ我が儘を言わせてください。」
「何だ?翔馬が我が儘を言うなんて珍しいな。言ってみろ。」
「春輝とは一対一でやらせて下さい。あいつの本気を、力を改めて見ておきたいんです。」
「……。」
翔馬の我が儘に時松が静かに微笑み、緑朗と廉太郎が若干不服そうに翔馬を見る。
「何ですか?言いたいことがあるならどうぞ。」
「いやさ、お前が水城と戦いたいのは解るけどよぉ……俺達だって闘ってみたいたんだぜ?」
「確かにね。あの春輝ってのには僕も興味があるんだ。幾らなんでも我が儘がすぎるんじゃない?」
「……意見はもっともですが、今回は俺に譲ってください。俺は……」
翔馬は拳を握ると、二人に向かっていった。
「俺は春輝と一対一でやりたいんです!あいつの……“友達”として、全力でやりたいんです!お願いします!」
「……良いだろう。翔馬、お前が春輝と戦え。」
「っ!?時松さん。」
「おいおい、勝手許していいのかよ?時松の旦那。」
「文句を言うな緑朗、今回は翔馬に譲ってやれ……時間がある時に春輝とやり合えば良い。廉太郎もそれで良いな?」
「僕は全然構わないよ?その代わりに、あのひょろい青髪、僕はあいつとやり合うよ。面白そうだしね。けけけっ!」
「ちぇっ!ならせめて刀使い芳陰のどっちかと戦わせてくれよ!でなきゃつまんねぇ!!」
「うむ、ならば藤堂は私が相手しよう。緑朗は芳陰とやると良い……散!!」
時松の言葉に3人は散り散りに別れて、それぞれの相手の方へと向かっていった……。
◆◆◆
春輝Side
大量の蟲の攻撃から離れた俺達は、少し距離を開けて辺りを警戒している。
獅子堂の人間は伊達じゃないってのは良く分かるし、当主の宗一郎さんがかなりの強さだからな、翔馬、時松先生、緑朗さんに廉太郎さん……あの4人もかなり強いのだろうと思っている。
「春輝。」
「……翔馬か。もしかして俺の相手か?」
「勿論だ。お前とはサシでやりたかったし、何より約束を覚えてるか?」
「あぁ、互いに全力で……本気でやり合う。だろ?覚えてるよ。」
「そうか……。なら、俺の“今”の全力を見せてやる。はぁ……!!」
その瞬間、翔馬の体から凄まじい黄金の気が発せられ、その輝きに目を奪われそうになる。
「それは……気か?」
「
「そんな凄いのがあるのか……!!なら俺も今の俺に出来る全力だ!(九喇嘛、力貸して!)」
【はっ!しゃあねぇな。ま、退屈しのぎにはなりそうだ。ついでに言っとくがもしリンクしたら10分で片付けろよ?体が持たねぇぞ。】
「(ありがとう九喇嘛!!)」
俺も怒濤水天を発動して更に九喇嘛とリンクすると、翔馬は俺の使ってる怒濤水天を見て目を細める。
「青い……オーラ。綺麗な気だな。」
「おう!けど、まだ制御できてないんだが、これが今の俺に出来る最強だ!!行くぜ翔馬!!!」
そう叫ぶと俺は、翔馬に向かって拳を振るうと翔馬も拳を振るって来て、互いの拳がぶつかり、その瞬間に空気が揺れた。
◆◆◆
藤孝Side
ドォォォンッ!と爆音が響き、その音の方を見ると、そこには最初から力をフルで使ってる春輝と獅子堂 翔馬が闘っており、片方が避ければ片方が攻め、片方が攻めれば片方が受け流す。
「(いや、次元違いすぎ……。)ん?」
「待っていたぞ。藤堂。」
「時松先生……マジかよ。」
俺の目の前に現れたのは、獅子堂 時松先生だった……。この人が相手とか、マジかよ。
獅子堂 時松先生。学園じゃ教頭先生をやってて厳格かつ公明正大で忍法が覚醒していない生徒でも差別することがないため学園の生徒たちの評価は高い。
けど、その実はかなりの実力者であると言われている。
「(こいつは、気が抜けないな……。)」
「どうした?掛かってこないのか……だが、それが尤も正しい判断と言える。無闇に襲い掛かり罠に嵌まる者も多いが、藤堂。お前は常に冷静だ。学年でも成績トップでかなりの有望株だ。」
「そいつは、どうも!」
俺はサークルを作って小石を2つ拾い、1つを投擲するも時松先生はそれを軽く避ける。が、俺は自分の場所を小石と“入れ替え”、刀牙で斬りかかるが、その一撃は軽々と防がれてしまう。
「なっ!?」
「なるほど、貴様の空間忍術か。確かお前はこの空間内では物の位置を入れ換えたり、特定の部位……心臓などを取り出せたり、魂を入れ替えられる。中々面白味のある術だが……確か難点があったな?」
「えぇ、体力が削がれていくんですよ。あまり大きくサークルを作ると倒れます。」
「なるほど、そこは今後の課題だな。それより、もう終わりか?」
「まだやれますよ……!」
これは、とんでもないなぁ……。
◆◆◆
真Side
「ブレスガン!!!」ドドドドドドドドッ!!
「……。」バシュンッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!
長いストローで“空気”を打ち出してくる獅子堂 緑朗と戦っているが、とても厄介な相手だ。
砂で捕まえようとすると、跳躍して空から攻撃してくる。幾らこちらが防御しても当たれば恐らく骨が砕けるだろうな。
【真!!俺とやろうぜ!!あんな奴、俺らが組めば軽く捻れるぜ!!】
「(そう簡単には、いかないだろうな……!)」
「ひひひっ!砂の壁か。ブレスガンじゃ歯が立たねぇな?なら~、こっちも全力で殺っちゃうぜ!!すーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぅっ!食らえ!!ブレスガンを超える大技を……!」
「(!!?あれは不味い!!守鶴!!)」
【あぁ!!】
「(【最高絶対防御!!守鶴の楯!!】)」
「ブレスバズーカ!!!!!」ゴオオオオオオオオォォォォォォォォッ!!
こちらに向かってきた巨大な風……いや突風に俺は守鶴の楯で防ぐのであった……。
◆◆◆
達郎Side
「はぁ、はぁ……!!?」
「ねぇ?もうちょっと本気出してよ。ほ・ん・き……君だけあの3人に比べて弱いんだからさぁ?」
獅子森 廉太郎さんと戦うことになったけど、この人は僕に対して蟲しか出しておらず、明らかにこちらを下に見ている感がある。
春輝さん、真さん、藤堂さんがそれぞれ相手をしている中で、なぜかこの人は余裕な笑みを崩そうとしない。それどころか掛かってこようとすらしてない。
「くっ!!ナメるな!!風遁、風刃!!」
「ナメる?……お前みたいな奴ナメるかよ。」
「がはっ!!?」
「寧ろそういう台詞はもっと強くなってから言いな?今のお前じゃ、僕には勝てないよ。」
「はぁ、はぁ……!僕だって秋山家の男だ!!ナメられ「遅い。」げはっ!」
そんな、なんで……なんでこんなに差が生まれるんだ!!?
僕だって、僕だって必死に鍛えてきたのに……!!
「ほらほら。かかっておいでよ。僕はここから1歩も動かないであげるからさ……お坊ちゃん。」
「はぁ、はぁ……!!?馬鹿に、するなぁ!!!!!」
僕は挑発する廉太郎さんに向かって走っていったのであった……。
よし!目標の3話完成!!
コメント等待ってます。
十二宗家編は10月辺りに出します!