※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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謎の女性が近づく。


敵を知らず己を知らずは百戦危うし

「……気持ちは分かりますが、いくらなんでもいきなり人に指差して“お前”呼ばわりは、あまりに失礼ではありません?」

 

 

 春輝の言葉にムッとした表情と共に口を尖らせた女性の反論に春輝はまたもや言い返せない。実際に女性の言う通りで失礼な態度であった事に悪く思ってしまう。更にそういう態度をとった理由は、春輝から見て怪しいと思った、これだけだ。あくまでも春輝が勝手に怪しんでいるだけで本当は怪しくも何にも無かったり、知らないだけで学園関係者である可能性もある。

 

 

「………確かにその通りです、すみませんでした。それで昨日言った、なんで俺の事知っている理由について話してくれるんですよね?」

 

 

 春輝は言われて自身の言動が軽はずみであった事に恥じた。しかし同時にこの女性に対して何故かそれを認めたくなかった。ふと思い返してみれば、昨日からずっとこの調子で常に女性にペースを握られている様な気がし、それがまた嫌な感じだ。何とかこの流れを乱したいとも思っていた。

 

 

「別に私は何も思いませんが何故そこまで警戒するのです?仮にも私はこの学園の出身、OGで貴方の先輩なのですけど。あぁ、何故貴方の事を私が知っているか?でしたっけ。………本当に分かりませんか?」

 

 

 春輝はその言葉に警戒を怠る事無く、静かに頷くと女性は大きく溜息を吐き手を額に当てヤレヤレと言わんばかりに首を振る。その態度にどこか小馬鹿にされている様な気がして、女性の言葉から何とか正解を無理矢理にでも出そうとした。

 

 

「もしかして貴女がこの学園の出身で、関係者だからとかでs「ハイ、大ハズレ。正直この学園出身かどうかは1%も関係ありません。OBないしOGでも貴方に興味が無ければ知らないでしょうし、興味があれば学園との関係が全く無くとも知っていますよ。そうですね…… 例えば、ケインとかいう変わったオークが来ませんでしたか?」

 

 

「(そ、そんなことも知っているのか?!)」

 

 

 問いかけに思わず反応する春輝に女性は苛立ちを隠さずに、春輝に詰め寄る。その勢いに春輝はたじろいでしまい近寄るのを許してしまう。

 

 

「な、なn「いいですか!?まず貴方はもう少し情報を悟られない様にしなさい!一々反応し過ぎ、顔に出過ぎです!!そして!自身の評価を!存在価値をしっかりと把握しなさい!自らの事を分からなければ自分自身のみならず、周りも危険に晒し続けてるも同義です!!分かりましたかっ!!?」ハ、ハィイッ!?」

 

 

 何を言われるかと思えば、想定外にもそして想定以上にまともに叱られてしまい面を喰らってしまう。確かに女性の発言で言葉を詰まらせたり、一挙一動になったりと自ら教えている様なマネは多く、自身の評価など周りが勝手に思えばいいとばかり考えて気にしたこともなかった。

 

 

 だが腑に落ちないことに、自分の評価を知らない事が何故周りを危険に晒す事になるのかはこの時はまだ分からなかった。

 

 

「………さて、その様では何も分かっていない様なので最初から説明しましょうか。まず貴方は貴方自身が思っている以上に有名且つ要注意人物となっています。」

 

 

「ゆ、有名……!お、俺が、ですか?!」

 

 

「別にそんな不思議ではないでしょう。貴方、日本各地での活躍に止まらず海外でも活躍し、その勇名は広がりに広がっています。特に京都の炎上事件、中華連合でのノマドと百愧龍宮との三つ巴の争い、エジプト魔族の侵攻、これらの時の貴方の活躍は誰が見ても注目せざるを得ない程です。」

 

 

 女性の説明に思ってみれば納得できるものであったが、逆に言われなければ何も分かっていなかったと考えると、いかに自分が間抜けと思える程に無頓着であったと女性の叱責からずっと反省しきりになってしまう。

 

 

「この活躍に加えて、現在何かと話題の尾獣なる謎の生物、或いは力を持ったものを身に宿している1人、ともなれば更に注目度は高まる一方です。なのでまぁ敢えて忠告しますと、今後貴方が会う人達は貴方の姿や名前は最低限知っているものと考えた方がよいでしょうね。」

 

 

 女性の九喇嘛についての言葉に少し思うところがあるが、ここで反論すれば先程叱責に何も反省がないも同然。ここは言葉飲み込んでただ耐える事にした。

 

 

「次に貴方の評価ですが、これはあくまでも私の評価となりますが、先述した事や他にもある事を含めますと貴方を生きて捕らえる事ができましたら、それは井河アサギの首を上回るものと考えております。」

 

 

「あ、アサギ様を?!!いや、それはいくら何でも……!?そ、それに俺の他にも、その、活躍している人は他にいくらでもいます……!!」

 

 

春輝は自分の評価があまりに高すぎる事に否定し、他の人物に振る事で何とか逃れようとするが魂胆が見え見えなのか、女性はジト目で春輝を見てくる。

 

 

 

「話の振り方、誤魔化し方も下手くそですねぇ。流石にもう少し頑張った方がよろしいですよ?さて、他の方の評価でしたか?それで行きますと、貴方と近い世代で言いますと同じ尾獣を宿している芳陰真、礼導 晃、犬塚源太、甲河藤志郎、それ以外ですと獅子堂の麒麟児の獅子堂翔馬、覇遁使いの宗河賢丞。以上が高く評価されている者達ですが、やはり貴方は彼らと比べても頭2つか3つ程上です。

 

 

女性の方は申し上げにくいのですが、正直微妙な結果となっています。以前は貴方の友人でもある秋山凜子さんの評価が高かったですが、ヒクソスに敗北し囚われの身となった以後は評判を落としていますし、他もそこまでではないと言った感じですね。」

 

 

 女性の口からスラスラと出てくる仲間達の名前、更に誰が人柱力なのかも把握されている事にどんどん青ざめていく春輝。ここまで来れば、自分自身がいかに無知で迂闊だったかを認めざるを得なくなる。

 

 

「そして、私もそんな貴方を見に来たわけですが見てみればこの様、というわけです。それで?何を悩んでおられるのです?」

 

 

「……えっ?」

 

 

「昨日、貴方の様子を見ていましたが修行で上手くいかない事があり、行き詰まっているのではありませんか?そうなのであれば、ここは1つ騙された、或いは駄目で元々とでも思って遠慮せず、お姉さんに話してみなさいな♪」

 

 

 にこやかな笑みでグイグイと春輝へどこか圧を感じながら近づく女性に春輝は両肩を抑えながら、怒涛水天の事を話した。なぜ話したかと言えば女性の言う通りダメ元でというのもあったが、知らない人物である事が逆に話易かったのもあった。

 

 

 今まで様々な人達に教えて貰いながらも進歩が見える気配すらない事が徐々に話辛くなっていってしまい、結果1人でなんとかしようと思ってしまい結果は何も得らず仕舞いと悪循環になってしまっていた。それをこうして話して、胸の内にあった物を吐き出してスッキリしたかったのかもしれない。

 

 

「──というわけなんです。」

 

 

「ふむふむ成程………。要は開発途上の術の完成しておらず、最大限の力を任意で発揮させる事ができないと。」

 

 

「はい、そうなんです。どうすればできるか知っていますか?まぁ、今まで凄い人達も分からなかったので知らなくとも無理は「知っていますよ。」無いと………えっ?今?なんて……?」

 

 

「いや、だから知っていますよ、と仰ったのですが。知っての通り私、色々と知っていますので貴方のその術と全く同じではありませんが似た術は知っておりますから。同時にどうすれば習得できるかもまた同じ様に。」

 

 

「ほ、本当ですかっ!?」

 

 

 藁に縋る思いで言ったのだが、突然の会得する為の手掛かりが思いかけずに現れた一筋の光明に春輝は一気に目が覚めた様に興奮する。

 

 

「えぇ、まぁ本当にそれを自分の物にできるかどうかは貴方の努力次第ではありますので確約はできませんが、少なくとも現状よりは遥かにできるのは間違いないと約束しましょう。」

 

 

「なら、是非!是非お願いしますっ!!」

 

 

しかし、後にまだ無知である事の恐ろしさを、知ろうとしない事の愚かしさを思い知る事に、何も考えずに信じた事を後で思い知り、後悔する事になろうとは、この時の春輝はまだ知らない……。




次回がヤバめ。
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