※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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閑話 神の力!

 愛弟子である春輝の行方を捜す柱間とソウマは、春輝の行方を知る謎の女性と対峙し、別に戦う場所を設けて仕切り直す為に3人は例の小屋へと向かっていた……。

 

 

「……それで?貴方達にエスコートされて来てみれば、なんとも見窄らしいボロ小屋ですこと。このデートスポットとしては過去最低なボロ小屋に何があるのですか?」

 

 

「………まぁ急くな。過去最低かどうかは中に入ってからだ。」

 

 

 女性の言葉にソウマは少しムキになった様に言葉を返し中へ入って行き残り2人もその後に続く。ソウマが中にある花の絵が描かれている掛け軸を捲ると、その裏には渦の様なものがありまずは柱間が中へ入っていった。

 

 

「……ふむ。」

 

 

「どうした?この先が目的の場所だ。早く中に入れ。」

 

 

「言われずとも入ります。…………入りますが、このボロ小屋といい、これ見よがしな掛け軸といい美術的センスが皆無、いいえゼロどころかマイナス、壊滅的だと思いまして。あえて評価を言わさせて貰いますが、心の内が知れますね、では失礼致します。」

 

 

 そう言って入っていく女性の後ろ姿を見送った後、身体をわなわなと震わせているソウマだけが残った。

 

 

「……白嶺ぇ………!(あいつマジで覚えとけよ!!?)」

 

 

 この小屋も掛け軸も、どちらも白嶺が用意したもの、つまりは自分のセンスではない。白嶺のセンスだ、自分は何も悪くない。あえて言うなら、自分でもあべこべな組み合わせだと思ってはいたにも関わらず、特に必要もないからと変えなかったのは悪かったかも知れないが。

 

 

 だがしかし、そんなものを微塵も知らない女性の小馬鹿にしてるとも憐んでいるとも見える何とも言えない表情を送られた時、危険な違反行為に関連している事以外はなんとも思っていなかった前任者を恨めしく思った。

 

 

◆◆◆

 

 

 女性が渦の中に入り出て来たところは、白、白、白。見渡す限り一面白の世界。そこに腕組みをした柱間がいるのみで、確かにここならば戦い支障はないだろうとは思った。

 

 

「(私のモノによく似てはいますが趣向といいますか、系統の違いか構造が違うものでできている様ですね。忍術ではなく、魔術や科学技術もしくは私すらも知られざるものか。)」

 

 

「どうだ?ここでなら双方気にする事なく、お互いに力を出せるだろう?」

 

 

 女性の背後から、後を追って来たソウマが声をかけると女性はため息を溢した。

 

 

「えぇ、確かにそれができる場所ではありますが、それだけですね。これではあまりに殺風景で趣も何もないではありませんか。あの壊滅的なセンスで空間を作れば、滅茶苦茶になるから「それは後でやってやる。まずはコイツだ。」?サイコロ?」

 

 

 女性の批判にイラつきながらもソウマは女性にあるモノを投げつけ、女性はそれを手で受け止めてみると、0〜9まで書かれた10面のサイコロだった。

 

 

「簡単にルールを決めさせてもらう。方法はお前とそこにいる柱間の1対1。手段は問わず、如何な手段を使ってもいい。勝利条件は相手を気絶させるか殺すか、もしくは相手に参ったと言わせる事だ。」

 

 

「おや、貴方は戦わないで良いのですか?」

 

 

「ああ、元々はお前達の争いで俺はただ場所を用意するという話だろ。俺はあくまでお前達の戦いの決着を見る見届け人だ。そしてもう1つ、制限時間も決めさせてもらう。あまり長く戦い過ぎて春輝に影響が出て困るのはお互い様だろう。そのダイスに特に何もなければ、それを転がし出た目を1時間掛けたものとする。構わないな。」

 

 

「構いはしませんが出目が大きい場合、例えば9が出て9時間となれば、それでもそれなりに長い時間となりますが。」

 

 

「その程度なら問題ない。ここでの1時間は外では1分にしかならない。仮に最大値の0を出して10時間戦っても10分しか過ぎん。」

 

 

「えぇまぁそんなものではないかとは思いましたが、言われて安心いたしました。(サラッと言ってますが、それって私の術よりも倍の時間を過ごせるという事じゃないですか!?)」

 

 

 女性はどこか敗北感の様なものを感じたが、顔には一切出てない為かソウマが気づく事はなかった。

 

 

「その制限時間以内に決着が付かなければ、俺が無理矢理にでも止めた後で2人の状態や戦況から判定する。その時は可能な限り公正にする事を心掛けると誓おう。」

 

 

「ハイハイ、可能な限り、公正に。後はお互いに勝てば何がもらえるかも決めませんと。」

 

 

「無論決まっておる!わしが勝てば即刻春輝を返してもらおう!」

 

 

「私が勝てば何がもらえるので?」

 

 

「むっ?……………それは「言っておきますが、春輝くんの修行をそのまま進めてもいいなどと言うのは論外なので悪しからず。変える気もありませんので。」む、むうぅ………で、では何がよいのだ…?」

 

 

「そうですねぇ………では、私が勝ちましたら1つだけ、貴方が叶えられる範囲での願いを聞いて頂く、という事にいたしましょう。勿論やりたくなければ拒否して頂き代わりに別の願いを、できるものを承るまで繰り返す。よろしいですね?」

 

 

「……まぁ、わしが代わりに出せるものも無いしのぅ。ソウマ殿もそれで良いかぞ?」

 

 

「もう一度言うが、今回俺はあくまで見届け人。それ以上でも以下でもない、その結果どうなろうとも俺が口出しする事はない。お前がそれで良ければ、それでいいだろう柱間。」

 

 

 こうして取り決めが決まったと見た女性は10面のサイコロを宙へ軽く放った。

 

 

「……8、ですわ。」

 

 

「では制限時間は8時間。そして場所は……。」

 

 

        パ    チ    ン    ッ!!

 

 

 ソウマは言いながら、指を鳴らすと辺り白一色の世界が徐々に色と形状を帯びていく。柱間と女性の間には線を引く様に川が流れ出し、周りは木や土が隆起し山中の風景へと早変わりした。

 

 

「どうだ?これでも殺風景か?」

 

 

「ありきたりにしても程がありますが………まぁ、あの美的センスにしては赤点ギリギリの及第点をあげましょう。」

 

 

「なんでもいい、これで全て整ったはずだ。念を入れて、今この場所には全てが終わり俺たちが外へ出るまでの間誰も入る事はできなくした。もちろん勝手に抜け出し逃げる事もな。」

 

 

 柱間と女性、ソウマの言葉を無視する様に、或いは言われるまでもなければ、考えるまでもないと言わんばかりに両者共に相手から目を離さない。

 

 

「もう言葉はいらない様だな。ではこの石を川へ放り込んだ音が鳴ったら開始だ。」

 

 

 ソウマは無造作に川原の石を取ると弧を描く様に宙に放り投げた。

 

 

 

 

 

      ぽ    っ    ち    ゃ    ん…………。

 

 

 

 

 

 石が水飛沫が上げると両者それぞれの動きを見せたがソウマは女性の出だしを少し意外に思った。

 

 

 柱間は素早く後方へ飛び森に身を隠すが、女性は動かず。進むとも退くともせず、ただただ始まる前と同じ態度を崩さず腕を組み柱間が飛んだ先を睨む。そして柱間も女性の動きを怪しんだ。

 

 

「(……むっ?彼奴、まさか動いておらんのか?一体どういうつもりぞ。)」

 

 

「…………なぜ動かない、どういうつもりだ?」

 

 

「(春輝くんの師匠の実力、いかほどのものか。存分に堪能し、楽しませて貰いましょう。)」

 

 

 柱間は不敵に笑みを浮かべる女性を見て、少しばかり戸惑うも構わず術を発動させた。

 

 

「まさか誘っているのか?だが柱間を……忍の神を相手に、それは命取りとなるぞ。」

 

 

「何が狙いかは知らぬが一切油断も、手加減もせぬぞ!木遁・樹界降誕!!」

 

 

 柱間の付近の地面から樹木が音を立てて隆起し始め、そしてそれは徐々に柱間を中心とした地面から広がり始め、森から飛び出る様に巨木が正に津波の如く凄まじい速さで女性へ迫り、襲いかかる。

 

 

「なっ……!?これはっ……!!?」

 

 

 女性もこれには驚き先程見せていた余裕の笑みは消え去るが、女性も春輝を体術のみで圧倒する程のまごう事無き実力の持ち主。すぐ様樹木の津波を躱すべく後ろへ跳躍していき、ひとまずの安全圏へと距離を取るが、そこで目にした光景に感嘆の言葉を漏らした。

 

 

「まさか、これ程とは……。成程彼女……“静流”達よりも優れた木遁使いは存在しないと思っていましたが、これは認識を改めなければいけませんね。流石は春輝くんの師になるだけはあります。」

 

 

 柱間の木遁から生み出された樹木はあまりに大きく、太い。その樹木が成長するのも早く、そして樹木が広がる範囲も広く、速い。もうすでに地形を全て埋めつくさんとばかりに、樹木がすでにある木々を薙ぎ払い、押し潰し、巻き添えにしながら女性へと迫っていく。

 

 

 彼女も“華の対魔忍”高坂 静流を始めとした様々な木遁の術やその使い手を見聞きして知っているが、これはそれら全てを一蹴する程に違う。

 

 

 正しく“格”が違った。

 

 

「というかあの男。さりげなく向こうに有利になる様な場を用意しやがりましたね。何が罠はない、安心しろですか。」

 

 

 愚痴を吐きながらも迫る巨大な樹木を軽やかに躱していく女性。しかし、その心中に最初の様な余裕はなく少しばかり焦りを感じ始めていた。柱間に有利な場面を作られながら攻められる展開の打開を考えているが、まだ自分の手の内を晒したくないと考えており中々に困難になっている。

 

 

「(これは完全に見誤りました……!余裕ぶってないで先手を取りにいくべきでしたね!?)」

 

 

「ここぞ!」

 

 

 しかし、そんな女性に追い討ちを掛ける様に更なる展開へと進める柱間。襲いかかる木から躱した女性が降り立った瞬間、地面から木の根が伸びていき女性の首を絞めつける。

 

 

「ぐっ………!流石にここまで手を拱いていては、こうもなりますか!にしても……鬱陶しい……!」

 

 

「取ったぞ!このまま畳みかけるっ!!」

 

 

 首に巻きついている根を振り解こうする女性の足元から、いくつもの樹木が伸び女性の身体を巻きつき成長し女性の身体を潰さんばかりに圧迫していく。

 

 

「くっ……ぐうぅぅっ…うあ゛あぁぁあ゛あぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

「木遁・樹縛栄葬。……何、命までは取らぬ。しかし、些か悪戯が過ぎておるゆえ少しばかり痛い目を見てもらうぞ。」

 

 

 開始から怒涛の攻めが決まり、柱間は自身の勝利を確信しながらも一切の油断も緩む事も無く悠然と女性の場所へ向かった……。




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