李 破狼に連れられて夜の街を歩く春輝と翔馬の2人。
3人はしばらく歩くと、破狼は廃棄された教会の中へと入っていき、祭壇に十字を書くと祭壇が動き、階段が現れる。
「これは……!?」
「この下が俺らの集まる場所だ。本当は“大聖堂”に直接向かいたいんだが、そこは今化け物の巣窟になってて入れねぇ。教皇様も命を狙われてるほどだ。」
「そうなのか。」
「あんなのがいたら、それは納得できるがな。」
「これから“司令”に会ってもらう。まぁ気の良い奴だから安心してくれ。」
春輝と翔馬は互いに見合って首を傾げる中、3人は階段を降りていくと祭壇は元の場所に戻った。
そして5分ほど階段を降りると、扉に手を翳す。
すると扉は自動で開き、その先には大勢の人間達が行き交っていた。
「これは……!?」
「ここが俺達、聖十字騎士団の本部にしてヴァチカンの設立した対魔組織“テスタメント”だ。」
「「テスタメント。」」
ローマ最大にして最高の対魔組織、テスタメント。
ローマ教皇が妖魔に襲われた時、それを救った対魔の騎士が法王に指名され、名誉と共に設立した組織であり、その実力は天御剣とほぼ互角と言われている。
「凄い。」
「今の現司令がやり手でな。若干15歳で第零席……司令官の座についてるんだ。」
「言葉がでない【春輝。】(ん?どうした九喇嘛。)」
【この先に何かいるぞ?わしら尾獣とは違う“何か”が。】
「(え?)」
そして、星が画かれた扉の前に立つと破狼は扉をノックする。
「『コンコンッ!』レイ、いるか?報告した対魔忍を連れてきた。」
「あぁ。ロー、入ってくれ。」
扉が開くとそこには白金色のベリーショートで、切れ長で鋭い碧色の瞳をした美少年が座っていた。しかし、春輝も翔馬も“彼”がすぐに強者だというのが理解した。
「(こいつ、強い……時貞さんを軽く越えてる。)」
「(優しげな雰囲気だが……何だろ?何か違和感がある。)」
2人が彼を見ていると、ゆっくりと立ち上がり丁寧にお辞儀をし、自己紹介を始める。
「初めまして、対魔忍の御両人。私は“レイヴェルト・クラウス”、この聖十字騎士団の第零席の総司令であり、聖騎士の称号を持つ者です。以後お見知りおきを。」
「初めまして、獅子堂 翔馬です。」
「水城 春輝です。」
「よろしく。さて、それでは来ていただいて申し訳ないのですが、貴殿方の見たもの、遭遇した者を是非お聞かせ願いたい。その上で、我々テスタメントと共に動いてもらいます。」
◆◆◆
場所は変わり、黒い雲に覆われている観光名所の一つ、サン・ピエトロ大聖堂の一室では水晶に閉じ込められた紫達がおり、その前には1人の女が座していて、彼女に対してシュライヤを含めた3人の男が膝を付いている。
「怨霊のシュライヤ。」
「はっ。」
「傀儡のバクライム。」
「はっ……。」
「刀剣のビシュム。」
「はっ!」
「さぁいよいよ。この地を赤く染め、この青い星を地獄へと変えるわ。着いてこれるかしら?」
「「「貴女様の御為ならば。」」」
そういうと女、カミーラの後ろの4つの水晶が妖しく光ると4人は苦悶の表情を浮かべる……。
◆◆◆
その頃、春輝と翔馬はクラウスに自分達の身に起きたことを話しており、話を聞いていたクラウスは腕を組んで思考していた。
「なるほど、赤い霧の捜査……。その際にシュライヤという者に襲われ、お仲間たちも行方知れず。」
「そんなところです、Mr.クラウス。」
「俺らとしてはすぐにでも仲間達の救援に行きたいんだ。行かせてはくれないか?」
翔馬と春輝がそういうがクラウスは首を横に振る。
「それは出来ない。ここはローマ、日本とは勝手が違う。勝手な行動は慎んでもらいたい。」
「仲間の命が掛かってんだ!!」ガタッ!!
「こちらはローマ市民と教皇様の命が掛かっている。気持ちは解るが、落ち着いてくれ。」
「っ!」
感情が爆発しそうになる春輝を翔馬が止める。
「春輝、落ち着け。……すまない、Mr.クラウス。だが確かに仲間の命が掛かっている以上、待っている訳には行かない。」
「……そちらの気持ちは分かった。だが、こちらの事情も分かってもらいたい。必ずそちらも動けるようにする。」
「感謝します。」
「……。」
その後、客室に通された春輝と翔馬は少し休むことにし、身体の疲れを取ることにしたが、春輝は自由に動けないことに悶々としていた。
「……はぁ。みんな、大丈夫かな。」
【ならお前が1人で動けば良いじゃねぇか。そうすれば良いのではないか?】
「(勝手に動くのは止めたんだよ。慌てても良いこと無いってよく分かったからな。)」
【そうか。なら今は休め。四尾の奴は簡単には殺られねぇよ。他の連中もタフだからな。】
「(それもそうだな……。少し寝る。)」
春輝は休むために少し寝付くのであった……。
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