【起きよ。】
「(何だ……?九喇嘛か……?)」
眠っていた春輝に謎の声が語り掛けてくる。
【狐を宿せし者よ、起きるのだ。】
「(?“狐を宿せし”って、九喇嘛の事か?ていうか、この声は……。)」
春輝がゆっくりと目を開くと、そこには巨大な白を基調としたドラゴンが立っており、彼を見下ろしていた。
そのドラゴンの存在に気づいた春輝は目をパチパチとさせる。
「っ!!!?ど、どどどど、ドラゴン!!?ていうか、ここどこ?!」
【落ち着け馬鹿。ここは“こいつの主人”の精神の中だ。わしらは上手く引き込まれたらしい。】
「!?九喇嘛!って、あれ!?じゃあこのドラゴンは!?」
【こいつは“龍種”だ。わしも初めて見た。】
「??龍種?」
春輝は“りゅう”と聞いて、二種類の“りゅう”を想像した。
身体の長いモノと翼の有る4足の“りゅう”を。
すると、九喇嘛が話しかけてくる。
【“りゅう”ってのには2種類いる、東洋竜と西洋龍がな。特に西洋の奴は神とやらに近い“神格”ってのがいるが……こいつはまさにその神龍ってやつだ。】
【お褒めに預り光栄だ、禍々しき九尾の狐と“3つの妖”を宿す者よ。我は守護龍ヨハン、我が友と志を一つにするモノだ。】
丁寧な挨拶をする龍、ヨハンに春輝は思わず頭を下げる。
「は、初めまして。春輝です、こっちは九喇嘛。」
【……おい白いの。お前の主人はどこだ?何故わしらをここに呼んだ?】
【我が友は多忙でな。休めといっても休まんのだ……時には体を乗っ取って休ませなければならないぐらいに追い込むことがある。今も闇の女王に打ち勝つ為の策を模索している所だ。】
「そうなんだ。それで俺達をここに呼んだのは?」
春輝が尋ねるとヨハンは話を始める。
【このローマに“災い”が迫っている。とても大きな災いが……。】
「災い?それっていったいどういうことなの?」
【我は未来を視た。その災いによってこの地が壊滅する光景を。そして、そこに写っていたのが、そなただ。狐を宿す者よ。】
ヨハンの言葉に春輝は首を傾げるが、構わずにヨハンは春輝に問い掛けた。
その眼には鋭い意思が宿っている。
【答えよ。貴様は我が友が護る
「破滅って……言葉の意味は分かんないけど。まぁでも取り敢えず言えるのは、俺は仲間助けてみんなで日本に帰るってだけ。この国に何かしたりはしない。」
ヨハンは春輝の目を見ると、納得したのか小さく頷く。
【……そうか。それならば良い、だがもし。この地を荒らすような事をするのであれば、その時は我が貴様を討つ。如何なる力を隠していようともな、覚悟しておけ。】
それだけ言うと、ヨハンは姿を消すと同時に外には朝日が差し込んでおり、翔馬は外に出掛けているようで部屋にはいない。
「なんだったんだ……今のは。」
◆◆◆
その頃、聖十字騎士団本部にある会議室では、眼帯を付けた男がいた。騎士団の第八席であり、前隊長が居た頃から在籍していた古株、“オズワルド・ヴァルケンハイン”が報告を上げていた。
「レイヴェルト、ローマの約8割は被害を受けている。しかもその被害は1週間前から日に日にな。最初は病に侵された者、白骨化した者、最後は人を食らう者……それがどんどん拡がっている。」
「……。」
ヴァルケンハインの報告を聞いていたクラウスは、静かにため息を吐くと手渡された資料を見て、頭を押さえる。
美しいローマの街は今、怪物の往来が罷り通ってしまう魔都となってしまっており、それがクラウスにはショックであったが、それよりも護るべきは教皇とローマの市民たち。
その為ならばクラウスは多少の苦は耐えられた。
「……これ以上は被害を出すわけにはいかない。オズ、エルのおっさんと共に
「やるのか、レイ。」
「あぁ。…………俺達聖十字騎士団は敵の首魁がいると思われる“サン・ピエトロ大聖堂”に全軍を投入し、ローマを開放する!!」
「解った。ジーク達にはこちらから連絡を通す。集まるのに1日は掛かるだろうが、構わないか?」
「あぁ、よろしく頼む!」
ヴァルケンハインがクラウスの返事を聞くと、部屋を出て行く。
クラウスはそれを見ると、机に置かれている写真……そこに写る黒髪の女を見据えるのであった……。
◆◆◆
その頃……。
「ビシュム、
「男性の方は抵抗していますが、女性の3人の方は侵食が上手く行きまして、
「そう、楽しみね」ニィ……。
そう笑うカミーラの前には目隠しのような機械を着けた紫、きらら、凪が立っていた……。
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