“彼”は待っている。
「(さぁ、早くしろ。我が
深い、深い水の底……そこに“彼”は封じられており、今か今かと“その時”を待っていた……。
◆◆◆
「お前、誰だ……?」
「お初に御目にかかります。
「カミーラ……それが首魁の名か。貴様、俺達と戦いに来たのか?」
「まさか。私はただの案内人でございます……私のようなしがない執事に、あなた方と立ち合える術などありません。」
「しがない執事……か。舌の回ることだ。(“殺気”は隠してるつもりだろうが、血の臭いは隠せてないというのに。)」
【あぁ、少なくともお前らの学園……五車の教師陣よりは強ぇだろうな。油断するなよ真。】
【晃もだぜ?今日はラップは無しだ。】
「(分かってるぜ、八っつぁん。)」
「(九喇嘛、大丈夫か?)」
【ふん、傷ならとっくに治した。油断するなよ?】
「(もちろん……!)」
「「……。」」
春輝達がビシュムを見据え、警戒する中で等の本人は柔らかな笑みを浮かべて返してきた。
「これはこれは……。皆様やる気はあるようですね?しかし誤解なさらないで下さい。私はあくまで案内人。我が主人の下への案内を仰せつかっているのです。特にそちらの、ハルキという方を。」
「!?」
「春輝の案内?何が目的なんだ?」
「疑うのも分かります。ですが、我が主人はそれを望んでいるのです。……お疑いならば、私を人質にしてくださっても構いませんよ?カミーラ様からすれば、私は駒に過ぎないのですから。」
「……少し待て。」
翔馬がそう言って気絶している3人の周りに集まる。
「どう思う?奴等の目的は春輝らしいが……。」
「悪意は感じない。嘘は吐いてないだろ……。」
「俺も同感……。だが、些か気になるぜ……。何で春輝を?」
「それは……俺もさっぱり……。」
「春輝くん!行くのなら誰かと行くんですよ!」
「……空気読んで。」
翔馬、真、晃、春輝がビシュムを見ると、ビシュムは会釈をして返してくる。
「……このままだと埒が明かない……。ここに残る者と着いて行く者に分かれて動こう。春輝、礼導と俺が行く。芳陰と魅神殿はここでみんなを守ってくれ。」
「「「「了解。」」」」
「相談は終わりましたか?」
「あぁ。だが妙な真似をしたら即座にお前を倒させてもらう。」
「構いませんよ。では、私に着いてきてください。」
そうして春輝達はビシュムに連れられて、彼が作った門を潜って着いて行く。その先に有ったのは歪なであったが、どこか異質な空気が漂っていて3人は警戒していた。
すると、空間が歪み春輝、翔馬、晃が分断されてしまう。
「「!!?」」
「!!?翔馬、晃!!?」
2人の姿が消えると、周囲に紅い霧が充満し始める。
春輝も警戒して息を止めて辺りを見回していると、周囲に大勢の影が見えてその影達は春輝の方へと剣を向けて襲い掛かっていく。
その攻撃を危険と感じ、避けながら辺りを警戒していると前後左右、背後からも攻撃を仕掛けてくるので、その正体を見ようと春輝も術を使う。
「(風遁、突破……!)」ビュオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
春輝が紅い霧ごと剣を吹き飛ばすと、周囲には人影は無かった。
「どうなって……!!!」
凄まじい殺気を感じて、ダァンッ!!と背後に向かって回し蹴りを放つと、そこには黒髪に紅い眼、蒼白い肌の女がいた。
「お前は……!!?」
「お初に御目にかかりますわ。私、
「!!?」
グッと掴まれている足を潰さんばかりの力で握るカミーラ。
その瞬間に春輝も足を水に変えてその場を離れると、彼女を睨み付けながらも辺りを見回すが翔馬達がいなくなっている事に気付く。内心焦りそうになるが、落ち着きながらカミーラを見据える。
「……ここは?」
「ここは私の創った空間、貴方の血と命を貰うための空間よ。さぁ、命を差し出しなさい。」
「命を差し出せ、か……。嫌だね、断る。」
「……そう。なら死ぬしかないわね!」
カミーラが牙と爪を剥き出しにして襲い掛かるが、その瞬間に春輝は電光となって消えた。
「なにっ!!?」
「実戦で初出しだ。実験に付き合ってくれよ?」
春輝の髪がオレンジになり、紅い炎と電光を纏った姿となる。
その名も、炎の大妖……鵺から得た姿。
電光石火