エドウィン・ブラック……。
ノマドの創始者であり、吸血鬼の始祖。
吸血鬼の始祖とは、生まれながらの吸血鬼であることを意味し、人間が変じた吸血鬼と違い、完全に不死身で伝承にあるように弱点はなく、日光のもとも平気でいることができる。
魔界では支配者階級に属する強力な存在で、魔界九大貴族<紅血卿>カーラ・クロムウェルの弟で姉弟揃って魔界屈指の実力者。
霧や塵などの微粒子に変身したり、血を吸い人間を吸血鬼にすることができ、また生きるものに触れることよって、その生命エネルギーを吸い取ることもできるという。
だが、そんな彼にも“親”はおり、特に祖父は彼以上の存在であった……。
それが“シルバ”である。
ブラックやカーラと同様……否、その能力は容易く2人を超えており、全ての人間を“餌”として見ていた彼は獅子堂 源一、芳陰 将忠、そして水城 逸徹が現役だった頃、3人との死闘の末に封じられた。
『源一!将忠!死ぬなよ!!?』
『当たり、前だ!!』
『死にはしないさ……!』
『愚かな餌共が……!!!我に楯突くか!!!!!』
『『『人間を、嘗めるなーーーーーーー!!!!!!』』』
その死闘は3人の活躍によって、シルバが封印されたことで一月で終わりを迎えたが……その一月で大勢の人間が死に絶え、都市機能は半壊……。
さらに魔族や魔物の侵攻も有ったために人間側の被害は甚大だったが、それはこの戦いの後に結ばれた“相互不干渉”の契りによって、人は滅びずに済んだ。
しかし、その封印は解かれてしまい、最悪最凶が甦ってしまった……!!!
◆◆◆
春輝Side
「エドウィン……!?」
「シルバ……!?」
翔馬、李が驚いており、皆も俺も言葉を失っている……。
エドウィン・ブラックなら分かるし、授業とかでも聞いたことがある。だけど……。
目の前に現れたこの銀の長髪をした男は誰だ?
「ほう?現代のローマ……私が封じられてから変わってしまったようだな?フォルテよ。」
「はっ。今はお孫様、ブラック様とカーラ様が……そして、玄孫の方もカミーラ様も。」
「ん?カミーラ……?そうか。
「そ、そんなのも……?」
シルバはカミーラを一瞥すると、彼女に歩み寄るとその頭に指を刺して殺し、そのまま指から体内に取り込んだのだ。
「「「「「「「!!!!?」」」」」」」
俺らは驚いた……驚くしかなかった。
同じ種族の、しかも玄孫を吸収したのを見た瞬間、全身から血の気が引いたのを感じたから……!!!
「このっ……!化け物がーーーーっ!!!」
「破狼、止せ!!!?」
レイが叫んで止めるも李が槍を携えて、凄まじい勢いで突貫していく。
「シルバだか何だか知らねぇがな!!!てめぇみたいなのにビビるかよっ!!!?聖十字騎士団を、嘗めるなーーーーーーー!!!!!!」
「やれやれ、そんなに叫ぶな。耳に響く。」
ぺちっ。
「は…………?」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
「がはっ………………………………!!!?」
「!!?破狼!!!!?」
「な、何だ今の!?」
「
しかし、その中でエドウィン・シルバは一瞥すると、フォルテと共に宙に浮く。
「なっ!!?何処に行く気だ!!?」
「我々は行く所があるのでこれで失礼するよ。……フォルテ、行くぞ。」
「承知しました、伯爵様。」
「だが、我々の出会いを祝して“贈り物”をしておこう。」
そう言うとエドウィン・シルバは右手にエネルギーを溜めていく。
「!!!?(九喇嘛!!!ありったけ!!!!)」
【分かってる!!!】
そのエネルギーを見た瞬間に、その膨大すぎる上に強大な質量を察し、命の危険を感じて咄嗟に九喇嘛に頼んでの狐の頭をしたエネルギーの膜を張る。
そして、そのエネルギーの球をシルバは地面に落とした。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
◆◆◆
冥のアジト……。
「来た、か……。」
「あ?」「ん?」
「「「……。」」」
「ふんっ。」「けへへっ。」
冥のアジト……そこに紳士服に着替えたエドウィン・シルバとその家臣であるフォルテが到着する。
冥の頭がシルバに近付く。
「よく、来てくれた。フォルテもな。」
「お久しぶりです、頭領。」
「今日から世話になる。」
冥に新たな闇が加わった。
「さぁ、新たな同士が集まった……。我々はこれから“六尾”と“七尾”を狩る……!!!
クエスターレイ、2体の居場所は?」
「既に掴んでいる。一番近いのは七尾、日本の南にいるのが六尾だ。」
「ならばミサキ、クエスター、蒼都。お前、達が七尾を、捕まえてこい……。荼毘、サギー、ヤイバは六尾を狩れ……。シルバ達は待機だ。」
「良いだろう。」「畏まりました。」
◆◆◆
「この度はご迷惑をお掛けしました。」
「いや、こちらこそ。あなた達のお陰で助かった。」
3日後、イタリアはローマの空港。そこには紫達対魔忍と聖十字騎士団の団長であるレイがおり、全員が傷だらけであった……。
春輝の張った九喇嘛の結界によって、その場にいた一同は怪我はなかったが彼らのいた建物……コロッセオを完全に焼失させた。
その大きなクレーターの中心にいたテスタメントの騎士団達と春輝達……その中でレイは辛うじて意識を取り戻したが、その時には皆が衝撃波によって気絶していたが、春輝の九喇嘛とレイの中にいるヨハンによって護られていた……。
『みんな……!!?俺達は助かったのか……?』
【我が友よ。】
『(ヨハン……!みんなは!?)』
【気を失っているだけだ。それよりも、あの狐の宿せし者に救われたか。】
『(え?)』
そこでレイが見たのは翔馬、晃、藤志郎を守りながら気絶している春輝であったが、目に見えるオレンジの光が彼の物だと解り、レイはその命がけの行為に驚きながらも、対魔忍である彼らに最大限の敬意を払って全員をヨハンの背中に乗せて、本部の場所に翔んでいき治療と宿泊を支援したのだ。
その後に彼らの見送りに来ていたが、春輝は疲労のためか眠りについたままであり、千都が側に着いている。
「今回の件、我らテスタメントは貴殿らと共闘すべきだったと思っている。本当にすまなかった。同胞を守ってくれた事も感謝している。法皇様からも感謝するとお言葉を賜っています。本当にありがとう。」
「我々こそ助けていただいた事、感謝しかない。本当にありがとう。」
「我々はしばらく動けないが、何かあれば手を貸せるように動く……それと、その寝ている彼に宜しく伝えてくれ。」
「あぁ。ありがとう。またいつか会おう。」
紫達は飛行機に乗ると、長い任務の中での疲労からか日本に着くまで眠ってしまったのであった……。
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