青い空、白い雲、燦々と光る太陽……その下で2人の男女……ゆきかぜと兄の春輝がプールでボール遊びをしていた。
「よっと!」
「えいっ!もう、お兄ちゃん強〜い!」
スレンダーなゆきかぜは白のタンキニタイプの水着を着ており、春輝はパンツタイプの水着を着ている。
そんな2人をデッキに寝そべって休んでいるドスケベ……紐ビキニ姿でドリンクを飲んでいる不知火が微笑んで見ていた。
「うふふっ。2人とも〜、はしゃぎ過ぎたら駄目よ~♡」
3人は今、自分達が泊まっているホテルのプールに任務前の気持ちを休めるという名目で来ており、そんな家族2人を見た春輝は優しく微笑むのであった……。
◆◆◆
その後、夕暮れ時になってから春輝達3人は、六本の尾を持つ蛞蝓とその近くにて目撃されている謎の青年を見つけるため動いていた。
「(九喇嘛、六本の尾を持つ蛞蝓って……。)」
【恐らく六尾のやつだな。アイツは食えねぇ野郎だし、面倒くせぇ。】
「(面倒くさいって……。)ん?はい、こちら春輝。」
「“春輝、何か見つかった?”」
通信機から着信が入ると、相手は別のエリアを調べている不知火であった。
春輝は辺りを見渡しながら、不知火に現状を報告する。
「いや、こっちは今なにもない。
観光客でごった返してて、目標の相手も見つからない。」
「“こっちも同じよ。ゆきかぜも同じみたいね。
そろそろ合流しましょう。”」
「了解。それなら……『ドオォォォンッ!』……!!?」
春輝が不知火に返そうとした時、突如町中で大きな爆発が起こり、火事も起きたため、それによって悲鳴が響き渡る。
それを通信機越しに聞いていた不知火は、慌てた様子で尋ねた。
「“春輝!?今の爆発は!?いったいどうしたの!?!”」
「分からない!?けど、目の前で突然爆発が起きた!
混乱が起きてて余計に分かりづらくなった!」
街道は爆発の騒ぎで人が溢れており、さらにその爆発で起きた火事の炎は燃え広がっていく。
その時、空から大量のナイフが雨のように降り注ぎ、老若男女問わず惨殺されていき、それを見た春輝が向かいの建物の上を見ると、そこにはケタケタと笑うサギーがいた。
「サギー!!」
「これはこれは!憎き対魔忍ではないですか〜?
まさかこんな所まで来ているとはねぇ〜?」
「お前……!何してんだよ!?
ん〜?何、とは変な事を聞きますねぇ?
これはぁ、私の“ショー”ですよ!
演目は「ふんっ!」おっととっ!危ないですね〜?」
「お前みたいなふざけた奴の話なんて聞く気はない。
それに……いるんだろ?他の奴らも。」
「キッキッキッ!どうでしょうねぇ?
いたとしても……あんたと、あんたの妹は私が殺しますがね?」
「ゆきかぜを?なんでだ?」
春輝の言葉にサギーは口元を大きく歪め、瞳の奥には殺意と怒りの炎を燃やして答える。
「決まってるでしょうに?……あの小娘に片腕を壊されてから痛くて痛くて仕方ねぇんですよ!!!!!
あの小娘だけは許さねぇ!!!
殺して、バラして、犯して、人形にして弄んでやるんですよ!!
そして!!!!妹の前にあんたを殺せば、あっしの怒りは「もう良い。」はぁ?」
「お前の逆恨みを聞く気もないし、その妄想にも悪趣味にも付き合う気はない。
何より俺としては、お前と荼毘には中忍試験での“借り”がある。ここで倒させてもらうぞ。」
春輝は怒り狂うサギーを見ても、何なら怒りなどの感情は起こらず、ただ虚しいやつだと思いながら、目を瞑り、精神を集中させると“怒濤水天”を発動させ、サギーを見据える。
サギーはそんな春輝を見て、怒りの炎をメラメラと燃え上がらせた。
「舐めてくれますねぇ?獅子堂に勝ったくらいで舐めてんじゃあねぇですよ!!!
そんなあんたには、あっしの本気の曲芸をお見舞いしてあげましょう!!!」
そう叫ぶとサギーは春輝の四方八方に数千の数のダガーを具現化する。
「これは?」
「あんたがいくら強くて、九尾が強いといっても所詮は人間!!!
これがあっしの技!その名も“
数千のダガーが春輝に向かって飛んでいき、切っ先が春輝に刺さると思われた瞬間、春輝は“
それを見たサギーは驚き、慌てながら辺りを見回す。
「な!?ど、どこいった!?出てき「こっちだ。」へ?『ダンッ!!』へぶぅっ!!?」
背後に現れた春輝に殴り飛ばされると、近くの人気の無い港へと落下する。
春輝はゆっくりとサギーに近づいて行きながら、話し掛けた。
「ぁ、が……!?がが、が……!!?」
「どうだ?殴り飛ばされた感想は。痛いもんだろ?
さっきの感触だと歯の2、3本は折れたか。
今度は頭を潰しとくか?」
春輝は風遁螺旋丸を用意しながら、サギーにゆっくりと近付く。
しかし、サギーの中には余裕が満ち溢れていた。
「(痛ぇなこの野郎!?歯が砕けちまったじゃねぇか!!!!まぁ良い!さぁ、来やがれ……!!
あっしの力……
あっしの毒とウイルスでグズグズにしてあげましょう……!!!!)」
サギーには勝利する確信があった。
それは、サギーの元々の力、その名は“領域
これは自身が決めた範囲に“対象”が入ってきた時、自爆し強力な毒素を持つウイルスを放ち、対象をウイルスに感染させて肉体を崩壊させるというものだ。
このウイルスはサギーお手製のものであり、どんなに耐性があっても感染すれば、肉体がグズグズになって崩壊するのである。
「(|領域《テリトリー)発動まであと、3歩!……2歩!……1「晶遁、結晶牢。」)………!!?」
春輝がサギーの領域まであと一歩の所で、彼は晶遁の術で牢を造って、サギーを密閉して封じ込めた。
突然の事に驚くサギーであったが、春輝の晶遁に封じられた事で、身動きどころか指一本動かせず出来ない。
「【大方な何かやばい力でも使うつもりだったんだろうが。残念だったな?春輝とわしが交代すれば考えなんざ読めるんだよ。】」
「(ば、化け狐ぇぇぇ!!?)」
「【お前の悪趣味に付き合うのもここまでだ。】」
バアアァァァアンッ!!
九喇嘛はそう言うと、右手にチャクラを溜めて“紅い螺旋丸”を造り出し、サギーにぶつけた。
「(くそっ!くそっ!!くそっ!!!
こんな、こんな奴らに負けるなんて……!!!
ちくしょおおおおおお………!!!!)」
晶遁と共にバラバラに砕け散ったサギーは、怨みの念を抱きながら絶命する。九喇嘛の“紅い螺旋丸”を受けた事によって骨も残らず、塵となって霧散していった。
そんなサギーを見下ろしていた九喇嘛は、春輝に意識を戻した。
「ふぅ……。(九喇嘛、ありがとう。助かったよ。)」
精神の中にいる九喇嘛に礼を言う春輝。
2人は意識を交換できるようになり、それによって場面によって幅の広い戦いが出来るようになったが、反動として凄まじい疲労感に襲われるのである。
「春輝〜!」
その時、春輝の下に不知火とゆきかぜが駆け下りてきた。
「春輝、大丈夫!?怪我とかしてない!?」
「心配したんだから!!」
「ごめん、2人とも。何とか無事だよ。」
「良かった……!良かったよぉぉ……!」
春輝に頭を撫でられて、泣きながら崩れ落ちるゆきかぜに苦笑する春輝。
その時、パチパチッと拍手する音が聞こえると同時に3人を蒼白い炎が囲み、それを見た3人が見る方向には、荼毘とヤイバが現れる。
「荼毘……!ヤイバ……!」
「やるじゃねぇか、おい。
ピエロ野郎を倒すなんてよぉ。」
「サギーめ、油断しよって。」
目の前に現れた荼毘とヤイバを相手に構えようとするが、疲労感から倒れそうになってしまい、不知火が止める。
「春輝!休んでなさい、ここは私がなんとかするわ!
ゆきかぜ、春輝を診てて!」
「おいおい、勘弁してくれよ。
“幻影”が相手なんてよぉ……勝ち目ねぇじゃねぇか。俺達が叶うわけねぇだろ……
「ふっ!」
荼毘とヤイバは春輝に向かって攻撃をしようと、蒼炎と斬撃を放つ。
不知火とゆきかぜが咄嗟に防御に入ろうとした、その瞬間であった。
ポワッ……。ぱぁんっ!!
「「「!?」」」
「あ?なんだ今の?」
「泡のようにも見えた。今の泡一つで我らの攻撃が……?誰だ!!」
謎の物体が5人の間に現れると、それは破裂して蒼炎と斬撃を掻き消したのだ。
その謎の物体が飛んできた方を見ると、そこには民家の屋根で寝そべりながら、特殊な金属の筒らしき道具でシャボン玉を造る青年、
また次回をお楽しみに!