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キセルのような道具でシャボン玉を作りながら、屋根で寝そべっているアオザイを着た青年、蒼影は春輝達をつまらなさそうに見ている。
そんな彼にヤイバは得物を構えながら眼光を向けていると、蒼影は眠たげに欠伸をした。
「貴様、何者だ?」
「名乗る必要があるのか?
俺はたまたま居合わせた市民だ。
殺し合いなら余所でやってくれ。」
我関せずとばかりに、屋根に寝そべる蒼影。
そんな彼に春輝は何かを察したのか、九喇嘛に話し掛けた。
「(九喇嘛、あの人って……。)」
【あぁ、間違いねぇ。“
おい!六尾、聞こえてるか!?】
【ん〜?おぉ、誰かと思ったら九尾かぁ。
久しぶりだなぁ!他のみんなは元気かぁ?】
【間の抜けたこと話してんじゃねぇ!
あいつらは“冥”っつう連中だ!
尾獣を集めて何かする気らしい。
暇なら手ぇ貸せ!】
「(九喇嘛!?言い方言い方!?
えっと、初めまして!俺は水城 春輝、対魔忍だ!
俺は2人に会いたくて沖縄まで来たんだ!(火)
敵対する気はない!)」
【そうなのか?それなら良いぜ~。
なぁ良いだろ、蒼影〜。】
「(……これ以上騒がしくするのは困る。)
分かった。
蒼影は屋根から降りると、春輝の隣に立つ。
それを見た荼毘はやれやれといった様子で頭を抱える。
「ったく、面倒くせぇな。
ヤイバ、恐らくあいつが“六尾の
それに
「そうだな。少なくとも対魔忍の女2人を確実に始末するとしよう……。
少なくとも“幻影”とその娘は確実に始末する。
容れ物である人柱力以外は、死のうが生きようが関係ない。」
荼毘とヤイバが殺気を放ちながら、蒼炎と得物の刀を構え、春輝達も構える。
しかし荼毘は突然、蒼炎を消すと後ろに踵を返す。
「?おい、どうした急に?」
「帰る。どうやら、
いくらお前ら相手でも、こっちは怪我したくねぇし。
ヤイバ、行くぞ。」
「……良かろう。サギーの件、いつか借りを返させて貰う。」
そう言うと荼毘とヤイバは影に潜って消え、それを見てゆきかぜが銃を構えるが、2人の気配は完全に消えていた。
他に敵の気配ない事を察すると、ゆきかぜは深く息を吐く。
そんな中、蒼影は欠伸をすると踵を返して立ち去ろうとする。
「あ!ちょっと待ってくれ!」
「……なんだ?もう用はないだろ。」
「いや、俺らはあんたを探しに
「……蒼影、羅 蒼影だ。
あんたらは、対魔忍か?」
「うん。俺は春輝、母の不知火と妹のゆきかぜだ。」
「どうも。」
「……よろしく。」
「
蒼影が尋ねると、不知火が沖縄に来た理由と目的を話し、その話しを聞いた蒼影は春輝を一瞥すると、シャボン玉を造る。
「……つまり?俺をスカウトするって訳か。」
「そうなるわね。それで、どうかしら?
私達と一緒に来てくれる?」
不知火に尋ねられた蒼影は、キセルを吹くとつまらなさそうに答えた。
「……ふぅ~。悪いが断る。
俺は1人が性に合っているんだ。
それに……五車とかいう政府の犬は信用してないんでね。」
「なっ!!?政府の犬って、なによ!!」
「ゆきかぜ、よせ。……蒼影さん、俺達は別にあんたに何かしようってわけじゃないんだ。
少なくとも、アサギさんの知っている人はまともな人だ。
信じてほしい……。」
春輝が冷静に頭を下げると、蒼影は頭を掻き、どうするか考えていた。九喇嘛と犀犬は話をしていた。
【六尾、お前の人柱力は話を聞かねぇのか?】
【う〜〜ん、蒼影も色々あったからねぇ~。
ところで他のみんなは?】
【一尾、四尾、五尾、八尾が味方にいる。
二尾と三尾は“冥”に捕まってる上に、七尾は近くにいるがよく知らん。】
【又旅と磯撫が!?それは、結構マズイねぇ……。
蒼影ぇ、ここは彼らの話を受けよう?】
犀犬の言葉に蒼影はため息を一つ吐く。
「(犀犬、生憎だが俺は
「?あぁ、うん。」
「機会があればお前らのいるところに行く。
悪いがそれまでは考えさせてくれ。」
蒼影はそれだけ言うと去っていき、その寂し気は雰囲気の漂う後ろ姿を見送った春輝達は、後ろ髪を引かれる気持ちになったが、五車へと戻る事にしたのであった……。
◆◆◆
2日後、3人が五車に戻ると獅子堂 源一、芳陰 将忠、アサギの3人に任務の結果とその中での“冥”の一人であるサギーを倒した事を報告した。
「うむ、勧誘には失敗か……。その蒼影という者にも何か有ったのかもしれんな。」
「確かに……。しかし、冥のサギー。
ショーなどと言って人を惨殺するとは……。
冥の動向にも警戒しておくべきだのう。」
「はい。」
「それと、皆さん。冥の荼毘が“もう一つの方《・・・・・・》”と言っていたのですが、冥には尾獣の“居所を探る力”か“感知に特化した者”がいる可能性があります。」
不知火の報告にアサギは驚き、源一と将忠は腕を組んで考え込む。
“感知する力”か“特化した能力者”がいるとしたら、それは今後の戦いで不利になる可能性を含んでいるからである。
対魔忍の中にも感知に特化した力や能力者は少なく、電子機器に頼っている面が多い。
「こればかりはなんとかしなければな。
……3人共ご苦労じゃったな、ゆっくり休みなさい。」
「「「はいっ!」」」
任務は終わった。
しかし、まだ脅威が去ったわけではなかった……。
あと、2回閑話挟んで新章行きます!