その気配を感じ取っていた“冥”の頭は危険な笑みを浮かべていた。
「5匹とも……離れ、た……!」
“冥”の頭は2日前に起きた、春輝達5人に政府の忍の殺害の報を盗聴した時、これを聞いた。
コレをまさに好機とばかりに、頭は声を挙げて笑った。
五車にいる人柱力達を捕らえるのは簡単だが、五車学園にはアサギや八津 九郎などの歴戦の忍達がおり、まともにやり合えば被害は計り知れない。
しかし、人柱力達が五車から離れてくれれば、狙い撃ち、捕らえるのは容易く、容易に尾獣を集められる。
さらにその中で、他勢力の戦力を削ぐことも出来るので、一石二鳥だ。
「くっくっくっ……!これは、良い……!
すごく、良い……ぞ!
この騒ぎで、尾獣五体を捕まえれば……お釣りが、来る……。」
“冥”の頭は怪しげに嗤うと、選抜した面々に念を飛ばす。
「“ミサキ”、“蒼都”、“ヤイバ”、“荼毘”、“クエスター”……。ターゲットの、“五体の人柱力が……五車を出て、野に放たれた……。
各々、尾獣狩りを初め、ろ……”。」
「“了解”。」
「“分かった”。」
「“承知”。」
「“あいよ。”」
「“オッケー”、“了解した”。」
尾獣狩りを行うために、“冥”が動き、残った頭は笑みを浮かべる。
「そうだ……。他の……人柱力達、すべての人柱力達を……集めろ。
“人柱揃いし時、大いなる果実を呼ぶ月が現れる”。
すべての人柱力が……揃うその時……大いなる果実を、この地に喚ぶ事ができる。」
頭は笑みを浮かべながら、目の前にある石板に彫られた文字を読む。
「大いなる果実、それを食せしものは、この地を我が物に出来るほどの力を得ることが出来る……。
大地、海、空の全ての栄養を吸収し、あらゆる自然エネルギーを蓄えたその実は……極上なる果実。」
冥の頭は妖しい笑みを浮かべながら、自分が大いなる果実を食し、力を手に入れる所を考えながら笑うのであった……。
◆◆◆
対魔忍、ふうま、冥の3組織に追われることとなった春輝達。彼らは今、別々の道を使って逃げており、その中で、人目につかないように進んでいた。
そんな彼らの情報は当然、闇の存在であるノマドにも伝わっていた。
「対魔忍が対魔忍を追う、か。面白いことになっているな。」
春輝達が追われていることを知ったバルトは、その情報を興味深そうに見ていた。
そんな彼を見て、イングリッドが尋ねる。
「どうするつもりだ?その5人は若いとはいえ相応の実力を持っている。」
「分かっているさ。確かに“殺す”には惜しいからな……。“殺し”はしない。“半殺し”にするだけさ。」
バルトはケータイを取り出すと、どこかへ連絡した……。