その日、春輝は妹であるゆきかぜと共に違法ドラッグを魔族と共に製造、密売をしていた組織を討つ為に任務に出ていた。
そして今2人は武装したオークとドラッグ製造のメンバーに囲まれていたがゆきかぜはライトニングシューターを、春輝は“ある刀”を構えながら背中合わせになっていた。
「お兄ちゃん、行くよ。」
「分かった、ゆきかぜ───皆殺しだ。」
春輝がそう言うと、ゆきかぜは雷遁の弾丸を放って相手を焦がしていき、春輝は刀で相手を切り裂いていく。そして、戦闘を続けていく中で2人は敵の殲滅を終え、2人はその場の始末を終えて離れると休憩地点で休むことにした。
◆◆◆
ゆきかぜSide
あたしはお兄ちゃんと共に政府から与えられた任務を無事に終えて、2人で五車学園に戻る帰路に着いていたけど、その途中であたしはオークの返り血を浴びてしまった。
その為に動くのが辛くなって、あたしはお兄ちゃんと共に近くのポイントで休むことにしたの。
どうやらお兄ちゃんもオークの返り血を大量に浴びていたらしく、少し休みたいと言っていたので、2人で少し休む事にしたの。
「ありがとう、お兄ちゃん。途中で休ませてもらって。」
「良いよゆきかぜ、それより早く返り血流してきな。それと、オークの発情の効果を中和するこの薬だから、これは必ず飲んでおけよ。俺はアサギさんに連絡してからシャワー浴びるよ。」
「ありがとう。」
お兄ちゃんはそう言うと端末を使ってアサギ様に連絡を入れる為に、部屋の外に出ていった。
本来ならお兄ちゃんだって辛いはずなのに、あんなに平静でいられるなんて……やっぱり性別によって違うのかな?
そんな事を考えながらもあたしはスーツを脱ぎ、シャワーを浴びる事にすると身体に纏わりついていた血を洗い流していき、その後にお兄ちゃんがシャワーを浴びることにした。
その際にお兄ちゃんから貰った中和剤を飲んで休む事にすると、身体がとても楽になっていくのを感じながら、安っぽい作りのベッドに横になる。
「ふぅ……。あ、お兄ちゃんったらタオル忘れてる。仕方ないなぁ。」
あたしはタオルを届けに行った。
「お兄ちゃん、タオル忘れ―――!!?」
「ん?あぁ、ゆきかぜ。ありがとうな。」
タオルであそこを隠していたけど、お兄ちゃんの身体は凄いものだった。
水に濡れる金髪、6つに分かれた腹筋、細いけど存在感のある筋肉、身体に残った様々な傷跡……それらを見て言葉を失い、唾を飲み込んだ。
「……。」
「ん?どうした、ゆきかぜ。あまりじっと見られてるのは恥ずかしいんだが。」
「え……あ、そ、その……ごめん!!」
あたしは脱衣所を飛び出して、ベッドに顔を埋めるが今見た光景を忘れられずにいて、しかもお兄ちゃんの裸……頭に焼き付いて離れなくなってる。
「(あんなの……凄すぎるよ。あんなの……うぅ〜〜。)」
その後、あたし達は無事に家に帰ったんだけど、お兄ちゃんの顔を見ることが出来ずにいて、翌日には何とか戸惑いながらも話をする事が出来て、一緒に学校に行った。
でもお兄ちゃんの顔を見るたびに、お兄ちゃんの身体の事が思い返されて顔が赤くなっちゃうし、みんなには心配されるし……どうしようかと思った。
ある日、あたしの誕生日にみんなもお祝いしてくれたし、ちょっと嬉しかった。
そんな中、お兄ちゃんが私にプレゼントをくれた。
「はい、これ。」
「お兄ちゃん、これは?」
お兄ちゃんがくれたのはリップクリームだった。けど使ってみると、とっても綺麗な色だった。
「達郎くんとデートの時にでもしていきな。唇が荒れたら大変だからな。」
「あ、ありがとう、お兄ちゃん。」
「ゆきかぜや達郎くんが幸せなら、俺も嬉しいからな。」
そう言ってお兄ちゃんは頭を撫でてくれて、それだけで沸騰しそうになる程に身体が熱くなっていって、顔なんて見せられない位に赤くなってる。
「(達郎の事も好きだけど……あたし、お兄ちゃんの事が。)」
その日からお兄ちゃんから貰ったリップクリームを忘れずに付けていき、任務の時とかも同級生の子からどんなリップ使ってるの?とか聞かれちゃった。
そんな中で、あたしのお兄ちゃんにすり寄って来てる子がいる。火遁衆の焔って人や舞華っていう女の人なんかはお兄ちゃんと話をしたり、訓練なんかもしている。
それを見ていると、何だか胸がすごく痛い。
これって、あたしがお兄ちゃんの事が気になるからなの……?
◆◆◆
五車町にいる対魔忍達が使い、代々伝わっている剣術"逸刀流"。その道場の師範代の娘であり、逸刀流の剣士の中で最強と言われている"秋山凜子"。
彼女は今、道着に見を包んで真剣である"石切兼光"を構えて、目の前に"真剣"を構えながら自身に向かい合っている少年、"水城 春輝"と稽古をする事になっていた。その場には、その他にも観戦しに訪れた達郎、ゆきかぜの姿。
更に道場へ訪れていた同じ逸刀流の剣士である
“
“
“
そして凜子に憧れる後輩である“
「はぁっ!(逸刀流一の型!)」
「しぃっ!(水の呼吸、水車!)」
凛子の上段からの斬り込みを春輝がいなす。その瞬間に春輝が白嶺から学んだ“全集中”と“水の呼吸”を使って凛子に対して下から斬り上げるが、凛子はそれを逆にいなしていく。
「しっ!!(雫波紋突き!)」
「しっ!!」
春輝に突きを放つが彼はそれを弾くと、逆に彼は身体を捻りながら凜子に上段を放つ。凛子はそれを躱して一文字に石切兼光を振るう。
しかし背を向けていた春輝の首に当たる寸前で刃は止まった。
それは……彼女の胸の心臓の辺りに春輝の刀の切先が向いており、一つ間違えれば自分が貫かれていた危険性に気付いたからである。
動けずにいる凜子。その瞬間に春輝は彼女の石切兼光を手から弾き飛ばし、彼女の喉元に切っ先を突きつけた。
「それまで! 勝負あり、春輝の勝ちよ」
審判をしていた不知火の声に、春輝は一呼吸置くと手を出し、凜子は石切兼光を左手に拾い上げると春輝の手を取り、ゆっくりと立ち上がる。
「良い時間だった。春輝、ありがとう」
「俺もだ。つい技を出しかけた時があったからな」
そんな事を言いながら笑い合う2人を他所に、試合を見ていた一同は緊張の糸が切れたかのように深く息を吐く。
「いや、あんた達ヤバいって。てか、水城って逸刀流でも無いのに、あんなに強いなんてどんな鍛錬してんの?」
「確かに。凜子から一本取るなんて、中々出来る事じゃないぞ?」
「うん……。確かに凄かった……!」
「姉さんに勝つなんて、春輝さんはやっぱり凄いや!」
「当たり前でしょう。だって、お兄ちゃんだもん!」
「凜子師範だって負けてません!次は師範が勝ちます!」
そんな事を話す一同を他所に、春輝と凛子は互いに笑い合いながらやれやれと言った様子でいたが、達郎はゆきかぜが春輝の腕に抱きつくのを見て大きなため息を吐く。
それを見た凜子はやれやれと溜息を吐きながら、弟を慰める。
その後、春輝達は軽く昼を済ませた後に解散する事になったのであった……。
◆◆◆
凜子Side
「はぁ……」チャプン……。
春輝との試合の後、自家の風呂に浸かりながら一息吐いた私は今日の事を思い返していたが、以前共に任務を熟していた時に助けられた過去がある。
あいつは強い。
幼い時に不知火おば様から聞いたが、春輝は最強のくノ一であるアサギ様が認めた事があるという。初めは信じられなかったが、任務、そして今回の稽古の中で見せたあの実力……不知火おば様の言葉にも頷ける。
そんな春輝を見ていると、何だか分からないが胸が熱くなったり、あいつの笑っている顔を見ると何だか幸せになるのはいったいなんだというのだ?
私は春輝の事が……。
「ば、馬鹿な! あいつは私にとっては友……友、なのか?」
そんな事を考えながら湯に入っていた私は頭を振って、風呂から揚がると髪を乾かして早めに眠りにつくのであった……。