助けても化物呼ばわりなんて……。
ナルトもそう、人柱力は里のために戦っても、化物扱い。
本当の化物は人間か、人柱力か?
春輝達が五車町から消えてから5日、学園に残った生徒達はアサギから待機を厳命されていた。
それによって動く事が出来ない事に、全員が歯噛みしており、その中で最も苦しんでいたのは、春輝の妹……ゆきかぜである。
「『コンコンッ』……ゆきかぜ、ご飯出来たわよ。出てきて一緒に食べない?」
「……いらない。」
「ゆきかぜ……。分かったわ、部屋の前に置いておくから、食べたくなったら食べてね。」
扉の中から返ってきた返答に、母である不知火は俯き、料理を部屋の前に置く。
春輝が居なくなってから、ゆきかぜの溌溂とした笑顔は消えた。食事もほとんど摂らなくなってしまって、元気がなくなっていた。
さらにアサギから待機命令を厳令されてしまい、春輝を一刻も早く探しに行きたかった ゆきかぜは部屋に籠もってしまったのだ。
凜子や達郎、きらら達が声を掛けに来るが、効果は薄い。
「会いたいよ………。お兄、ちゃん……………っ。」
ゆきかぜは1人涙を流しながら、ベッドに横になった……。
◆◆◆
その頃、春輝は五車からの追撃してきた忍達を返り討ちにし、ボロボロに傷付きながらも電灯のみの下水道を進んでいた。
「はぁ、はぁ……っ!?あぐっ!!」
【大丈夫か?】
「(はぁ、はぁ……。キツいや……まさか20人も五車の対魔忍が襲い掛かってくるなんて思わなかった……。)は、はは……。最悪な事ばかり重なるな……。はぁ、はぁ……ゴホゴホっ!!」
慣れない逃避行に体調が崩れるのを感じながらも、春輝はゆっくりと立ち上がり、何処とも取れない場所に向かって歩き出す。
「……。」
その背後を“後を付けている者”がいるとも知らずに……。
◆◆◆
その頃、晃はというと食事を済ませて、移動をしていると前方から10人に忍スーツを身に着けた対魔忍達が現れた。
「見つけたぜ、エセラッパー野郎。」
「あれま、見つかった。ていうか、お前ら追ってきたのか?」
「当たり前だろうが、お前達1人につき何億って大金が入って来るんだ!やめれるかよ!!」
「それにいつもいつも可愛い子ちゃんのケイリーちゃんと、イチャイチャしやがって!!少し顔が良いからってムカつくんだよ!!」
「「「「そうだそうだ!!」」」」
「いや知らねぇよ、馬鹿野郎この野郎。」
理不尽な暴言にいつもの調子で返す晃。
そんな彼にイラついたのか、対魔忍達は武器を手にして晃にジリジリと躙り寄る。
その顔には下衆な笑みが浮かび上がっていた。
「お前をぶっ殺して、大金を手に入れてやる!!」
「みんな、殺っちまえ!!!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」
「(仕方ねぇ、八っつぁん……やれるか?)」
【しゃあねぇ。やる……!?】
「困りますねぇ、私の“
「?」
「「「「あ"あ!?」」」」
丁寧口調な声に晃達全員が振り向くと、そこにはコートを着て、頭に笠を被った風変わりに男がおり、背中には巨大な布が巻かれた“何か”を背負っている。
その男から感じた“ソレ”を警戒している牛鬼が晃に伝えた。
【晃、あいつはヤベェぞ……。】
「……?」
「探しましたよ“八尾”、あなたの良質で美味しそうな匂いを頼りに追ってこれましたよ。
……悪いのですが、この“
丁寧ながら不躾な物言いの男に、晃は怪訝そうな表情になる中、五車の対魔忍達は男に詰め寄る。
「おいコラ、他人様の獲物を横取りかぁ〜!?」
「どこの所属だか知らねぇけど、邪魔すると殺すぞ!!」
「おやおや、最近の子どもっていうのは礼儀や言葉遣いを知らないようです、ね?」
ざしゅうううぅぅぅぅっ!!!
「「「「ぐあああああぁああああっ!!!?」」」」
男は背中に背負っていた巨大な何かを振るった瞬間、まるで肉でも削るように、対魔忍達を惨殺した。
布が破れ、顔を見せたソレは切先も持たないため金棒の様な見た目の武器であった。
「目上の人間への言葉遣いのなってないガキには、お仕置きをしなければ、ねぇ?」
「……お前。何者だ?」
「おやおや、これは失礼。名を名乗っていませんでしたね……。」
笠を脱ぎ捨てた男の顔は鮫のような模様があり、その眼からは感情が読み取れない。
「
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。
「……獣狩、雨夜、ねぇ。お前、簡単に人を殺るんだな?」
「ふふふっ。私の
「なら、倒すだけだなぁ!!」
晃は雷津を抜くと雷遁を纏わせて投げる。雨夜に向かって投げられた雷津を囮に、雷遁を纏って即座に死角に移動し、もう一振りの雷津を雨夜の首に向かって振るう。
しかし……。
ガキイィィイィンッ!!
「……お前、何しやがった。」
「ふふふっ、さぁ何でしょうね?」
雨夜は雁木鑢を使い、晃の雷津を防いでいた。足元には雷津が転がっており、何故か雨夜は満足気である。
「なら……!ウイィイイイイッ!!」
尾獣チャクラを纏う晃、そんな晃の尾獣チャクラを見た雨夜は感心したように頷く。
「ほう、これが「
晃の強化した頭突きが雨夜に迫る。この一撃は並みの魔族であれば頭が吹き飛ぶ威力を持っている。
但しそれは、“
ガアァンッ!!
「……お前、俺のチャクラを!?」
「ふふふっ!正解です。正確には私ではなく、雁木鑢が、ですがね。」
「なるほど、さっきの雷津の雷遁を食ったのは
けどよぉ、その力が“
ゴオオオオオオオッ!!
晃は1本分のチャクラの衣の尾を8本にした。晃は原作のナルトを読んでおり、そこに出てきた干柿 鬼鮫と似た武器を持つ雨夜に対してある策に出た。
それは、鬼鮫と同じ武器なら暴走して、倒せるだろうというものである。
「再び喰らえ!!
【止せ晃!!!罠だ!!!】
晃の中の牛鬼が大声で止めようとするが、時すでに遅しであった。
ガアアァンッ!!……ぶしゃあああっ!!!
「ぐあああぁっ!!!?」
「あなたがどういう意図でそんな事をしたのかは知りませんが……恐らく私の“雁木鑢”の暴走を狙ったんでしょう。しかし残念ながらこいつは大食漢でね、食べれるエネルギーの制限が無いんですよ。」
「な……に……!!?」
「あなたの力……チャクラでしたか?その未知の味に雁木鑢が奮えていますよ。
腕一本食わせたらどうなりますかねぇ?」
その瞬間、晃の中から余裕が消え、感じたことのない恐怖から来る冷や汗が滴り落ちた……。
晃、大ピンチ!