春輝と鬼蔵が戦う少し前。
あるビルの地下シェルターで政府役員達が鎮座していた。
「鬼蔵の奴め、遂に痺れが切らしたか」
「まぁこれで我々も計画を進められる」
春輝と鬼蔵の攻防を巨大モニターで観戦していた役員の一人が話す。
「以前から鬼蔵の行動にはウンザリしていたが、これを機に奴を亡き者にすれば尾獣は政府のものだ」
「そしてAAプロジェクトの全ての実権を握れ、我々は甘い汁を啜れる」
この場に居る政府役員が皆、私利私欲の事しか考えていなかった。
そんな彼らの邪魔をしていたのが鬼蔵の存在であり、何度も暗殺を企てようとするが全て失敗に終わっていた
だが今回の捕縛作戦は絶好の機会と判断し、全員が鬼蔵を裏切ったのだ。
「疲弊した時、奴らを捕縛して終わり。救出に出た者も反逆行為という名目で捕まえればいい。」
「最悪その場で殺せば良いしな。」
「まぁ待て、雌の忍達は生かしておけ。後でじっくり調教してやりたいしな」
全員下種な事を笑って言っていると部屋の自動扉が開き、ある人物が入ってくる。
それを見た地位の高い役員が声をかける。
「よく来たな。まぁゆっくりしていけ…
「ど〜も」
部屋に入ってきたのは煙草を咥える風間鏡助だった。
「それで状況は?」
「鬼蔵自ら動き出した。これで上手くお互いに削りあってくれれば有難い。」
「その時は待機している忍と共にお前にも出てもらうぞ。」
「へいへい、分かってますよ」
煙草を煙を吹かしながら返事をする鏡助。
その後、巨大モニターで観戦していると鬼蔵の吸放硬貨で翻弄される春樹の姿が映される。
「やはり侮れんな鬼蔵の奴は」
「このままでは小僧の方が先にやられてしまうのでは「大丈夫」ん?」
役員の話を割り込むように答える鏡助。
「
「……だと良いがな」
◆◆◆
「どいつもこいつもふざけおって……そんな体たらくだから忍の質が下がるんだというのが分からんのかぁ……?」
沸々と沸き立つ怒りに身体を震わせながら、そう呟く様に吐き出す鬼蔵。
彼の眼前には手に入れる筈であった
思い通りにいかない現状と
「ふうま 鬼蔵。お前の陰湿な悪事も全て俺を含んだ他の十二宗家にも知られている。
ここでお前を討ち、幕引きにしてやる!」
「・・・“
獅子堂の若造、貴様、わしを追い詰めた程度で勝ったつもりか?図に乗るでないわ!」パチンッ!
鬼蔵の合図とともに1000人のフェイル・アサシンが現れる。
「おいおい、まだいるのかよ。こいつらどんだけいるんだ?」
「敵の本拠地だけあって鬱陶しいくらいいるわね?」
「こうなれば貴様ら全員皆殺しだ……わしの目的の糧としてくれる。……殺れ。」
「離れて戦うな!!円陣を組んで、互いに背を預け合うんだ!!」
襲い掛かってくる1000人のフェイル・アサシンと戦闘になる春輝達。宗一郎の指示で互いに背を預け合いながら戦う。
「こうなれば、水城 春輝……奴だけでも手に入れてくれる!わしの覇道の為には、奴1人でも事足りる!!」
「っ!!ちぃっ!!春輝、来てるぞ!!」
「お兄ちゃんに……近付くなぁ!!!ミョルニル・サンダー!!!」
ギャリリリリリリリリリッ!!!
ゆきかぜの雄叫びと共にライトニング・シューターから放たれた轟雷の雨にフェイル・アサシン200人が消し炭に変わっていく。
その中で春輝はゆきかぜの成長に驚きながらも、彼は眼前に向かってきている鬼蔵を見据えながら、右手を手刀にしてさらに風遁を纏わせる。
そして、達郎の空刃以上に速い風遁で近付くと、その喉元に風の刃を纏った手刀を振るう。
「
ビュオオオォォォッ……ズバァンッ!!
「ぐっ!!?」
春輝の動きが見えていたが、予想以上に速い風遁に圧される鬼蔵は、腕を深く切られながら大きく仰け反る。
春輝はトドメに螺旋丸を作り出して、鬼蔵にぶつけようとするが、鬼蔵は“吸放硬貨”で封じ込めた自然系を発動させて距離を取った。
「くっ!?あのコインが厄介だな。」
「春輝、援護する。共にやるぞ。」
「俺もやるぜ。春輝、芳陰。」
「真、翔馬。ありがとう、よろしく頼む。
あと、あいつの使うコインは自然系の術を閉じ込めてあったり、打撃を吸収して跳ね返す力がある。」
「そうか。なら防御は俺がやる。獅子堂、お前は攻めを頼む。春輝、お前がトドメを差せ。」
「「了解!」」
「援護します!!」
「小賢しい小童どもがぁっ!!貴様らの策など、やらせると思ってか!!?」
真、翔馬、そしてゆきかぜが鬼蔵に連携して攻めかかっていく。
翔馬の獅子堂流体術を鬼蔵は、熟練の技で応戦するが時折来るゆきかぜの銃撃に歯噛みし、コインを使って攻撃しようとする。
しかし、そのコインによる自然系忍術は真の操る砂によって止められ、フェイル・アサシンは獅子堂 宗一郎と他の者達に阻まれてしまう。
「砂縛柩!」
「プラズマボム!」
「効くか!!四然撃ち!!」
「腹ががら空きだぜ!」
「ちぃっ!!反射打!」
連携に歯噛みしながら押されていく鬼蔵、すると、真上から水色の輝きが見え視線を移すと、そこには巨大な球体の掲げている春輝がいる。
春輝の出している忍術、それを見た鬼蔵は本能で分かった。
「くっ!!?」
「逃がすか!!はっ!!」
「がっ!!?砂が!!?」
「獅子堂流!滅式!」
「がはぁっ!!?」
「「春輝!!撃て!!!」」
「喰らえぇぇぇっ!!風遁!超大玉螺旋丸!!」
ゴオォォォッ!!
「くっ!!?お、おのれぇぇぇぇっ!!!?」
ギュオオオオオオオオォォォォッ!!!!
複雑に乱回転に野球ボールサイズの螺旋丸から大玉を超えた超大玉サイズの螺旋丸に抉られながら、空の彼方へと吹き飛ばされていく鬼蔵。
それと同時にフェイル・アサシンも全て倒され、それを見た春輝は安堵と疲労から脱力し、膝を着いて倒れそうになった春輝を支えたのは、翔馬であった。
「お兄ちゃん!!?」
「春輝!!?」
「おい、大丈夫か!?」
「は、ははっ……疲れた……翔馬、みんな、ありがとう……。」
「馬鹿野郎。んなのは後にしろ……お疲れさん、おかえり。春輝。」
「ただい、ま……。」
春輝は気絶し、真、晃、源太、藤志郎は疲労から座り込んだが安堵の笑みを浮かべながら、一同はヘリを呼んで五車へと帰るのであった……。
◆◆◆
超大玉螺旋丸を喰らい、瀕死の重傷になりながらも逃げることに生存し、息を殺して逃亡に成功した鬼蔵。
彼は夜の闇に隠れながら逃げていた。
「はぁ、はぁぁぁ……!!お、おのれ……五車の忍共……!だが今回の事で分かった。九尾の獣憑き、水城 春輝!奴だけで今回のお釣りが来る!次は必ず手に入れてやる!!」
次こそは尾獣の力を手に入れると考え、時期を待つことを口にする。
その時、鬼蔵の胸が何者かの腕に貫かれる。
「が……っ………!!?かはっ………っ……!!?」
口から血を吐き出しながら、ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには全身を覆う大きさのローブと仮面を付けた男が立っており……。
「き……さま、何者……だ……!!?」
「……。」ボソッ
男は鬼蔵あることを話し、最後にある事実を耳打ちする。
「ま、まさか…お前はあの…実験で作ら……!!」ズバッ!
鬼蔵が言い切る前に男は貫いた腕を引き抜き、首を刎ねた。そして男は鬼蔵の首を持ちながら鬼蔵の目に手を触れさせる。
「悪いが貰うぞ。この腐りきってるいる世を壊す為に。」
グジュッ!!
そう言って鬼蔵の両目の邪眼『物質変換』と『封印』を抉り取り、男はその場から消え去った……。