彼が出ます。変態注意!変態注意!
春輝達、人柱力捕縛作戦から時間が数日進んだ頃の夜、魔都東京キングダムにある小さいな民家では、ウェーブのかかった金髪のロングの髪をした細マッチョで顔つきの整った青年が月を眺めていた。
彼の部屋には様々な医療器具があり、更にいくつもの薬品が置かれている。そのどれもが“人間界”では手に入らない物ばかり。
「はぁ……退屈だなぁ……。」
ため息を吐き、そう呟く彼の名は“ソルバ・モーメント”。ノマドに属する魔族であり、“裏”専門の医師、魔科医だ。
その腕は魔族の中でもトップクラスであり、瀕死の状態であっても、次の日には全快までに治療してしまう程である。
“とある欠点”を除けば、最高の魔科医なのだが、その欠点が全てを台無しにしている。
「何か面白いこと無いかなぁ……。何かこう、目の覚める出会いとか……。はぁ、なかなか無いか……。」
ソルバは空に浮かぶ月を見ながら、ため息を漏らしながらそう言うのであった。
すると、彼の手元に置いてある電話が鳴った。
「はい、もしもし?」
『モーメント、私だ。』
「これはこれはイングリッド殿、何か御用で?」
『慇懃無礼な挨拶は良い。貴様に仕事の依頼だ。明日、東京キングダムの研究所に客が来る。指定した場所を送るから、そこで薬を渡せ。』
「あんまり気が乗らな『やれ、命令だ。』……は~い。……はぁ、まったく嫌なるよ。」
あまり気の進まないソルバは、ため息を吐くのであった……。
◆◆◆
春輝Side
きららからチームを組もうと誘われた俺は、なかなか答えを出せずにおり、悩みに悩んでいた。
きららとも組めるのは嬉しいが、ゆきかぜや凜子、達郎くんといった今まで組んだ相手に申し訳ない気持ちになり、なかなか決められずにおり、どうすれば良いかを母さんに相談することにした。
「鬼崎さんとチームを、ねぇ?良いんじゃないかしら。組んでみても。」
「え?良いの?ゆきかぜとか怒らないかな。」
「まぁ、ゆきかぜは不満に思うでしょうけど、タイミングを見て話してみれば良いわ。あの子もそろそろ大人に成らないと。」
「……うん、分かった。明日の任務の後で話してみるよ。」
母さんの後押しもあって、明日の任務の終わりにでもゆきかぜにきららとチームを組むという事を伝える事にし、風呂に入って眠ることにした……。
翌日、アサギ様から任務を受けた俺とゆきかぜは、対象のいる東京キングダムへと向かい、その対象である政治家と妖魔達の取引の現場の研究所に入り、対象と妖魔達の抹殺を終えた。
終えたは良いのだが……。
「ふぅ……ゆきかぜ、そっちは「こっちは終わったよお兄ちゃん!さぁ、今日は早く帰ろう!」ちょっ、ゆきかぜ落ち着けって。」
妖魔を射殺し終えたゆきかぜは、どこかそわそわした様子で手を掴んできて、足早に帰ろうと引っ張ってくる。
その表情は若干怒っているようにも見える。何か怒らせるような事をしてしまっただろうか……。
その時、研究所の一室から純白の白衣のようなコートに黒のシャツと白のズボン姿のウェーブのかかった金髪のロングの年若い美男子が出てきた。
「ふぅ……まったく災難だよ。あんな男に…………ん?」
「お兄ちゃん、あの人……。」
ゆきかぜは出てきた男を警戒しながら見ている。
ここは魔都東京、こんな所に普通の人間がいるかは分からないが、目の前に現れた男が普通の人間ではない事が解る。
俺もゆきかぜと同じく、男を警戒して見ていると……。
「好きだ。」
「はい!?」
「え?え、えええええぇぇぇぇぇぇっ!!!?」
男はゆきかぜを見て固まっていたが、即座にゆきかぜの元に駆け寄ると、どこから出したか分からないが赤い薔薇の花束を差し出し、即告白してきた。
俺は驚いたが、それ以上にゆきかぜも驚いていた。
「僕は感動している。キミのような娘に出会えたことが!」
「え!?ああぁ、あの、その、え、えっと……。」
「(え?なに?この状況?てか、何でゆきかぜは告白されてるんだ?)」
現状について行けず、困惑しているとゆきかぜもまさかイケメンに告白された事で、頬を紅くして照れた様子で困惑している。
「え、あの、その……気持ちは嬉しい、けど、私まだあなたの事知らないし、何で私の事好きになったのかも……。」
「理由かい?それは…………キミが僕の求める幼女だからさ!!!!」
「「は?」」
俺もゆきかぜも男の言葉にがく然となる。
幼女……幼女ってあの幼女か?幼女だから好きってどういう……困惑していると、ゆきかぜは男に平手打ちをかまして俺の腕に抱き着いてきた。
「何なのこいつ!?幼女とかナメてるの!?」
「ゆきかぜ落ち着け、いきなり手を出すな。」
「痛たた……。これは手厳しいな。スラッとしたボディ、なだらかな前面、むっちりとした下半身、ツンッとしながらも幼い顔立ち、どれもが素晴らしい…………!」
「何なのあんた!?殺されたいわけ!?」
「ゆきかぜ、気持ちは分かる。けど怒らない怒らない。」
「ん?んん〜!?」
何か俺の方を見て駆け寄ってくると、俺にも赤い薔薇の花束を出してきた。
「好きだぁぁぁぁぁぁ!」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜!?ちょちょ、待て、待て待て待て待て!?俺、男!あんたも男!何で告白する!?」
「キミも僕の求める幼き者だ!どうか、僕の愛を受け止めて欲しい!!」
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!」
あまりの気持ち悪さに、咄嗟に作った螺旋丸を放って吹っ飛ばしてしまったが、男は恍惚な笑みを浮かべている。
何だろう、紫先生が
そんな事を考えていると、男はぬるりと起き上がる。
「やれやれ……ここまでいっても僕の想いが受け止められないとは。仕方ない、多少強引だが……お相手しますか。」
ゾワッ……。
男から感じた悍ましい気配、その気配に俺もゆきかぜも戦闘態勢に入ると、男は身を半身引いたような構えを取る。
俺は風を纏った斬撃を放ち、ゆきかぜも雷の弾丸を放つ男は迫る攻撃を身を翻して躱すと、こちらに迫って駆けてきた。
「ゆきかぜ!距離を取りながら射撃を頼む!」
「うん!」
「キミ達は兄妹なのか!素晴らしい!もっと、もっと見せてくれ!!兄妹の絆をぉぉぉ!!!」
「(何なんだコイツマジで……。)螺旋丸!」
「ハハッ!負けないよ、螺旋掌!」
「っ!?(この腕は、食らったらヤバいっ!!)」
男の腕が俺の胸に当たるギリギリの所で躱すと、その腕が壁に当たると、当たった壁が大きく螺旋状に抉れた。
どうやったのかは分からないが、この男は螺旋丸の仕組みを理解して、それを身体で演っている。
「(こいつ、かなりヤバイ。)」
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
「何とかな。だが、あいつかなり強いぞ……変態だがな。」
「誤解するな!僕は変態じゃない……性別・種族関係なく幼き者を愛しているだけだ!!」
「「それを変態っていうんだよ!!!」」
何かこいつとやり合ってるとから回るな……。
「キミ達!僕は言った通り、性別も関係なく愛せる!特にそこの幼女!キミは僕の思い描いた理想の女性だ!お兄さん諸共愛してあげる!」
「こいつ……イカれてるな。」
「褒め言葉だよ。……さぁお嬢さん、どうかな?」
男の差し出す手を見て、ゆきかぜはそれを首を振って拒絶する。
「嫌よ……私は、私は…………お兄ちゃんが好きなの!!!他の誰にも負けないくらいお兄ちゃんが好きなの!!!」
ゆきかぜは叫び、俺の右腕にぎゅっと抱き着いてきた。
そのゆきかぜの表情を見て、男は何故か悟りを開いたような良い笑顔になる。
「そうか……ならば仕方ない。僕の負けだ。だが、いつかキミ達に振り向いて貰うために頑張るよ。アデュー!」
告白して帰っていった男に、俺とゆきかぜは呆然とするのであった……。
◆◆◆
ソルバSide
「あの2人、恐らく対魔忍だったな。しかし、なんと素晴らしい兄妹愛なんだ!ドキドキが止まらないよ!」
僕は感激していた。
対魔忍、その中に僕の思い描いた幼女がいて、さらに彼女の兄という人物にも出会う事が出来た。
対魔忍は無粋な者が多いと思っていたが、それは見直さなければならないな。
「あの2人、特にあの兄の事を調べたい。この愛を、さらに深い物にする為にっ!!!」
その後、僕は出会ったあの兄妹の事が知りたくて、とある情報筋から情報を得て、対魔忍の兄妹……水城兄妹の情報を買い取ったのであった……。
コメント待ってます。