※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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斬鬼は駆ける。

仇を討つために。


斬鬼、走る。

 春輝達が調査を続けながらも凜子が、単独行動をとった事を知り、捜索を行っていた。その中で凜子は今、1人で暗闇の地下道を進んでおり、腰には愛刀の石切兼光を下げている。

 

 

「(これで良かったんだ……奴を討てるのなら。)」

 

 

 凜子は一度止まると、石切兼光を強く握り、深呼吸をして再び歩き出す。すると、その時背後から気配を感じた凜子は構えて振り返った。

 

 

「凜子ぉ!!」

 

 

「春輝。お前何でここに。」

 

 

「お前が勝手にいなくなったから、みんなで探したんだよ。凜子、お前まさかやばい事をしに行くつもりじゃないよな?」

 

 

「春輝頼む、先に行かせてくれ。私は奴を……梶谷を討たないといけないんだ。」

 

 

「何でそこまで1人でやろうとすんだ。アサギさんから許可を得れば。」

 

 

「これは梶谷から私への挑戦だ。奴は兄者を殺し、あまつさえその死を冒涜した!何より逸刀流の門下生を大勢殺されて黙っていられるか!」

 

 

「凜子……。」

 

 

 凜子の怒りと悔しさを滲ませた表情に、春輝は何も言えなくなり、俯いてしまう。凜子にとってそれだけ大切なモノを踏み躙られたと知った春輝は何と声をかけていいか分からなかった。

 

 

「すまない……。だが春輝、私は梶谷を討つ。逸刀流の誇りに掛けて奴を討つ。」

 

 

「それは……達郎くんやゆきかぜが悲しんでもやることなのか?対魔忍として、罰を受ける事も覚悟の上なのか?」

 

 

「達郎やゆきかぜ、それに、お前にもすまないと思っている。だが、無残に殺された同胞や兄者を思えば、どんな罰でも受ける。たとえ、対魔忍を抜けることになってもな。……すまない春輝。」

 

 

 先に進もうとした凜子、しかし春輝はどうすれば良いのか悩んでいた。

 

 

 凜子に憎まれても止めるべきか、それとも凜子の思う通りに行かせるべきか。その2つで春輝は判断が出来なかった。

 

 

 凜子の言うことも分かる。仲間や兄弟子を殺されて黙ってられるわけがないが、彼女の身も大切。何より幼馴染を危険に晒すわけにはいかない。

 

 

「(そんなの……決まってるじゃないか!!)」

 

 

 そう思った春輝は咄嗟に、凜子の手を掴んでいた。

 

 

「春輝、手を離してくれ。」

 

 

「駄目だ。このまま離したら、お前がいなくなっちまうって気がする。それに、これは俺の気持ちでもある……お前を行かせる訳にはいかない。」

 

 

「春輝、手を離してくれ。私はやらなければならないんだ。それを邪魔するなら、お前であっても斬るぞ!」

 

 

「俺を斬って凜子の気が収まるなら斬ってくれて良い。」

 

 

「!!」

 

 

 春輝の言葉に凜子は目を大きく開きハッとする。

 

 

 今自分は何を言った……仲間を、大切な幼馴染を斬ると言ってしまった事に驚き、頭を抱えて壁に寄りかかる。

 

 

 自分は何をしているんだ。頭がおかしくなっていないか?

 

 

 何故幼馴染を斬らなければならないのだ!!?

 

 

「凜子、俺やみんなを頼ってくれ。達郎くんやゆきかぜ、母さんや五車のみんな、それに微力だが俺もいる。だから頼ってくれ。」

 

 

「……ありがとう。なら、頼みがある。」

 

 

「なんだ凜子、頼み『ダンッ』かはっ!凜…………子…………。」

 

 

 凜子が春輝に近付いた瞬間、凜子は春輝の鳩尾に束を打ち当ててその衝撃で、彼を気絶させると春輝の通信端末を拾う。

 

 

「春輝はヨミハラの地下ルートで眠らせた。……すまない、春輝。」

 

 

 凜子はそれだけ言い残すと、1人走り出した……。

 

 

◆◆◆

 

 

凜子Side

 

 

 私は目的の場所に到着すると、そこには梶谷が石の上に座っており、近くには奴の刀である村雲丸が置いてある。

 

 

 私は奴に向けて言い放った。

 

 

「梶谷。」

 

 

「おぉ、来たか。逸刀流の小娘……石切兼光は持ってきたか?」

 

 

 私は奴に石切兼光を見せると、梶谷は喜色満面な笑みを浮かべて立ち上がる。

 

 

「持ってきたか。では俺と石切兼光を掛けて殺し合おうではないか!」

 

 

「その前に答えろ。何故貴様は石切兼光を求める?」

 

 

「愚問愚答。石切兼光こそが俺の求める最高の一振りだからだ!俺はその刀を超える一振りを作るために、何十、何百と刀や武器を作っていた。だがどれも愚作に過ぎなかった!!」

 

 

「……。」

 

 

「俺の目指す刀剣の到達点、それは石切兼光を超える刀を作る事。その為には石切兼光こそが重要な鍵なのだ。」

 

 

「その為に何人の関係無い者を殺し、兄者までも手に掛けたというのだ……!!」

 

 

「全ては最高の一振りの為!刀匠は切れる刀を作るのみ!!そして、この村雲丸に斬れぬ物はない!!何せ、あの村雲源之助を素材にしている(・・・・・・・・・・・・・)のだからな!!」

 

 

「ッ!!?」

 

 

 外れて欲しかった予想は的中し、梶谷の言葉で自分の中の抑えていた部分が爆発したのを感じた。

 

 

 あの村雲丸という刀は、兄者の亡骸を使って造られた刀であると感じていた。

 

 

 根拠などなかった。ただの直感だったその予想は最悪な方向へと当たってしまっており、その事に私は怒りで身体が熱くなるのを感じ、梶谷を睨む。

 

 

 奴は恍惚とした表情のまま、自分の造った刀がどれだけ素晴らしいかを語っているが、奴の言葉など耳に入らない、いや入れたくなどなかった。

 

 

 私の中にある思いは一つだけだ。

 

 

「(この男は、今ここで斬らねばならない……!!)」

 

 

 私は石切兼光を抜刀すると、梶谷に斬り掛かった……。




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