ヨミハラ。
そこは東京の地下300m地点に存在する闇の無法都市。
縦横5km四方ほど、高層ビルがすっぽり入るほどの高さがある広大な地下空間で、日本の首都直下にありながら政府の力も対魔忍の力も及ばぬ魔の巣窟である。
床はコンクリートで舗装され、天井には無数の換気口、電線、水道管、ガス管などが無秩序にぶら下がっており、それらのライフラインは全て地上から違法に盗み引かれている。
さらに麻薬・魔薬の取引、売春、殺人、人身売買といったありとあらゆる非合法がまかり通る犯罪の温床となっているのだ。
無事に街に来た3人、彼らは路地裏からヨミハラの様子を見ていたが、春輝達はヨミハラという街の異常さを目の当たりにしていた。
「(入ってみたが、碌でもない場所だな。)」
「(あちこちで強盗、喧嘩、麻薬などの売買、果ては強姦まで横行している。まさに無法地帯だな。)」
「(それより、これからどうするの?お母さんを早く助けないと!)」
「母さんなら恐らくリーアルの近くだろうな。そしてリーアルは、あの建物の中だろう。」
春輝が路地裏から指差す方向、そこには巨大な建物があり、そこがリーアルの城である娼館であり、ゆきかぜはそんな娼館を睨みながら、手に力を入れる。
「……お兄ちゃん、これからどうするの?殴り込む?」
「いや、それだと不味い。ゆきかぜは凜子と行動するんだ。俺はやる事がある……無理だと思ったら退くことも考えるんだぞ?凜子、ゆきかぜを頼んだぞ。」
「分かった、任せておけ。」
「もう……お兄ちゃんってば。」
春輝はゆきかぜの頭を撫でると、2人と別れて街の中を駆けていき、凜子とゆきかぜも不知火を救うためにリーアルのいる娼館へと向かっていき、凜子の空遁で娼館へと潜入した。
娼館へと潜入した2人は娼館の中にいる護衛の魔族や、そこで取引をしていた官僚を相手に2人はその実力を見せていく。
「雷遁!トールハンマー!」ズガァンッ!!ズガァンッ!!
『ぐあぁぁあぁぁぁ!!?』
「逸刀流、胡蝶乱舞!」キンッ!
『うぐあぁぁぁぁ!!?』
「ちぃっ!?乳無しのクソ豚対魔忍ゆきかぜ!それにデカ乳の雌豚対魔忍凜子!!くそっ!化け物じゃねぇか!!」
「「誰が乳無し/デカ乳だぁぁぁぁぁっ!!?」」
『んぎゃあぁぁぁっ!!?』
2人の猛攻(逆ギレ)によってその場にいた者達は無惨な姿となって倒れていく。
そんな中、生き残った魔族の1人にゆきかぜがライトニングシューターを突き付ける。
「ひいっ!!?」
「3つ数える間に答えなさい。リーアルはどこ?」
「り、リーアル?リーアルなら、こ、この建物の最上階だ!今は不知火とかいう雌豚の調教」ズガンッ!
ゆきかぜは情報を聞き終えると魔族の頭を吹き飛ばし、凜子も溜息を吐くと、リーアルがいるであろう最上階に向かって駆けていく。
そして、リーアルの部屋と思われる場所に辿り着いたゆきかぜと凜子は扉を前にして、ゆきかぜがライトニングシューターを構える。
「開けるぞ。」
「はい!」
凜子が扉を開けて中に入り、ゆきかぜも後に続いて入ったがその先には信じられない光景が広がっていた。
そこには、全裸の状態で足を抑えながら倒れている母、不知火と白い服にサングラスを掛けた男とそしてバラバラに切り裂かれて倒れている男、リーアルが死んでいた。
ゆきかぜも凜子も混乱しそうになるが、構えを取っており、ゆきかぜも銃口を男に向けながら尋ねる。
「ん?なんだ、下の馬鹿どもはしくじった様だな?」
「あんた、誰?お母さんに何してるの!?」
「お母さん?お前はこの奴隷の娘か……何かと問われるとそれなら簡単だ。躾のなってない奴隷の足をへし折ったまでだが……それがどうかしたか?」
「っ!!」
ゆきかぜは怒りでライトニングシューターを握る手に力を入れるが、凜子は目の前の男に対して悪寒が走っており、警戒心を露わにしていた。
不知火は対魔忍の中でも精鋭であり、アサギに次ぐ実力者である。そんな彼女に対してこの男は、"足をへし折った"といったのである。
つまりこの男は自分たちよりも強いという事が分かる。
「あんた……ぶっ殺す!!」
「ゆ、ゆきかぜ!逃げなさい!!」
「ゆきかぜ!よせ!!?」
「トール「遅い!」がはっ!!」
男は一瞬でゆきかぜに近付くと、拳を黒くするとその拳を振り抜くと、ゆきかぜは思い切り吹き飛び、さらにそれに気を取られていた凜子の石切兼光を持つ手の骨を外した。
「っ!!?」
「剣士ならもっと隙を見せるなよ?イングリッドの方が強いぞ。」
「ぐっ!?」
「ゆきかぜ!?凜子ちゃん!?止めて!!」
男はゆきかぜと凜子を一方的に痛めつけていき、目の前でその光景を見せられていた不知火は、改造され痛めつけられた身体を引き摺って2人を助けようとする。
「がっ!?ぐっ!っはっ!!」
「んぎっ!?がはっ!ぐっ!?」
しかし、男はその間にもゆきかぜと凜子を無表情で叩きつけ、痛めつけ、まるで何とも思っていないと言わんばかりに殴り、蹴り飛ばしていく。
しばらく暴行を繰り返していた男は、溜息を吐くと顔に付いた返り血を拭う。そんな彼の前にはボロボロになって倒れている2人がいた。
その有様は目をつぶりたくなる程に悲惨である。
「……、……!」
「………、……!?」
「こんだけ殴れば普通なら死ぬんだが……流石は対魔忍、頑丈だな?」
「ゆきかぜ…!凜子ちゃん…!」
「このままお前達をあの方の下に連れて行く。治療ついでに改造して、2度と逆らう気が起きないように頭を弄ってる。」
「こ、この!」
不知火の首を持って持ち上げる男、そんな中、ゆきかぜは痛めつけられた身体を引き摺って、男の足を掴んだ。
「?」
「お、お母しゃん……を……ばな、せ……!」
「ゆき、かぜ……!」
「汚い手で触るな。まぁいい、その頭踏み潰してやる。」
そう言って男は無慈悲に脚を上げると、ゆきかぜの頭に向かって足を降ろす……その瞬間。
「止めろぉぉぉぉ!!!」
向かいの窓から雷光が男に向かって向かってきて、男に向かって深々と蹴りが突き刺さり、吹き飛ばされる。
「は、春輝……!」
「母さん、ゆきかぜ、凜子……遅れてごめん。今治すから。」
春輝は分身を3体出すと、水遁の医療忍術“水枕”を使い3人の治療を行っていきながら、こちらに歩いてくる男の方を見る。
「……脇腹を蹴られるなんてな。これは治療が必要だな?」
「あんた、何者だ?」
「あぁ、自己紹介がまだだったな?初めまして、俺は“バルト”。エドウィン・ブラック様の部下だ。」
「そうか。じゃあ、あそこでバラされてる男がリーアルか。それより、なんでここまで女の人を殴れるんだ?」
「何か理由がいるか?俺はそこのゴミと違って女になど興味がない。ましてや敵対組織の対魔忍……ならば殺すのが普通ではないか?」
淡々と話すバルト、それを聞いた春輝は倒れている不知火達を見て、拳を強く握りしめる。手の肉に爪が食い込んで血が溢れるほどに。
「そうかい。確かにアンタの言うとおりではあるよ……だけどなぁ!!あいつらはまだ、嫁入り前なんだぞ!!それを平気な顔して殴っておいて、何が普通だ!!!」
「ほう?ならどうする?」
「あんたを……倒す!!!!」
春輝は纏っていた風遁の風圧を上げると、部屋の中の物が吹き飛んでいく。
そしてバルトに向かって飛び出すと、バルトは右手を拳にして黒くし、春輝の雷遁を纏った右拳とぶつける。
その衝撃波で建物にヒビが入り、外の住人たちは驚きで悲鳴を挙げる。
「くっ!!」
「面白い小僧だ。面白ついでに教えてやる……俺の力は
「そんな事関係ない!!あんたは、ここで倒す!!」