誰か助けてください。
闇の忍、動く
「御館様。真庭、二車、そして我らふうま衆、全員揃いまして御座います。」
「うむ。」
自身の部下の男に呼ばれ、瞑想をしていたふうま衆の頭領、ふうま弾正がゆらりと立ち上がって歩き出し、部下達が待機している大広間に向かう。
大広間には既にふうま、真庭、二車といった闇に紛れて暮らしている忍達が俯いて待機していた。
「皆、よくぞ集まった。この地に追いやられてから幾星霜……ようやく五車の忍共から全てを取り戻す時が来た!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
「井河の小娘や獅子堂、芳陰の者共に地下へと追いやられたが、我等には時があった。力を蓄え、再び世に出る時を迎えたのだ!」
「弾正様、五車の忍共及び獅子堂共への対処はどのように?」
「まずは獅子堂、芳陰といった者達と五車の忍共への繋がりを封じるのだ。鐘鬼、貴様の結界術を使うのだ。」
「承知。」
鐘鬼と呼ばれた青い髪で右眼に眼帯を付けた青年、ふうま 鐘鬼が、弾正からの指示を受けて姿を消し、満月の夜空に向かって、印を切ると小さな虫達が現れて空へと飛んでいく。
「そして、ふうまでありながらふうまを裏切った者共へも粛清をしなければならん。奴らは今、五車の忍として暮らしている……これは許せぬ裏切りだ、粛清し、正しきふうまを進ませなければならない。」
「御館様、不埒者の始末は我らにお任せ下さい。必ずやお役に立てるかと。」
「うむ、太堂寺、正宗、お前達に任せよう。」
茶髪のショートヘアで、切れ長の黒い瞳をした美丈夫、太堂寺 宗佑と右耳にピアスを付けた赤毛の青年、ふうま 正宗が指令を受けて姿を消す。
「残りの者達も己が使命を果たせ。果たした後の家の安泰は保証する!行け!!」
弾正の命を受けて、ふうま、二車、真庭の忍び達が姿を消す。それを見た弾正は妖しく笑みを浮かべて嗤う。
「頼んだぞ……ふっふっふっ。」
◆◆◆
「お祖母様、ふうまが動き出しました。どうやら五車へと向かって襲撃を仕掛けるようです。」
『そう、なら貴方はふうまの動向を探りなさい。動けそうなら貴方の判断で動いて構わないわ。』
ふうまの屋敷に分身をネズミに化けさせて潜んでいた、葉取天舟が祖母である星舟に報告を行うと、星舟は天舟にそう指示を出す。
星舟はふうま弾正が動く、この時を待っていたのだ。
星舟は悪友であり、鳴りを潜めている“「」”が動く今こそが、彼女にとっても好機なのだ。
「しかしお祖母様、ふうまに勝ち目があるとは思えません。特に真庭と二車が」
『良いのよ、この際決着なんて。まぁでも私から見れば、50|50の痛み分けで終わるかもしれないわね。』
「痛み分け、ですか?ふうまの方が数も粒も多いですが?」
『数や質なんて問題無いわ。問題はどれだけのふうま側の忍び達が本気でふうま再興を望んでいるかよ。ふうまの大将は一族の再興を望んでいるとは思えないわ。』
「それは、弾正がふうま再興を望んでいないという事、でしょうか?だとしたら、この戦い、弾正は何を……?」
『それはね――――――。』
星舟の言葉に天舟が驚いて言葉を失うが、星舟は言葉を続ける。
『分かったかしら、私の言いたい事が。』
「はい、分かりました。ですがそれなら、奴はどうなるのですか?」
『彼については、恐らく育つのを待っていたのかもしれないわね。“器”として育つのを。だからこそ私も尚更欲しいのだけどね。』
そう言ってクスクスと笑いながら電話を切った星舟に、天舟は首を傾げるのであった。
「お祖母様、いったい何を狙っているんだ?だがまぁ、これはこれで面白くなってきたな。」
そう言うと、天舟は夜の森を抜けて走り抜けるのであった……。
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